ある日突然襲ってきた謎の震え
その他の障害・病気こんにちは。ひよっこと申します。私はある日を境に震えるようになりました。震えと聞いてどのようなものを想像されるかは人それぞれかと思います。
高校に入学して間もないある日の授業中のことでした。名前を呼ばれ、問題の答えを聞かれた瞬間、私が震えた場所は頭でした。頭が真っ白になり、何も考えられなくなったのを今でも鮮明に思い出します。今でも毎日自分と闘っているこの震えについて、お話をさせていただきたいと思います。
どのような震え方なのか
怒りなどでどうしようもないとき、こぶしを強く握りしめ続けた経験のある方はもしかするとわかるかもしれません。わからない方は試して頂きたいです。まず、握りこぶしを作ります。そしてそのこぶしをこれでもかと強く握りしめ続けてみて下さい。ふるふると、ガタガタと、震えませんでしたか?私はそのような震えが首から上で起こります。それと同時に、頭が締め付けられるような頭痛も起こります。前兆があるときはまず首が硬直して動かなくなり、頭が震えます。前兆がないときもあります。
どのようなときに震えるのか
初めて震えたときの状況は、自分自身の強い緊張と、張り詰めた空気。授業中なので皆が黒板を向いていて、後ろの人の視線が気になる前方の席に座っていて、同じ空間に苦手な人がいる、というものでした。
場面でいうと、授業、会議、食事の席、コンサートなどです。すべてに共通しているのは皆が同じ方向を向いている、または向かい合っていること。そして張り詰めた空気であることです。
ざっくり言うと、緊張度が高いときに起こります。具体例を挙げると、人と目が合ったとき、体を動かそうとしたとき、言葉を発そうとしたとき、じっと黙って話を聞いているとき、静かな空間で突然大きな音や声を聞いたとき。酷いときは目を動かすとき、唾を飲み込もうとしたとき。挙げだすときりがないのですが、まだまだあります。
困っていること
初めのうちに対処できていれば酷くならずに済んだのかもしれませんが、10年近く経った今でも、この症状は治っていません。震えるだけなら別に何も問題ないんじゃないかと思われる方もいるかもしれません。しかし困っているのは、頭痛や、震えるタイミングがわからずコントロール出来ないこと。他には、震えを人に見られたくないので必死になって、頬杖をついたり、姿勢を崩したり、うつぶせに寝たり、目線を合わせられなかったり、相槌を打てなかったりします。そのため、“この人はやる気が無いんじゃないか”と思われること、思わせてしまうことが辛く、困っています。そして一番困っているのは、震えることにより、何も考えられなくなり、頭が真っ白になってしまうことです。
心療内科へ
これら全てが恥ずかしい事のように思い、誰にも相談することができずにいました。“あ、今震えたということは緊張しているんだ”と思われたくなかったからです。そして、初めて震えが起こってからだんだんと症状は酷くなっていきました。約1年半我慢しました。とっくに限界は超えていました。
親にも恥ずかしくてきちんと言えなかったので、ごまかして「頭が締め付けられるように痛い。授業がまともに受けられない」と相談しました。様子がおかしいことに気付いてくれたようで、親の知人のお子さんが通われていた心療内科に連れて行ってもらいました。高校2年生の秋のことでした。しかしそこでも何故か恥ずかしさがあり、医師に対しても本当の悩みを打ち明けられず、親に相談したときのようにごまかしてしまいました。「気持ちを落ち着かせる作用のあるサフランを出しておくので、お湯に溶かして飲んでください。」と言われ、病院を後にしました。本当の悩みを言えていないので、もやもやとし続けました。気付けばきちんと説明できていない状態が何年も続いていました。
数年経った頃、やっと病院にも慣れてきて、徐々に本当に悩んでいることを打ち明けられるようになってきました。この症状は、私の持っている不安障害も関係しているそうで、不安度・緊張度が高いときに起こるそうです。不安を和らげるために漢方薬などもたくさん試しました。そして最近病院でわかったことですが、脳の扁桃体という部分に、幸福物質と呼ばれるセロトニンが足りていないことが震えの原因だということです。治療法は無いそうです。なので、今の自分に合っている薬を飲んで様子をみることになっていて、いつか治ると信じて今も毎日自分と闘っています。
まとめ
この症状が出始めたことによって、いろんな方に伝えたいことが生まれました。それは、人を少し見ただけで判断しないでほしいということです。「なんでこの人はこんなことをするんだろう、変わってる」という言葉を耳にしたことがあります。誰もが悩みや困りごとを持っています。その人がとる行動はその人にとってのそれかもしれません。
少し話が逸れますが、私の母は心臓の病気があり、階段を速く上ったりすることなどが難しいそうです。後ろを歩いたりしている人からすれば、「こっちは急いでいるのに遅い」など思う方もいるかもしれません。以前までの私は、誰かに対してそう思ってしまうことがありました。しかし自分の震えの症状が起こったことと母の状態がわかったことから、“この人は母や私と同じように何か困っているのかもしれない”と、誰かを見るときにそういう風に思うことは無くなりました。そして、自分勝手な考え方をしていたなと、今では反省しています。
もしあなたがそういう場面に直面したら、一度立ち止まって、“もしかしたら・・・”と考えてみてほしいのです。大げさかもしれませんが、世の中が少し変わって見えてきます。もちろん、良い方向に。
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