ICD(植え込み型除細動器)って何ですか?~心臓ペースメーカーとの違いについて説明します

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出典:Photo by Michael Oeser on Unsplash

みなさん、ICDという言葉を聞いたことはありますか?

このコラムではそもそもICDって何?という内容から、よく誤解されがちな心臓ペースメーカーとの違いについて、また誤解されてしまった時にどのように説明すればうまく理解してもらえるのか、心臓に疾患を抱えており、実際にICDの植え込み手術をして10年以上になる私自身の経験も踏まえて、みなさんにお伝えしようと思います。

そもそもICDって何ですか?

ICDとは「Implantable Cardioverter Defibrillator」の略名で日本語では「植え込み型除細動器」といいます。その名の通り、体内に埋め込んで使う機器で、大きさは大体手のひらに乗せられるほど、重さは約70gほどです。昔はもっと大きかったのですが、技術の進歩により近年では小型化が進んでいます。

ICD(植え込み型除細動器)の働きは不整脈が起こらないようにするためのものではありません。24時間、365日心臓の状態を監視し「心室細動」や「心室頻拍」といった命にかかわるような不整脈が発生した場合、それを速やかに検知し、電気ショックを発生させてその不整脈を退治し、発作による突然死を未然に防いでくれるものです。ICD本体とこれに接続されたリード線の先を心臓に取り付けることで機能します。

ICDの電池の寿命は作動状況によって異なりますが、植え込み手術をしてから1度も作動していなければ機種にもよりますが大体4~6年ほどで、電池交換の手術が必要になります。また、ICD本体と接続するリード線の数も心臓の状態によって、1本なのか2本なのかが決まります。

私の場合ですと現在まで1度も作動経験がなく、6年周期で現在2回の電池交換をおこなっています。リード線の本数は最初に植え込み手術をした際は1本でしたが、1回目の電池交換の際、リード線の断線が発覚し、1本追加しております。

ICD(植え込み型除細動器)と心臓ペースメーカーとの違い

    ICD(植え込み型除細動器)を説明するときによく誤解されがちなのが「心臓ペースメーカー」です。心臓ペースメーカーは知っていたけどICDというのは初めて知ったなんていう方もいるかもしれません。

ICDと心臓ペースメーカーはどちらも心臓に対して働きかける機器ですが、それぞれ働きかけ方に違いがあります。ここではその違いを説明したいと思います。

ICDは上記で説明した通り心臓の動きを監視し、異常があれば電気ショックで心臓の脈拍を正常に戻してくれるものです。心臓を異常がないかパトロールして異常があれば電気ショックという形で報告してくれるものと思っていただいて大丈夫です。

それに対して心臓ペースメーカーは心臓の脈拍が健常者とくらべて遅かったりして、日常生活を送るうえで支障があるような状態の人に使用されます。一定のリズムで心臓に電気刺激を送り心臓を動かす機械です。ICDのように異常があれば電気ショックを発生させるのではなく、常に電気信号を送り心臓の拍動を調整しています。

逆に共通する点として、どちらも電子機器であるため、強い磁場が発生するような機械の近くには近づくことができないというものがあります。私の場合ですとスマホやパソコン、電子レンジといったものは問題なく使えますが、マッサージチェアなどは使うことができません。

ICDを知らない人にどのように説明すればいいのか?

私自身、幼いころからICDを植えこんでいるのもあって、学校の先生や周囲の人達に「ICDを植え込みしています」と伝えると「ああ、ペースメーカーですね」と返答されることがありました。その際、上記のような説明をすると内容が専門的なためなかなか伝わらないといったことがよくありました。

「どのように説明するとわかりやすいだろう?」と考えていく中で「これだ!」と感じたものがあったのでみなさんにお伝えしようと思います。

それは「AEDを小型化して体内に植え込みしたもの」です。AEDはみなさんの生活の中で駅や学校などで設置されており、目にする機会も多いため、ICDよりも認知度は高いと思います。講習会なども多くおこなわれてりこのように言ってから説明を始めると、実際に理解されることが多くなりました。もしどう説明すればいいかわからない方がいるならぜひこのように説明してみてください。

この記事をご覧になった方がICDについて知り、理解を深められたなら幸いです。

参考文献

【ICDとは - 大阪医科大学】
https://www.osaka-med.ac.jp/deps/tho/index.html

フジト

フジト

肥大型心筋症を小学校1年生の時に診断され、2年生の時に1度心室細動が起こり生きるか死ぬかの瀬戸際の状態になりましたが、今日まで割と元気に生きてきました。現在就労に向けた準備を進めています。

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