遠くから正義を叫ぶより大切なこと〜絆ホールディングスの報道を受けて〜発達障害のASDとADHDを併発しています!<vol.35>
暮らし 発達障害
出典:https://girlydrop.com/flower/2517
発達障害のASDとADHDを併発しています!vol.35 <毎月1日連載>
ニュースでも話題ですが、不正請求の金額がすごくて驚きました。私は数年前に、ピアサポーターとして相談支援の利用者様対応に参加させていただきました。相談支援を担当していたことで、「あなたたちも不正に気づかなかったのか」というご意見をいただくこともありますが、現場を知らない方々ばかりで、話し合いたいとも思いません。
正義感からなのでしょうか。利用者様のお気持ちを一番に考えて尊重しており、守秘義務もあるため詳しくお話しすることはしません。しかし、そういう部外者が遠くの安全圏から正義感で批判してくるのを見ていつも思うのは、「現場を知らないのに、憶測で考えた自分の意見が一番正しいとなぜ思えるのだろう」と不思議でなりません。
でも、怒りよりも、悲しい気持ちの方が大きいです。私自身にも障害があり、福祉サービスにお世話になってきた経験があります。だからこそピアサポーターという仕事に意味を感じているし、利用者様お一人おひとりの日常が、どれだけ支援の質に左右されるか、身に染みてわかっています。
今回の事件で傷ついたのは、組織でも制度でもなく、実際にそこに通っていた方たちです。生活の場を突然失った方もいる。安心していた場所が、実はそうじゃなかったと知らされた方もいる。その痛みを想像すると、胸が締め付けられます。
批判する人たちが「なぜ気づかなかったのか」と言うとき、たぶんその人たちは、現場というものをひとつの均質な空間として想像しているんだと思います。でも実際は違います。利用者様との関係性の中で、信頼を積み上げながら、毎日のコミュニケーションを丁寧にやっていくのが現場です。請求書の数字を確認する立場にあるのと、利用者様の隣に座ってお話を聞く立場は、まったく別の役割です。そこを一緒くたにして「なぜ気づかなかったのか」と言うのは、救急隊員に「なぜ病院の経営不正を止めなかったのか」と言うようなものだと思います。
それに、現場の人間が声を上げることが、いかに難しいか。組織の中で疑問を持っても、それを表明する手段があるかどうか。内部告発の保護制度があっても、実際にそれを使える環境かどうか。そういう構造的な問題には触れずに、「現場にいたのに」と責めるのは、あまりに単純すぎます。
私が今、声を大にして言いたいのは、批判についてよりも、当事者の方たちへ向けた思いです。突然の環境変化で、不安な日々を送っている方がいると思います。新しい事業所に移ることへの抵抗感、信頼していた支援者と離れる寂しさ、またゼロから関係を作る疲れ。そういう感情は、全部正当なものです。当たり前です。
私自身がそういう不安を経験してきたから、余計にそう思います。福祉サービスって、場所や制度というより、人との関係性なんです。その関係性が断ち切られることの痛みを、数字や法律の話だけで語るのは、どうしてもしっくりこない。
不正は、きちんと裁かれるべきです。でも同時に、傷ついた利用者様が新しい場所で、また安心できる関係性を築いていけるように、私たちひとりひとりができることを考えていきたいと思っています。遠くから正義を叫ぶより、目の前の人に寄り添う方が、ずっと難しくて、ずっと大切だと私は思っています。
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注意欠陥多動性障害(ADHD) 自閉症スペクトラム障害(ASD)


