相模原殺傷事件から3年になりました・前編~植松被告は何と評価されたか

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3年前の7月26日とは、相模原殺傷事件の起こった日です。津久井やまゆり園の重度障害者を狙った大量殺人によって19人もの命が奪われ、全国の障害当事者や支援者らを震撼させました。

犯人の植松聖被告はその所業もさることながら、「重度障害者は要らない」という供述やカメラへ向けた不敵な笑み(実際は殺到した報道陣を見て失笑しただけだったらしいです。)などから、各方面より非難を浴びました。しかし一部では植松被告に賛同し、英雄視する動きもあります。

戦後最悪の凶悪犯罪といえども発生から3年が経ち、裁判が始まる前から風化しつつあります。しかし、このまま植松被告を異端として葬り去っても何も前進しないことは事件当初から言われていたはずです。とはいえ、考察には誰もが心に飼っている「内なる植松」と対峙せねばならず、それが難しさをより引き立たせているのですが。

植松被告に関して断言できない部分は多いでしょう。相模原殺傷事件を考える前段階として、植松被告に対してどのような評価がなされているか見ていきたいと思います。

「モンスター」あるいは「ヒーロー」

植松被告に対する至極単純な評価としては、「モンスター」あるいは「ヒーロー」としているものが多いでしょう。戦後最悪の凶悪犯なので、「モンスター」と言われるのは已む無しといったところです。植松被告を異端として葬って終わらせる多数の人はそう評価します。

一方、ネットの露悪的な場所では「ヒーロー」として評価されており、サジェストでも植松被告への好意的な評価が散見されます。重度の知的障害者に刃物で顔を傷つけられ、傷跡とトラウマから引きこもりになったという或る女性は、「賛同してはいけないと分かっているが、本音の部分ではどうしても植松に感謝してしまう。」と述べており、「植松はヒーロー」とまでツイートしていました。

大量殺人などの凶悪犯が後の世で英雄視ないし神格化される流れ自体はよくあることで、時々「気に入らない奴を植松がやっつける」という妄想もTwitter上で出てきます。面倒な学校や会社を破壊する怪獣のような扱いですね。

植松被告の影に怯える障害当事者

息子がASDだという静岡県立大学短期大学部教授の佐々木隆志氏は、植松被告を「優生思想の発信源」「我が家のタブー」として嫌悪しています。

佐々木氏の息子さんは植松被告の犯行と動機に震え上がってしまい、自分の存在意義を疑問視したり家じゅうを固く戸締りしたりと不安定な状態になりました。「植松が静岡へ向かってくる!」とパニックを起こすことさえあり、佐々木氏の家庭では「植松」の名がタブーとなっています。

植松被告の思想が社会に漏れ出し、一定の賛同者がいる状況にも佐々木氏は危機感を抱いています。被告の手記が書籍として出版される際も、「植松の思想に感化される人が増える」として出版差し止めを求めていました。

佐々木氏は一度だけ植松被告に質問する機会がありました。「もし自分の親が重度障害者になったら、同じように抹殺するのか。」と問いかけましたが、植松被告は何も答えなかったそうです。

植松被告を強く断罪できない障害当事者

知的障害の弟を持ち、自身も双極性障害と診断された「ほっしー」こと星野良輔氏は、植松被告について強く否定できないと自身のブログで述べました。過労で入院した父親含め3人の家族に対し気丈で優しかった母親の苦労を想ってのことだそうです。

星野氏の母親はとても強い女性でした。障害を持つ二人の息子を育てるだけでなく、夫が過労で入院した時も欠かさずお見舞いに行っていました。夫に育児の相談などはせず、敢えて一人で抱え込みながら家庭を守っていたのです。過酷なワンオペ育児を泣き言一つもなくこなす母親の背中を見ていた星野氏は、「自分や弟は生まれてこなければよかったのではないか」と思うこともありました。その為、植松被告を全否定までは出来ないと述べています。

星野氏の知る限りでは、重度の障害者を施設へ入れて雲隠れした家族もいるようです。綺麗事の羅列だけでは解決に至らないのではないかと星野氏は疑問視しています。

実際に植松被告と何度も会った人がいる

逮捕後の植松被告に何度も面会して対話した人がいます。月刊「創」の編集長である篠田博之氏です。篠田氏は宮崎勤元死刑囚にも幾度となく面会し、それを纏めた書籍を著した実績があります。植松被告に関しても時に応酬しつつ面会を重ね、事件から2年後には手記などをまとめた書籍「開けられたパンドラの箱」が著されました。(その書籍が、先述の佐々木氏が反対していたものです。)

中編では篠田氏の足跡から、逮捕後の植松被告が何を考えているか迫ってみましょう。不変に思われる植松ロジックですが、「ヒトラーの思想」や「障害者差別」など細かい所に変更があるようです。

▶次の記事:相模原殺傷事件から3年になりました・中編~植松被告と面会した篠田編集長の足跡

参考文献

相模原障害者施設大量殺傷事件「植松はヒーロー」とツイートした人物の“生の声”を聞いた(2016年8月5日) ― エキサイトニュース
https://www.excite.co.jp

自閉症の子を持つ大学教授が相模原事件・植松被告に尋ねた一つのこと(佐々木 隆志)|現代ビジネス|講談社
https://gendai.ismedia.jp

「障害者はいらない」について知的障害を弟に持つ私が思うこと|メンタルハック
https://hr-diary.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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