アルコール依存症患者の方と、その周囲の方ができる事は?

依存症

出典:http://www.photo-ac.com

アルコール依存症はとてつもなく、恐ろしい病気です。なぜなら、日常に深く溶け込んでおきながら、回復が困難な病気だからです。

アルコール「依存症」の恐ろしさ

アルコールは、大麻や覚せい剤と同じような、常習性がありながら、日常にさらりと溶け込んでいます。このことが、アルコール依存症から簡単に脱却できない環境を作り出しています。

ですが、勘違いしてはいけないのは、アルコールが「悪」であるということではありません。近しい人にアルコール依存症の方がいたとしても、「アルコールを憎む」ということは、物事を解決することに決してつながりません。むしろその人との溝が深まってしまいます。

アルコール依存症とその症状

一度にアルコールを摂取しすぎたからといって、アルコール依存症にはなりません(急性アルコール中毒の恐れはありますが)。「アルコール依存症」は依存というだけあって、お酒を常時手放せなくなり、お酒がないと不安にかられたり、焦燥にかられたりする状態になったことを指します。

では、どのぐらい飲酒が続けば、アルコール依存症になるのでしょうか?一般的に適性飲酒量は、成人男性ならばビールを一日500ml程度。成人女性や高齢者ならば、ビールを一日250ml程度というのが目安とされています。

毎日この目安を大幅にオーバーしており、それが日常になっている場合、個人差はありますが、アルコール依存症の危険が潜んでいるということになります。

一度、依存症になってしまえば、そこから抜け出すのは、非常に難しいです。そもそも、全快するということがありません。闘病を非常に困難にさせていえう理由はここにあります。10年もの間、お酒を断つことができても、わずか数mlのアルコールが体内に入っただけで、それまでの闘病の成果をすべてふいにしてしまうことがあるのです。

アルコール依存症患者さんに周囲の人間ができる事、できない事

筆者もアルコール依存症患者をよく知っている環境にいるのですが、本当に「つい」「なんとなく」飲酒の衝動に駆られるそうです。

そして、断酒している時でも、体の体力だけではなく、心の体力が低いときにも同じように、誘惑にかられ「つい」「なんとなく」アルコールを摂取してしまうそうです。

そういう状況を見てしまえば周囲にいる人間にとっては「アルコールは悪じゃないか?」と、つい思ってしまいます。そして「悪の根源である、アルコールを取り除いてしまえばいいのではないか?」という結論に達してしまいがちです。

ですが、その考えは大きな落とし穴なのです。

依存症患者を責めたり、お酒が目についたらいけないからといって、家の中にあるアルコールを全部処分したり、目の届かないようにしたりすることも、ほとんど効果がなく、むしろ逆効果にもなりえます。

周囲の人間ができること。それは、アルコールを断つことができる「環境」を作ってあげることです。

周囲の人間が「治してみせる」と思うことは、間違っています。依存症患者を「治せる」のは、本人と担当の医師しかいません。筆者も、無知なころは「自分たちが治さなきゃ」と思ったりしていました。

長い目で見て、患者さんと一緒に戦いましょう

アルコール依存症は非常に厄介な病気です。ですが、不治の病ではありません。アルコール依存症を克服された人は、たくさんいます。

克服した人はみな「一朝一夕に克服できたのではなく、根気強く、本人と、周囲とが協力して、依存症と戦ったから」と語ります。

アルコール依存症に悩まされている本人。そして、その影響を受けてしまう周囲の方々。決して独りで立ち向かうのではなく、医師やソーシャルワーカー、そして周囲の方々のフォローを受けながら、正しい知識をえて、立ち向かっていきましょう。

そして、その上でこういう考えてみましょう

アルコール依存症という病気を断つ一番の薬は、患者自身が「アルコールに依存した生活から脱却するんだ!」という強い意思であると。そして、周囲のは、その決意を芽生えさせる環境を作ることが薬であると。

そう考えて、アルコール依存症という困難な病気に一緒に立ち向かってみませんか?

障害者ドットコムニュース編集部

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「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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