ストレスと上手に付き合えていますか?前編~自動思考の修正とストレスコーピング
その他の障害・病気あなたは今、ストレスをかかえていますか?2012年の労働者健康状況調査によれば「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスがある」と答えた人は60.9%もいたそうです。現代社会は「ストレス社会」と言われるほどストレスを抱えやすいものであり、精神疾患の予防や再発防止のためにも、上手にストレスと付き合うことは必要不可欠です。
そもそもストレスってなに?
ストレスとは何か、ということを考えたことがありますか?個人にとって負担に感じるものやできごとを「ストレッサー」と呼び、そのストレッサーにより引き起こされた反応のことを「ストレス反応」といいます。「ストレス」は「ストレッサー」と「ストレス反応」の総称を指すことばのことなのです。 ストレッサーを完全に取り除くことができればよいのですが、現代社会においてそれはほぼ不可能です。ストレッサーとなるものは人によって異なるので、自身がストレッサーと感じるものはなにか一度振り返ってみるのもよいかもしれません。ちなみに私は、自分が納得できないことの強要、タバコの煙や臭い、時間的に余裕がないこと、空調の効きすぎなどがストレッサーになると自覚しています。新しい環境を探すときは自分にとってのストレッサーが少ないところがよいのかもしれませんね。
うつ病に限らず、高血圧症、胃・十二指腸潰瘍、心筋梗塞などのストレス病予防のためには、ストレス反応を起こしていないか?と自覚できることも大切です。私自身が自覚しているものとしては、納得できないことを強要されたときなどに来るイライラ感、緊張から来る腹痛、疲労を感じると味が濃いお菓子やジャンクフードを食べたくなる食事の偏り、日々の疲労が蓄積することによる抑うつ感や不安感などがあります。こういった症状を感じたら、「もしかして自分では気づかないストレスを感じているのかも?」と自問するようにしています。もちろん、ストレス反応はストレッサー同様、個人差があることには注意が必要です。
ストレス対処を考えてみよう
私は双極性障害なのですが、イライラが続くと躁転し、疲労が蓄積するとうつ転する傾向があるのではないかと自己分析しています。ストレス病や症状の再発を防ぐためにも、早め早めのストレス対処が求められます。ストレス対処はコーピングと言われ、コーピングにはストレッサーを取り除く「問題焦点型」と不安定な気持ちを安定させる「情動焦点型」があります。
その考え方、悪い癖じゃないですか?
突然ですが、あなたは今喉がカラカラで、目の前にはコップ半分の水があるという場面を想像してください。その時に「半分も飲める!」と考える方もいれば、「半分しか飲めない!」と考える人もいるでしょう。極端な例ではありますが、これは認知の仕方が影響していると言われ、ストレスを感じやすい人は認知の歪みがあると考えられます。この認知の歪みは私にあて
はまることも多くあります。
中高生のときからよくない考え方の癖はありました。受験の時期だけを見てみても、休むことなく毎日勉強すべきだという「べき思考」があり、一日でも勉強を休んでしまったらもうおしまいだという「全か無か思考」から毎日続けていた勉強を突然ストップしてしまいました。模試の結果が悪いと、もう勉強しても意味がないという「論理の飛躍」や自分自身に対する悪い「レッテル貼り」など本当によくない考え方ばかりしていたと思います。
今は、認知行動療法の研修や、自分が今までのうつ期や躁期を振り返ることで、気持ちがシンドいと感じたときには、悪い考え方の癖がでていないか?と自問すると楽になることがあると気づきました。悪い考え方の癖を根本から正すことができればよいのですが、それは一朝一夕で身に付くものではありません。「おかしいなと思ったときに立ち止まるだけで十分だ」。これも思考を修正した結果の一つです。
コーピングを試してみる上で
こういった自動思考の修正の他にも、趣味に没頭する、適度な運動をする、アロマセラピーや呼吸法などのリラクセーションを行うなどもコーピングと言えます。コーピングにはさまざまな種類があり、同じコーピングであっても人によって合う・合わないがあります。また、自分に合うコーピング方法が見つかった!と思っても、それを繰り返し続ければよいというものでもありません。趣味だと飽きが来てしまうことや、それができない環境に置かれること、相談することでストレスが軽減されるとわかっていてもその相談相手が一人しかいないと相手の状況で話ができないなど、一つしかコーピング方法がないとそれができないときに、よりストレスを抱えてしまうことになってしまいます。また、情動焦点型しか行わない状況はストレス要因を取り除くことには繋がりませんし、問題焦点型ばかりだと自身ががんばらなければならない場面が多く、燃え尽きてしまうかもしれません。
上記の通り、自身に合ったコーピング方法をできるだけ多く探してみる必要があるわけですが、私は自分と気が合う人や尊敬できる人が趣味やコーピングとしているものをできる範囲で試してみるということに挑戦しています。読書をする、普段は聴かないジャンルの音楽を聴くなどは、それによって初めて身に付いたコーピング方法です。また、自分とは異なる観点からものを見ることができる人の意見は出来る限り素直に受け取るように努めています(まだまだ挑戦中なところではありますが…)
自分に合ったコーピング方法がわからない!という方は、身近な人の趣味や考え方を参考にすることから始めてみてはいかがでしょうか?「どうせ合わないから…」とやりもせずに決めつけてしまいがちな人は、自分の思考の癖を見直してみてもいいかもしれませんね。
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参考文献
メンタルヘルスマネジメント検定 II種・III種 テキスト&問題集 第二版 一般社団法人EAPコンサルティング普及協会著 翔泳社
その他の障害・病気