気分変調症と診断されるまで

うつ病 その他の障害・病気

出典:Photo by TAHA AJMI on Unsplash

私は「気分変調症」という障害を持っています。この障害は「うつ病」と診断されやすく、私も現在通っている病院で診断されるまで多くの病院にかかりました。

このコラムでは、気分変調症の特徴的な症状の紹介と、正しく診断されるされるまでの経緯を振り返ります。

気分変調症って何?

「気分変調症」とは、持続性抑うつ障害とも呼ばれ、「抑うつ気分」「食欲の減退または増加」「集中力や意欲の低下」「絶望感」などの症状が現れる精神疾患です。うつ病の一種ですが、一般的なうつ病と異なる点として、比較的症状が軽いこと、症状が慢性的に2年以上続くことが挙げられます。

特徴として発症すると「この生き辛さは自分のせいで、気分が落ち込みやすいのも自分の性格の問題だ」と誤解しやすいというものがあります。これは、症状が長期にわたって続くことや、思春期前後に突如として発症することが、原因です。また、抑うつ気分が比較的軽いため、気分の落ち込みはあれど日常生活はどうにか行えるというのも原因として考えられます。

この"誤解"のために医療機関に受診できず、適切な治療が受けられないケースも見られます。

私の場合は「抑うつ気分」「意欲の低下」が強く、しなければいけないことが出来ない「無気力状態」になることがありました。最初の内は「ただやる気が起きない」程度のものだったので、「自分はそんな性格なんだろう」と思っていました。

しかし、高校生になって実害が出てきたのです。

高校生 うつと診断されたころ

中学校を卒業し、進んだ高校はレベルの高い進学校でした。それなりに学力には自信を持っていた私でしたが、無理をして受かった学校だったため、授業に全くついていけませんでした。授業ごとに出される課題も全くわからず、解けません。わからないのでやる気も出ません。やがて、課題をやらなくなっていきました。そして私にとって学校は、何を言っているのかもわからない授業に大半の時間が潰され、課題を出せないことを叱られるだけの場所になりました。そして私は、不登校になっていったのです。

学校にいけない時期が長かったので、親に連れられ精神科にいき「うつ病だ」と診断されました。処方された薬を飲みながら養生しましたが、結局通学を再開できませんでした。

発症した年の末に教師と、今後どうするのかを話し合いました。下の学科への転属という話もありましたが、もうその学校自体が嫌になっていたので、単位制の高校へ転校することにしました。

新しい環境になったおかげか、転校して最初の内は問題なく単位を取れていました。しかし、いつの日からか気力が湧かず、学校にいくことが出来ない日が増えていきました。思えばこれが、この先ずっと私を苦しめる「無気力状態」の始まりだったのです。

通常3年で卒業できるはずが、2年オーバーしても授業では単位を取り切れませんでした。そこで、高卒認定試験の合格を単位にあてることのできる制度を利用して、卒業することにしました。

さらに、大学受験をする時期になっても、受験する気力が湧きません。そこで、センター試験利用入試というセンター試験の成績だけで合否が決まる制度で進学しました。

状態が悪化し、大学を中退するまで

大学に進学すると、やはり新しい環境になったからか最初は問題なく通学できていました。通院を自己判断で辞めてしまったのもこの時期です。なぜなら、問題なく通学できていることへの安堵と油断が私と親の双方にあったことや、病院の宗教色が強くなっていたことへの不信感もありました。(医師によるアクションはなかったのですが、ポスターや待合室の雑誌が、特定の宗教のものばかりになっていました)しかしこの"自己判断"がよくありませんでした。

薬を飲まなくなったせいか、大学1年生の後半になると、無気力状態になって家から出られなくなり始め、2年生になっても状況がよくならなかったので「これはやばいぞ」と別の病院にいきました。ここで、うつ病に加えて「適応障害」であると診断されました。通院を始めたものの、薬を多く出したがったり、検査をやたらと受けさせたがったり、連れ添いで来た親の質問に答えようとしなかったり、といったことが多々あったのでここでも医師への不信感が募っていきました。

医師の指示どおりに治療してもよくならず、3年生になったころには、大学にほとんど行けなくなっていました。病院への不信感も限界に達し、大きな病院の精神科に移ることにしました。そこの新しい医師は物腰も柔らかく、薬や検査を過剰に勧めてくることはなかったのですが、大きな病院なだけあって予約が詰まっており、初診以外は3~5分程度の短い時間でしか診てもらえませんでした。

3年生が終わるころになっても大学へいくことができず「このまま無為に学費を払い続けるよりは」と大学を中退することにしました。その後どうするか親と話し合った結果、就労移行支援事業所という選択肢を知りました。

本当の病名は「気分変調症」

就労移行支援事業所へ通うにあたって、今の病院では家から距離があるので、通院し続けるには手間がかかります。そこで、病院を再び移ることにしました。選んだ病院は家の近所にあって、そこまで大きくはありませんでしたが、医師が親身に話を聞いてくれる場所でした。数回の通院の後、事業所に通うための診断書を書いていただいたところ、そこには「気分変調症」の文字がありました。初めての診断から8年、ようやく本当の病名がわかったのです。

事業所に通い始めて数ヶ月、やはり無気力状態になったのです。徐々に通所できなくなり、最終的には家から出られない状態が半年近く続きました。しかし、職員や医師の助けもあって、何とか再び通えるようになりました。

これまでは無気力状態になったらそのままで、別の環境に移っていたため、今回初めて病気に打ち勝ったのです。

おわりに

気分変調症はうつ病と違い、日常生活はどうにかできます。なので私は「自分は怠惰でダメな人間だ。学校へ行けていないのもただ単にやる気がなくてサボっているだけ」と自分を責めていました。しかし、気分変調症であると診断されたことで、その「どうやっても自分を肯定できない」考え方も症状のひとつであると理解しました。おかげで今は、自分を肯定できず落ち込んでも「それは自分の性格ではなく病気のせいなんだ」と少し前向きに考えることができるようになっています。

このコラムが、読んでくれた方で、同じように自分を肯定できず苦しんでいる方がいれば、それはあなたのせいではありません。精神科や心療内科に相談しましょう。

参考文献

【続性抑うつ障害(気分変調症・気分変調性障害)について | 心療内科 精神科 対人関係療法 メンタルクリニックエルデ】
http://www.mental-erde.com/

【気分変調性障害 | 板橋区 心療内科 精神科 上板橋こころの診療所】
https://kamiitabashi-mental.com/

肉を食らう

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3度の飯とテレビゲームが大好き。現在就労移行支援事業所に通いながら就労を目指して迷走中。

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