障害年金について 後編~障害年金受給者から見る実情と体験談
その他の障害・病気◀過去の記事:障害年金について 中編~障害年金の現状と問題点
前回の記事で障害年金にまつわる問題点や留意するべきについて明らかになったかと思います。
要点だけかいつまむと
・「水際作戦」に注意
・「審査期間は長く審査基準もシビア」
・「書類作成の負担からプロへの依頼が有効」以上3点でした。
本記事では、筆者の体験も踏まえた実情や、新しく整備された制度について解説していきます。
障害年金を受給するに至った経緯-筆者の体験談-
私は区の福祉制度を活用しており、年に一度CW(ケースワーカー)が代わる代わる担当につきます。その担当CWから促されたのが障害年金を受けるきっかけでした。はじめは一人で年金事務所に赴き、説明を受けに行きましたが、窓口担当者は私が把握していない制度や言葉を駆使し、受給という目的をなあなあにされて、見事追い返されてしまいました。
これが前述した「水際作戦」です。単身で行くとこのように押し負けてしまいに度と足が向かなくなる…なんてことになりかねませんので、同伴者をつけることをおすすめします。
その後も担当CWが変わるたびに障害年金を受けなさいと小言を言われるので、4人目のCWの時に重い腰を上げました。本来であれば在住地域の障害者就業・生活支援センターに相談に行くのがセオリーですが以前、当事者の方に紹介された別地域の障害者就業・生活支援センターの支援員に相談しました。支援員の方は私の話を聞くとすぐに、障害年金を何人も受給に導いたとされる別の相談員に連絡を入れ、その場に呼んでくださいました。そして3者で今後についての計画を練りました。(この方は発達障害者支援センターの相談員で士業の方ではありません)まず、年金事務所含め多くの窓口では当事者一人だと適当に対応されると経験的に感じており、相談員の方もそれを重々承知してくれました。
そして、窓口は申請書類の事務処理などあくまで相談ではなく意思表示をする場というのも教えてもらいました。なので書類はあらかじめ事前に用意し、事務所窓口には書類を出すだけと決めました。相談員さんには私が負担になることは極力抑えつつも最短かつ最適な道筋を立てていただきました。その結果、私が直接相談員の方とお話したのは片手で数える程度で収まり、相談を始めてからおよそ2ヶ月で申請が終わり審査含め半年以内に決着がつきました。そのおかげで現在私は障害基礎年金2級を受給しています。
※当事例は個人情報につながる地名や名前を伏せています。必ずしも読者さまの地域に該当するものではないことをご了承ください。
年金生活者支援給付金について
年金生活者支援給付金は、消費税率増加分(2%)を活用し、公的年金等の収入を含めた所得が一定額以下の年金受給者の生活を支援するために各年金に上乗せして支給されるもので、2019年10月から始まりました。この給付金は「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」全ての年金が対象です。
障害年金の場合の支給要件は2つのみです。
1.障害基礎年金の受給者
2.前年の所得(※1)が4,621,000円(※2)以下である。
なお、給付金申請時に書類の用意は必要ありません。
※1障害年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には該当しません。
※2扶養親族の数に応じて増額。支給額は月額5,000円で物価次第で変動する可能性があります。
これから受給を考えている方へ
はじめにも述べたように障害年金に対するハードルは年々下がってきています。NPO法人、全国にある障害年金相談センターや社会保険労務士、あるいは弁護士も受給に向けて支援してくれます。また私のように無料で手続き代行をしてくれる方もいらっしゃいます。
お住いの都道府県によって支援機関や活用できるツールは様々だと思います。まずは一度、お近くの障害者就業・生活支援センター等にご相談することをおすすめします。申請に関して福祉財源等の不安要素もありますが、3要点と書類をきちんと準備していれば恐れることはないでしょう。
命あっての物種なので、生活の危機を感じる前に申請していただきたいです。皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
参考文献
【厚生労働省-年金生活者支援給付金について-】
https://www.mhlw.go.jp/index.html
【日本年金機構-「年金生活者支援給付金」がはじまりました-】
https://www.nenkin.go.jp/index.html
【NPO法人障害年金支援ネットワーク】
https://www.syougainenkin-shien.com/
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