ブラック企業に勤めて、まさか自分がうつになるなんて~後編

うつ病

出典:Photo by Joshua Sortino on Unsplash

◀過去の記事:ブラック企業に勤めて、まさか自分がうつになるなんて~前編

うつ病と診断された後の生活

休職を言い渡された後、私は「食事を取りたいと思わない。お風呂を入りたいと思わない。なにをするにも興味が湧かない」そんな、なにも感じない状態でした。しかし、会社からの連絡は止まりません。それもそのはず、私にしかわからないことばかりだったからです。

会社に提出した、診断書の記載には「本人への面談、連絡(文書可)は医師の許可が必要」と書かれていました。何も考えられない中、唯一の心配事は従業員への給与でした。後任には給与の計算を教えていなかったからです。

なぜなら社長より「給与の件は教えなくていい」との指示です。私は自分が抑うつ状態になってもまだ頭の片隅に会社のことを考えていたのです。

診断後2ヶ月休職をしましたが、一向に回復傾向にはなりませんでした。ふと私の頭の中に「このまま会社に籍を置いていたら訴えられんるじゃないか?何か責任を取らされるんじゃないか?」という不安と恐怖に掻き立てられ、主治医に相談もせずに退職届を会社に「内容証明郵便」で郵送しました。それは今まで何人もの従業員が退職届を持ってきても社長が一切受け取らなかったのを見てきたためです。こうして私は会社との縁を切りました。

ここからが私の「うつ病との生活」の始まりです。

うつ病の治療

治療はまず最初に「しっかり眠れるようになること」「食事を摂れるようになること」の2点から始まりました。

睡眠については当初、なにか見えないものに怯え、睡眠薬を処方しているにも関わらず1日から2日も起きていることもありました。脳が疲れて勝手に寝るのを待っていた感じです。主治医と相談し薬の変更をするも、強めの薬を飲むと眠り続けてしまい、弱めの薬を飲むと眠れなかったり、眠れても1~2時間位。不規則な時間の睡眠ばかりで、ある程度固定して眠れるようになるまで3ヶ月近くかかったと思います。

うつ病を患ってからは、家の中から全く出なくなりました。外出するのは、仕方なく買い出しに出掛ける時か、週に2度クリニックに行く時だけです。食事は薬を服用するためだけに無理やり口に入れるそんな生活から始まりました。動いていないため食欲が湧きません。丸1日コーヒーだけで済ますという日もあったほどです。一時は体重が前に比べ約10キロも落ちてしまいました。かと思えば、処方されている薬の副作用で、急に暴飲暴食を取るようになり、気が付けば20キロも肥った時もあります。それについても主治医と相談し、薬の組み合わせを何度も変えました。ちゃんと3食取れるようになったのはほんのつい最近のことです。

時間が経つにつれ、心の中で「本当に自分はうつ病なのか?これは単なる甘えではないのか?」と考え始めました。ですが、そのように思っていても心と身体が一致しないのです。身体が思うように動いてくれないことにずっと葛藤しつづけたのです。うつを発症して10ヶ月を過ぎたころ、このままでは生活(お金)が行き詰まることに焦りを感じ始めました。

なぜなら、国の支援制度である「傷病手当金の支給限度が1年6ヶ月」までだからです。主治医に相談したところ「認められれば障害年金の支給を受けれます。申請しますか?」と訊ねられましたが、当時の私は自分が「障害者」であることを受け入れられなかったのです。主治医に働いてもいいかどうかを訊ねたところ、「まだ社会復帰するには早いかな。ぶり返したら今までの時間が無駄になるよ」と言われ、やがて来る「行き詰り」への不安との葛藤の日々でした。

就労移行支援サービスへ

これから先の生活のことを悩んでいる時に、知人に「就労移行支援サービス」を使っていることを教えてもらい、さらに主治医の方からも「就労移行支援サービスを利用してみる?」と言われ、就労移行支援サービスに申し込みました。現在、就労移行支援を利用し2ヶ月が経過しています。発症から数えて1年2ヶ月となります。今は、規則正しい生活リズムと、ストレスのセルフケアを意識し日々生活をしています。

私は、自分の心と身体の限界を超えて仕事をしてきた結果、このような病になってしまったことを後悔しています。

「無理なら逃げたっていい。命まで取られることはない。心と身体が健康ならば働き先はいくらでも見つかるはず」それを今更ながら実感しています。自分の中で【うつ病】という病を受け入れ、障害者申請をすることにもしました。

「自分を労わってあげられるのは他ならぬ自分だけ」これから先、就労移行支援サービスを利用し、社会復帰に向けてどのような「会社、人間環境、仕事内容」で働くことが自分にとって1番なのか考えています。

自分自身を素直に振り返り、無理をせず、断る勇気を怖がらず、今以上悪化しないように。

おわりに

【うつ病】は誰にでも起こりうる病です。もし、私と同じような境遇の方が居れば、どうか自分自身を第一に考えて下さい。自分を大事にしてあげて下さい。我慢しないで下さい。仕事で人生を台無しにしないで下さい。このコラムを一人でも多くの方に見て頂き、手遅れになる前に気づいてくれることを心から願います。

参考文献

【新宿ストレスクリニック うつ病の人は「周りの人に理解されない」~周りのサポートからの理解が必要~】
https://www.shinjuku-stress.com/

【うつ病こころとからだ うつ病が発症するしくみ】
https://utsu.ne.jp/

優男

優男

超絶ブラック企業に人生を狂わされた40代前半の男性です。
自分の心の弱さが原因でうつ病を発症して、約1年の治療により、現在「就労移行支援サービス」を利用するまでになりました。
現在は障がい者雇用を目指し日々奮闘中です。
私と同じような境遇の方がもし居られれば、このコラムが少しでもお役に立てば幸いです。よろしくお願いいたします。

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