「ウェルフェアトリップ 五感のとびらをひらく旅」10月1日まで開催中

暮らし
(写真)森の部屋ではもくめん浴体験ができる

ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」(東京都港区)では、イベント「ウェルフェアトリップ 五感のとびらをひらく旅」を10月1日(火)まで開催しています。地方の障害者アートが展示されているだけでなく、「さわる、かおる、ねころぶ」のフレーズ通り五感をフル活用して体験できる貴重な展示会です。

今回はイベント概要だけでなく、実際に展示会へ赴いて体験し、インタビュー取材もしています。開催についての想いもまた感じて頂ければと思います。


(写真)旅の始まりの部屋では、いぐさの素材に触れられる

イベント概要

開催日 2024年9月14日(土)~10月1日(火)
開館時間 11:00~19:00(最終入場時間18:30、最終日のみ1時間早く終了)
開催場所 ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」 東京都港区海岸1丁目10−45 アトレ竹芝 シアター棟 1F
入場料 1,100円(税込) 小学生以下無料(保護者同伴必須)
その他 本イベントは予約制ですが、会場で当日券も販売しております。定員は100名ほどです。

福祉から離れ、また戻ってきた


(写真)和紙の部屋では、幻想的な揺らめく作品があり、和紙にねころぶこともできる

──全国の施設を回るようになったきっかけを教えてください
「かなり昔、今でいう支援学級の補助教員として働いていました。様々な場所へ赴任する中で、牢屋のような場所さえ見てきました。他のアルバイトでは労働者の権利が向上していく中、障害者の権利だけは置き去りだったのです。そんな支援教育から距離を置きたくて、結婚と出産を経て一般企業へ転職した訳ですね。そこでは営業として働き、優れた上司にも恵まれトップ営業マンとして表彰もされました。25年前から、子を持つママさん向きの働き方を提案していた会社なのもあって、社会で働く喜びと経営者からの学び、そして様々な人脈が初めて得られました。出版社などとの縁もあり、準備を重ねてフリーライターへ転身したのが15年前です」
「ビジネス系の仕事が多かったのですが、私がやりたかったのは福祉や教育系でしたし、困難を抱える人が支え合えるようにならないかと思っていました。編集仲間のカメラマンやデザイナーと共に、福祉施設を回るようになり、最初は引出物のプロデュースからでした。まず山梨に、果物の通販業者がおり、ロットの中で一つでも傷物があると全て破棄せねばならない悩みを抱えていました。小さいロットでも加工してくれる業者と合わせて欲しいという彼らに、施設と引き合わせた訳です。このことから、B型事業所の施設長に向けた研修にも回るようになり、商品アドバイザーもしていました」
「B型事業所には、工賃を上げる目的だけでなく、人を元気にしたり価値観を変えたりする力や、素晴らしい才能を持ちながら燻っている人々が多く存在します。それを何とかするために、旅をするように活動を続けています」

燻る障害者に発信の場を


(写真)神事の部屋では大蛇をかぶることができる

──今までに何か所回ってきましたか
「300以上です。行政からの委託によっては、県内30か所を回ったこともありました。その中で、『勿体なかったなあ』と思うこともありました。ある施設で、正確かつ綺麗に雑巾を縫う利用者が居ました。しかし、帰る時間になると、綺麗に縫っていたのを全てほどいてしまうんです。職員いわく『雑巾ばかり縫っても売れないから』だそうです。その利用者は“出会い”がないあまり、縫う才能を持ちながら無為な毎日を繰り返すのが、とても理不尽に感じられました。何かしら形にして発信する必要性も感じましたね」

──たくさんの施設と一緒に出来て素晴らしいですね
「ダイアログの代表から頂いた機会なので、集大成として出来上がればいいなと思っていたのですが、代表からは『“集大成”ではなく、“スタート”なんだよ』と諭されました。初めてのことで、誰に手伝ってもらおうか相談したら、『あなたは多くの経験を積んできたのだから、あなた自身が中心となってやりなさい』と励まされ、肝が据わりましたね。そこで考えたのが、五感で感じることです」


(写真)竹の部屋には、豪華絢爛の錦織衣装と柿渋で染めた千鳥うちわが展示されている

──スケジュール調整や資金繰りに苦労はされましたか
「これもありがたいご縁の賜物です。資金も300万円は必要かと言われていましたが、協力してくれる方々のご厚意で、手弁当で集まってくださる方もいらっしゃいました。皆様に導いていただき、神様にも味方されたなと感じています」

──今回のイベントで印象に残ったことをお聞かせください
「自分が一緒にやりたいと思った方々すべてに承諾して頂けたのが本当に幸福でした。コンタクトした皆様が、快諾してくださったのです。中にはInstagramで2万フォロワーを抱える方もいらっしゃいました。ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表の志村真介氏・季世恵氏も含め、いつか一緒にお仕事させて頂きたいと思っていた方々と、現実に組んで何かを成し遂げたのが一番有難かったです」


(写真)布の部屋には、福祉事業所の方が縫ったお浄市(じょうきん)が展示されている


ウェルフェアトリップ 五感のとびらをひらく旅 公式サイト
https://mothernessp.com/welfaretrip-did1/

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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