2020年東京パラリンピック・ルール一覧~各競技種目の紹介・解説まとめ
スポーツパラリンピックで行われる22種目のパラスポーツ競技名一覧と簡単なルール解説をさせて頂きます。
少しでも多くの方に興味を持って頂き、パラリンピック/パラスポーツのルールを覚えていただき、楽しめたらと思います。各競技のルール詳細ページは随時更新します!
パラリンピックの「パラ」に込められた意味についてはご存知でしょうか。
最初は下半身まひを意味するparaplegiaを意味していました。原型となる国際ストーク・マンデビル大会では車椅子アーチェリーなど下半身に障害を持つ人が中心だったためと思われます。
やがて1985年にIOCが「パラリンピック」を正式名称とした頃には、下半身の肢体障害以外にも様々な身体障碍が認知されていました。そこで、「パラ」は並行を意味するparallelへ変更されるのです。
Paralympicの綴りは変わっていないのですが、「パラ」の意味は一度変わっていました。変更の際により意味合いが広がるよう、「もう一つのオリンピック」としてparallelを採用したのです。
- ・2022北京冬季パラリンピック
- ・アーチェリー
- ・車いすテニス
- ・車いすバスケットボール
- ・車いすラグビー
- ・ゴールボール
- ・5人制サッカー
- ・シッティングバレーボール
- ・卓球
- ・ボッチャ
- ・バドミントン
- ・カヌー
- ・サイクリング
- ・馬術
- ・柔道
- ・パワーリフティング
- ・ボート
- ・射撃
- ・水泳
- ・テコンドー
- ・トライアスロン
- ・車いすフェンシング
- ・陸上競技
- ・アニメでパラスポーツ
アーチェリー
パラリンピックの歴史はアーチェリーから始まりました。1948年医師のルードウィッヒ・グッドマン博士の提唱によって、戦争で負傷した兵士のリハビリの一環として始まりました。1948年ロンドンオリンピック開会式の日、ストーク・マンデビル病院で車いすのアーチェリー大会を開催しました。当時の参加者は16人ほどの小さな大会でした。
この病院で行われた大会は後に、ストーク・マンデビル競技大会と言われる様になりました。これがパラリンピックの発祥と言われています。1952年には国際大会が開かれるまでになりました。1964年の東京大会で名称を「パラリンピック」と改め、1960年にローマで行われた「第九回ストーク・マンデビル競技大会」を第1回パラリンピックとしました。
車いすテニス
車いすで行うテニスです。・・・対象【下肢障害・上肢障害も含まれる】
車いすテニスは、競技用の車いすを使用しなければなりません。車輪は八の字(はのじ)についているため、激しいプレーをしても倒れないようになっています。また、素早く向きを変えてボールを打ち返すことができるよう、小さなキャスターがついています。その他にはシートの高さや厚さ、タイヤの角度など選手の体格に合わせて、オーダーメイドされています。
通常のテニスは1バウンドで打ち返しますが、車いすテニスは相手の球を打ち返す前に2バウントまで認められています。地面に3バウントする前に打ち返さなければいけません。1バウント目がコートに入っていれば、2バウント目はコートの外でも打ち返せます。また、サービスを始める直前は、車いすが静止していなくてはならないのです。
車いすバスケットボール
車いす同士の激しい攻防が見られる夏季パラリンピックの花形競技です。・・・対象【下肢障害】
車いすバスケットボールは、下肢などに障害がある選手が5対5で車いすに乗って戦うバスケットボールです。コートの大きさやゴールの高さ、ボールなどは通常のバスケットボールと同じでルールもほぼ同じものが適用されています。競技の対象障害は、下肢に障害のある肢体不自由です。
車いすラグビー
車いすがぶつかりあい激しいタックルが見所のスポーツです。・・・対象【四肢障害】最近日本でも、人気が高まっているラグビーですが、パラリンピックでも車いすを使用したラグビーがあります。車いす競技で唯一、タックルが認められている競技です。激しいタックルで車いすが転倒しタイヤがパンクするなど、その激しさゆえに、時に「マーダーボール(殺人球技)」とさえ呼ばれます。パラリンピック種目の中では、群を抜いて激しいスポーツです。そんな車いすラグビーの見所などを紹介していきます。
ゴールボール
ゴールボールとは、視覚障害の選手たちが行う対戦型のチームスポーツです。・・・対象【視覚障害】
ゴールボールの魅力は、相手ゴールに向かってボールを投げ、それを防ぐというシンプルな競技性にあります。また、アイシェードをするため、視覚に障害がなくても誰でも参加できる点も魅力的ですね。
5人制サッカー
視覚障害の選手による5人制サッカーで、ブラインドサッカーとも呼ばれています。・・・対象【視覚障害】
ブラインドサッカーが、日本で普及したのは21世紀に入ってからです。国内リーグ戦などを通して、普及・強化が進められてきました。これまでパラリンピック出場まで、あと一歩のところで逃してきましたが、2020年東京パラリンピック開催国として、初出場を果たします。世界的なサッカー人気もあり、出場国も選手の強化につとめていますが、ブラジルが現在、4連覇中です。サッカー強国ブラジルの連覇を止めるチームが現れるのか、注目が集まります。
シッティングバレーボール
座ったまま6人で行うバレーボールです。・・・対象【肢体不自由】
皆さんは「シッティングバレーボール」を知っていますか?パラリンピックの競技について初めて聞く、または名前は知っているけれど詳しくは知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか? ここでは、2020年の東京パラリンピックをより楽しむことができるよう基本的なルールや通常のバレーボールとの相違点等を解説します。
卓球
通常の卓球と同じようなルールで行われていますが、障害の程度によりルールが変わってきます。・・・対象【肢体不自由・知的障害】
障害の種類や程度により、クラス分けが行われています。障害の種類や度合いに応じて区分けされ、クラスごと競技が行われます。
パラリンピックの卓球では、身体障害者(義足や車いす、クラッチと呼ばれる杖で身体を支えている)の選手だけでなく、知的障害の選手も参加できます。障害が軽い選手だと、パラリンピックとオリンピック両方の試合に参加する選手もいます。
PDF:卓球のクラス分けはこちら
ボッチャ
イタリア語でボッチャはボールを意味します。・・・対象【重度脳性まひや同程度の四肢重度機能障害】
初めてボッチャと言われても、どんなスポーツか思い浮かぶ人は少ないでしょう。イメージとして、「床の上のカーリング」と例えられることが多いです。ここでは、パラリンピック正式種目のボッチャのルールと魅力を紹介します。ボールを投げて、的(ジャックボール)に近いほうに得点が入るというシンプルな競技ですが、一投に込められる、緻密な戦略、ミリ単位での攻防戦など見所がたくさんあります。
バドミントン
2020年東京パラリンピックから正式種目です。・・・対象【肢体不自由】
得点は21点先取で1ゲーム獲得となり、2ゲームを先取した方の勝利です。ネットの高さや基本的なルールは一般のバドミントンと同じですが、障害の種類や程度によってルール変更が加えられています。男子と女子があり、障害に応じて大きく車いすと立位のカテゴリーに分けられます。競技は各カテゴリー内で障害の種類と程度によって更に細かく分けられたクラスごとに行い、順位を競います。それぞれ1対1のシングルスと2対2のダブルスがあります。
カヌー
2016年リオ大会からパラリンピックの正式競技となりました。・・・対象【肢体不自由】
カヌーは、ボートのようにオールを使って後ろ向きに進むのではなく、パドル(櫂)を漕いで前向きに進む小舟で、カヤックもカヌーの一種です。1艇に1人が乗り、8艇が一斉にスターし、200mの直線コースで着順を競う個人種目です。カヌーには、水をかく*ブレードが片方に付いたパドル(シングルブレードパドル)使用し、パドルを左右に持ち替えることで進行方向を調整します。体幹や下肢障害の選手を対象としたスピード感あふれる競技です。
サイクリング
自転車競技とも呼ばれていて、計50種目のレースが有ります。・・・対象【肢体不自由、視覚障害】
パラサイクリングの種目は大きく分けてロードレースとトラックレース2つに分けられ、それぞれタイムや着順を競います。
トラックレースは、タイムトライアル、パーシュート(団体追抜競走)、1000mと500mのスプリントレースなどがあります。スピード感があるレース展開が繰り広げられます。
ロードレースは、一斉にスタートし、最初にゴールをした選手が勝利するシンプルなレースです。距離は数十キロからクラスによって100㎞にも及び、その中で壮絶な駆け引きがが繰り広げられます。レースによってはゴール直前で勝負が決まることがあり、最後まで目を離せないレースです。
PDF:自転車競技のクラス分けはこちら
馬術
パラリンピックで行われる馬術は、馬場馬術競技で人馬一体となった演技の正確性と芸術性を男女混合で競い合います。・・・対象【肢体不自由、視覚障害】
PDF:馬術のクラス分けはこちら
柔道
オリンピックとの違いはコーチが試合中、コーチ席から選手に指示を与えることが認められているのが特徴です。・・・対象【視覚障害】
視覚障害者の柔道は、1931年に日本の盲学校で取り入れられ他のが始まりで、その後、近畿から全国に広まりました。パラリンピックには1988年のソウルパラリンピックから正式に採用され、日本選手6名、役員2名を派遣し、金メダル4個、銀メダル2個を獲得しました。これ以降、世界中で国際大会が盛んに開催され、現在パラリンピックにおいてメイン競技になっています。
パワーリフティング
東京2020大会では男女各10階級が実施される予定です。・・・対象【下肢障害】
ウェイトリフティングとパワーリフティングがあります。ウェイトリフティングはスナッチとクリーン&ジャークの2種目があります。両種目も床上から、バーベルを持ち上げる競技です。パワーリフティングではスクワット、ベンチプレス、デッドリフトの最大重量の合計を競います。パラリンピックでは、パラ・パワーリフティングと呼ばれ、ベンチプレスが競技種目になっています
ボート
競技用のボートに乗り、ブイで仕切られた6つの直線コースで競います。2017年からオリンピックと同じ2000mで競います。・・・対象【肢体不自由、視覚障害】
ボートには大きく分けて二種類の競技があります。ひとつ目は「スカル」。これは漕ぎ手が両手に1本ずつ、スカルという短めのオールを使用します。もう一つは「フォア」。4人の漕ぎ手がそれぞれ1本のオールを使用します。パラリンピックでは障害の程度によって以下の競技に分かれます。
射撃
パラ射撃は、肢体不自由の選手を対象に行われ、ライフルやピストルで遠方に固定された円状の的を撃ち、その正確性を競う競技です。・・・対象【肢体不自由】
パラリンピックの射撃は、肢体不自由の選手を対象に行われます。ライフルやピストルで遠方に固定された円状の的を撃ち、その正確性を競います。撃ち抜いた位置によって点数が与えられ、制限時間内に規定の弾数の射撃を連続して行い、合計得点によって勝敗が決まる競技です。筆者のライフルでの実弾射撃と空気銃での射撃の感覚の違いなど経験を交えて紹介させて頂きます。
PDF:射撃のクラス分けはこちら
水泳
水泳は一般の競泳競技規則に準じて行われますが、障害の種類や程度によって一部の規則が変更されています。・・・対象【肢体不自由、視覚障害、知的障害】
パラリンピック水泳の歴史は、第1回パラリンピックローマ1960大会から行われています。競技はできるだけ条件を揃え公平に行えるよう、選手は障害の種類や程度、運動機能などによりクラス分けされ、それぞれのクラスごとに競います。選手はそれぞれの障害に応じて全身を駆使して、独自のスタイルで泳ぎます。その個性豊かなフォームは、「残されたものを最大限に活かす」というパラリンピックの精神を強く体現しています。
PDF:水泳のクラス分けはこちら
テコンドー
いなすか打つか。選手の個性に合わせた攻守に注目です。・・・対象【上肢に障害のある肢体不自由】
蹴り技を特徴とする格闘技で、基本的なルールはオリンピックとほぼ同じですが、パラリンピックでは上肢に切断や機能障がいのある選手が対象です。障がいの程度により、重いほうから順にK41からK44まで4つのスポーツクラスに分けられ、男女別に体重階級制(各3階級)で競う格闘技です。
トライアスロン
1人で3つの種目(スイム、バイク、ラン)を連続して行い、その合計タイムで競い合います。・・・対象【肢体不自由、視覚障害】
車いすフェンシング
刹那の剣戦、瞬間の攻防。一瞬の駆け引きと息詰まる攻防戦が見所です。・・・対象【下肢に障害のある肢体不自由】
車いすフェンシングとは、下半身に障害を持っている選手を対象とした、車いすに乗りながら行うフェンシングです。パラリンピックの車いすフェンシングは、基本的にオリンピックのフェンシングとあまり変わりません。大きく異なるのが、通常のフェンシングが立って行われますが、車いすフェンシングの試合は、コートに車いすを固定します。そのためフットワークが利用できない代わりに、上半身を巧みに使った戦い方が要求されます。また、一瞬の判断で勝敗の決する、非常に攻撃的な側面もあります。互いに剣が届く近距離での攻防は、一般のフェンシングにも負けない迫力があります。
陸上競技
種目と参加人数が最も多い競技です。己の能力を限界まで引き出した選手たちが見所です。・・・対象【肢体不自由、視覚障害、知的障害】
*陸上競技選手のクラス分け表記
クラス分け表記はアルファベットと数字で表記します。T(トラック競技・・・100m走からマラソン競技など)、F(フィールド競技・・・投てき競技、やり投げ、砲丸投げなど)が該当します。
*数字の振り分け
数字は10番台~60番台まであります。二桁目の数字は、主たる障害の種類や競技形式を表し、一桁目の数字は、障害の程度の軽重を示します。競技種目によって0~9まで振り当てられます。数字が小さいほど、障害の程度は重くなります。
11~12番台は「コーラー」や「併走者」が付く視覚障害者、13は弱視者が該当します。20番台は知的障害者。30~34番台は車いすを使用する脳性麻痺のある競技者、35~38番台は脳性麻痺でも立位で競技ができる選手。40~47番台は、低身長または四肢切断のある競技者(義足未使用)、機能障害のある立位競技者、51~54番台は、下半身及び上半身に障害がある競技者。55~57番台は下半身のみ障害がある競技者で、車いすや投てき台を使用します。61~64番台は、切断などで義足などを使用する競技者が該当します。
例T11・・・トラック競技で全盲の視覚障害があり、「併走者」が付く競技者。
例F44・・・フィールド競技で、片側の下肢が50%以上を切断しており、義足を装着して競技する者。
PDF:クラス分けの詳しい表はこちら
アニメで分かりやすくパラリンピックのルールを覚えよう
パラリンピック広報企画の中に、1本のアニメを通してパラリンピック種目を紹介するものがあります。その名も「アニ×パラ」といい、NHKが主導となって行っています。
薄味な啓発ビデオに留まらず様々な有名アニメや原作者とコラボしており、元作品の特別回という一面も備えながら楽しくパラスポーツを知ることが出来ます。
アニメ×パラスポーツ「アニ×パラ」|NHKアニメワールド
https://www.nhk.or.jp
参考文献
TOKYO2020
https://tokyo2020.org/jp/
日本パラリンピック委員会
https://www.jsad.or.jp/paralympic
日本財団パラリンピックサポートセンター
https://www.parasapo.or.jp
身体障害 知的障害