強迫性障害で苦しんでいる方とその周囲の皆さんへ~私の体験から

強迫性障害

出典:Photo by Carmine Savarese on Unsplash

「強迫性障害」という障害をご存じでしょうか?常にある「観念」や「行為」を止めたいけれども止められないという、非常な苦痛を伴う病気です。重度になると周囲の人々を巻き込んでしまうこともあり、出来るだけ早期での治療が求められます。私はほぼ完治しましたが、そこに至るまでの経緯、またこの強迫性障害と他の精神疾患の違い、共通点について私自身の経験を通してお話ししたいと思います。

病気の発症のきっかけ

忘れもしない大学生の時、「何か変だな」と思い始めたのは。授業終わりに机の下にある荷物置き場から荷物を取り出したにも関わらず、取り出せていないような気がして、何度も確認をしていました。この「確認行為」が強迫性障害の典型的な症状であることを知ったのは、それから何年も後のことでした。

ただ、この頃はまだ生活に支障をきたすまでのレベルには達していなかったので、そんなには気にしていませんでした。そのことよりも当時の私が気に病んでいたのは、1年生の時にある体育会系のクラブでひどいいじめを受け、退部した時の悔しさをいつまでも引きずっていたことでした。(正直なところ、今でも引きずっているのですが……)

強迫性障害の原因は過度のストレスによる脳の機能障害と言われています。中学高校時代もいじめを受けていたので、今考えるとそのストレスが脳の許容量を超えてしまっていたのだと思います。

社会人になってから

大学卒業後、残念ながら正社員で就職出来ませんでした。当時は就職氷河期まっただ中で、ある程度仕方がなかったとは言え、周りが出来ているのに、自分は出来なかったというのはかなりのショックでした。一番つらかったのは家族から理解されなかったことです。不定期に派遣社員として勤務してはいたものの、「大学まで出したのにきちんと働け」「仕事を選り好みしてるんだろう」と言われ、またその頃には病気がかなり進行していたので「お前はおかしい、病院に行け。行かなければ殴るぞ」などの罵声を浴びせられていました。

やがて、私は耐えきれなくなって家を出ました。

これがいけなかったのです。家を出たこと自体がいけなかったのではなく、「一人暮らし」がダメだったのです。強迫性障害は本人に「自分のしていることはおかしい」という自覚があるので、「人前」ではその病気から来る行動を隠します。それが病気の進行を抑える(もしくは遅らせる)ことにつながります。

家を出たことで私の「行動」を目にする人は、家の中ではいなくなり、どんどん病気が進行していきました。

「行動」の例を挙げると……

・下水のマンホールの上を通れない(不潔恐怖、汚物の成分が下から昇ってくる気がする)
・床、地面に落ちたものは消毒液で消毒しないと拾えない、持てない(不潔恐怖)
・手洗いを一晩中している(不潔恐怖、洗っても洗っても洗いが足りない気がする)
・お風呂に入るのに7~8時間かける(同上)

挙げるときりがないのですが、代表的なものはこのあたりです。また、他には本を読むとき1ページを読むのに何十分もかかることもありました。。

最終的には外出時にお守りのように消毒液のスプレーを手に持つようになりました。街で警察官に「その手に持っているものは何ですか?」と尋ねられてしまいました。

やがて、主治医のいる病院へ通うこともできなくなり、地域の福祉関係の方にお願いして、精神科の病院に入院することにしました。

しかし、ここでの生活は凄まじいものでした。内容はここでは書きませんが、さらにストレスの溜まる生活で、また担当医がこの強迫性障害に詳しくなかったこともあり、1年間入院しましたが病状は何も改善することはありませんでした。どうしようもなくなり実家へ連絡を取ると、以前の行動を反省してくれました。退院後は実家の近くに住み、もともとの主治医にかかると少しずつ病状は良くなり、今に至ります。

他の精神疾患との違い

強迫性障害と他の精神疾患との「違い」は誤解を恐れずに言えば、ずばり「頑張らないといけない」ことだと思います。

最初だけなのですが、自分の強迫行為をやめるのに必要なのは「自分の意志による思い切り」になります。そして、これを助けるのが、「薬」であり、「周囲の理解」です。

病院に通うことすらできなかった時に主治医に「まず病院に来ること自体がが行動療法だ」と言われたことがあります。

一般的にうつ病などの他の精神疾患の場合「ゆっくり休むべき」とされますが、強迫性障害では自分自身で強迫行為をやめていかないといけません。強迫行為をやめるのはとても苦しいことですが、やめなければそれよりもはるかに苦しい強迫行為を続けることになってしまいます。

こう書くと根性論のようなのですが、そうではありません。強迫性障害はあくまで脳の機能障害による「病気」なので、最初の「思い切り」を自己判断ではなく、医師の正しい指導の下、服薬も含めて慎重に行わなければなりません。

また、最大の原因であるストレスを取り除くためにも周囲の正しい理解が不可欠です。ストレスを取り除くためといっても決してそれは本人を甘やかすことではありません。やはりこれも医師の正しい指導の下、正しく「見守る」ことが必要になります。   

他の精神疾患との共通点

他の精神疾患と同じで、その病気に詳しい(これはとても大切なことです)医師と連携をとったうえでの正しい服薬と、周囲の正しい理解と協力が必要です。

強迫性障害に限らず精神疾患の中には、外から見ると、周りの人々を巻き込んでまでも自分のしたいようにしている風に見える病気があります。それは「そう見える」だけです。本人は本当に苦しんでいます。それを周囲が理解する必要があります。

最後に…

私の強迫性障害歴は長く20年程になります。しかし、外出どころか家の中でさえも思うように動けなかった、最悪な頃と比べると「厳しくも優しい信頼できる主治医に出会えた幸運」そして「周囲の支え」もあり、本当に良くなりました。100%完治する事はこれからもないと思いますが、日常生活には全くと言っていいほど影響がない程度になりました。

強迫性障害は本当に本人だけでなく周囲も大変な病気です。しかし、本人と医師だけでなく、周囲の理解と協力による正しい治療で必ず良くなります。

最後になりましたが、今感じている強迫性障害のその「苦しみ」を忘れないでほしいと思います。後に病気が良くなった時に、病気に限らず苦しんでいる人の気持ちを分かってあげられる人になってほしいと思います。あなたにはそれができるはずです。なぜなら、あなたはこんなにも「苦しんでいる」のだから。

クオッカ

クオッカ

学生時代に強迫性障害を発症しましたが、現在はほぼ回復。今は就労移行支援所で本格的な社会復帰に向けて準備中。
趣味は音楽鑑賞、読書、茶道。

強迫性障害

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください