就労移行支援事業所に通ってみて

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出典:Photo by Michael Coury on Unsplash

現在私は、就労移行支援事業所に通っています。大学在学中にうつ病になったため、一度も就職することなく、現在にいたります。周りが就職活動をしているとき、私は病気と闘っていたため、まったく準備をしていませんでした。

そんな私でも、周りのサポートをえながら、少しずつ自信をつけて、就職活動に取り組めています。

就労移行支援事業所とは?

就労移行支援事業所とは、身体や精神に障害をもった「働きたい!」という方を対象とした福祉サービスのことです。一般企業に就職することを目標に、必要なさまざまな知識について学ぶことができます。

また、就職後も定着支援があるため、安心して働くことができます。

私は大学のカウンセリングで、その存在を知りました。「就職しなければいけないけれど、今の状態でできるのか」漠然とした不安がありました。その不安を相談したところ、このようなサービスを受けられる場所があると知ったのです。その後、病院でも相談し調べてみることにしました。

いくつかの事業所のHPをみて、一番気になったところへ見学にいきました。そして、体験をしたのち利用を開始しました。

実際に通ってみて……

私が、実際に就労移行支援事業所に通って「成長できたと感じたこと」「えられたこと」を3つ紹介していきます。

1つ目は「社会に出るためのさまざまなスキルが身についたこと」です。

私は、大学在学中にうつ病になったため、就職活動をすることなく、現在まで来てしまいました。そんな私にもわかるように、基礎的なことから丁寧に教えてくれます。

たとえば、ビジネスマナーでは「身だしなみ」「挨拶」「敬語」といった基本的なことから「名刺交換」「ビジネスメール」「電話応対」など社会に出たら必要なマナーについても、学ぶことができます。

私は、プライベートでも電話に出ることが苦手でした。しかし、就職したら「電話応対をしなければならない状況に遭遇する」と思いました。そのため、事業所内で使用できる検定を受け、電話応対を実践しています。はじめはとても緊張しましたが、回数を重ねるごとに慣れていきました。

「できないこと」「苦手なこと」は誰にでもあります。それをそのままにせず、自分のできる範囲で少しでも克服し、自信をつけた状態で就職したいと考えています。

また「履歴書の書き方」や「面接時の注意点」なども知ることができます。ネットにもさまざまな情報が載っていますが「本当にこれで合っているのか?」と不安になることがありますよね。ですがここでは、基本的なことから細かいところまで詳しく教えてくれます。疑問点があってもすぐに聞いて解決できるため「わからない」という不安をなくすことができます。

さまざまな職歴をもったスタッフさんがいるため、その人ならではの話を聞くことができます。基本的には、テキストに沿って進みますが、そこにスタッフさんの体験談も加わるため、貴重な時間となっています。

ほかにも、パソコンスキルを身につけたり、さまざまな作業訓練をおこなうこともできます。

2つ目は「自己管理が身についたこと」です。

その中でも、特に「体調管理」が身についたと感じます。「今の自分はどの程度頑張れるのか」「体調を安定させていくためにはどうすればいいのか」などを考えるようになりました。

事業所に通うまでの私は、月に数回程度、家の外に出ることができていればいい方でした。体調も優れませんでしたし、家の外に出ることに対して恐怖心もありました。「楽しい!」と思える予定もまったくなかったのです。

体験中は「週2日通所」を目標にしていました。外に出ることで疲れやストレスが溜まり、体調が悪くなることを想定して「1日行ったら2日休む」といったマイルールを決めていました。

利用開始当初は「週3日通所」にし、自分の体調と照らし合わせながら、焦らず、無理をしすぎない範囲で徐々に増やしていきました。そのため、現在では「週5日通所」することができています。

通所当初は、休んでしまうことがよくありました。「体調が安定しない」「外に出ることに恐怖を感じる」「新しい環境」「新しい人間関係」など、不安要素がいくつもあったからです。

しかし、スタッフさんとたくさん話し、人柄を知り、信頼関係を築くことで、少しずつ不安が減っていきました。不安が減ったことで、体調も安定するようになりました。

通所のたびに、自分の体調や気分を日報に記載し、少しでも悪いときは報告します。毎回振り返りがあり、その際に「今日の体調や気分はどう?」などと聞いてもらえます。それを繰り返すことで「自分の体調や気分について考える」習慣が身につきました。

はじめは、自分から伝えることができないこともありました。しかし今では「少しでも変化を感じたとき」や「不安に感じていることがあるとき」にはすぐに伝え、悪化する前に対処できるようになりました。

病院のように「薬の処方」や「検査」などがあるわけではありません。しかし「自分の気持ちを素直に伝えて、それをわかってくれる人がいる」ということは、とても安心感につながると思います。

3つ目は「さまざまな人と関わることができること」です。

スタッフさんはもちろん、同じように通っているメンバーさんともたくさん関わることができます。

訓練の中には「ペアワーク」や「グループワーク」をおこなうものがあります。強制ではありませんが、私は人と話すことが好きなので、毎回参加するようにしています。人の意見を聞くと、自分では考えつかなかった意見が出てくることがあり、新たな発見になります。

また「人の意見を否定しない」という決まりがあるので、安心して話すことができます。発表すると、拍手がもらえるため、温かい気持ちになります。

訓練の前後や休憩時間に、他のメンバーさんと話す機会があります。ペアワークで話した人とお礼をいい合い、それをきっかけに会話が膨らむこともあります。「人見知りで自分から話しかけるのが苦手……」という人でも、こちらから話しかけると、にこやかに会話をしてくれます。

就職活動の「不安なこと」や「進捗状況」など、同じ状況にいるため、リアルな話を聞くことができ、おたがいに有意義な時間になっていると思います。また「同じ時期」に「同じ場所」で頑張っている仲間のため「私も頑張ろう!」と活力が湧いてきます。

共通の趣味について話している方もいますし、世間話をすることもあります。とても楽しい時間のため、就職活動がいき詰っているときや、気分が沈んでいるときに、気持ちが明るくなり頑張ることができていると思います。

あなたに合った場所を

就労移行支援事業所は調べてみると、たくさんあることがわかると思います。

私は、初めて見学にいったところに決めました。雰囲気やスタッフさんの人柄が気に入り「ここがいい!」と思ったからです。

しかし、それぞれの事業所によって雰囲気や内容は全然違うと思います。いくつか見学にいくことをおすすめします。説明を受け、実際に訓練に参加してみることで、わかることがあると思います。

また、立地も注意してみてください。これから頻繁に通うことになるため「自分の家からどのくらいの時間がかかるのか」「交通費はいくらくらいかかるのか」なども一緒に考えるといいでしょう。

評判がいいからといって「自分に合っている」とは限りません。焦ってすぐに決めようとせず「自分に合っている」と感じたところにしましょう。

おわりに

今現在「就職したいけれどどうしたらいいかわからない」「障害をもっていても働くことはできるのか」など、不安を抱えている人はぜひ調べてみてください。 それぞれの事業所により異なることもありますが、あなたの「就職したい」という気持ちに寄り添ってくれるはずです。力になってくれるはずです。 ひとりで抱え込まず、頼ってみましょう。

参考文献

【障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス|厚生労働省】
https://www.mhlw.go.jp/index.html

【就労移行支援とは|atGP】
https://www.atgp.jp

どりー

どりー

大学在学中にうつ病(不安症、強迫性障害、複雑性PTSD等の診断経験あり)になり、治療を続けてきました。
現在は就労移行支援事業所に通いながら就職を目指しています。
自分が楽しいと思う事、嬉しいと思う事をゆっくりしながら生活しています。

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