就労移行支援は本当に生涯2年までなのか
暮らし 仕事就労移行支援とは、障害者の就活と就職後の仕事を支援するために様々な訓練を行う場所です。事業所によって得意な事や考え方やカリキュラムなどは異なるわけですが、何処を利用するかは見学の段階で精査し慎重に判断せねばなりません。
なぜならば、就労移行支援には2年という期限が設けられているのです。しかも、一つの施設ではなく全ての移行支援で共通の期限とされ、移行支援を利用するならば2年以内に就職せねばなりません。しかも2年という期限は途中で利用を中断したり首尾よく就職出来たりしても回復することは無いのです。
ところが2年かかっても就職に漕ぎつけないケースは十分にあり得ます。特に最近は新型コロナ問題によって通所そのものを自粛している施設が多い筈です。最大1年延長できる制度もあるのですが、そこにも懸念材料があり、移行支援の利用者には息苦しい時期となるでしょう。そもそも、本当に生涯で2年しか利用できないのでしょうか。
延長出来るかは審査が必要。
就労移行支援の期限である2年間を使い果たしたとしても、最大1年間延長してもらえる可能性は残されています。ただし、誰でも確実に延長できるわけではありません。自治体ごとの審査会によって判断され、延長によって就労できる根拠が認められれば延ばしてもらえます。逆に延長しても就労が困難と判断された場合は移行支援以外で頑張ってもらうことになります。
なぜ審査が必要なのかと言いますと、2年間を無為に過ごすような利用者や事業所まで延長させないためです。「2年では間に合わなかったが、もう1年あれば就労できるだろう」と判断した人だけが延長を受けられるよう審査会が判断するのです。しかし審査会が実際にその利用者や事業所を見に行くわけでもないので、2年間頑張っていれば延長が認められるとは限りません。
移行支援での就労が叶わなかった場合、就労に向けての訓練や活動は継続支援へ移ることになります。大抵はB型事業所へ移ることになるのですが、就労に関して停滞的な事業所も少なくないため却って就職から遠ざかってしまう可能性もあります。
2年間で決まらなければ原則再利用は出来ないというのが通説ですが、B型に移ってから一般就労が可能と見込まれれば厚生労働省のいう「再チャレンジ」を認められる可能性があるとも言われています。この辺りについては厚生労働省の資料ですら不明瞭で分かりにくい部分が多い事情も絡んでいますね。
事業所選びから本気で取り組む
期間における諸問題を確実に回避するには、2年以内に一般就労することです。そのため、就労移行支援を受ける際はどの施設に通うかの段階でじっくり精査し、自分に合う施設を利用できるようにするところから始まります。
施設が特に力を入れていることや通所の距離、毎日の習慣まで見学や体験入所でチェックしていきます。毎日通い続けられるかどうかや自分の就職でプラスとなる技能が習得できるかどうかなど、自分の中で優先したい項目と妥協してもいい項目をハッキリさせたうえで利用するかどうかの判断材料とします。
私の経験では、見学だけで「通所が遠い」「毎日走り込みがある」「やることは軽作業中心」「しかも班活動なのでコミュニケーション必須」「目的のPC訓練は申し訳程度」と合わない要素が数々分かって利用を見送ったことがあります。もし考えなしに入っていたら2年の期限を無駄にしていたかもしれません。
最後に肝心なことをお伝えしますと、就労移行支援は就職先を斡旋する場所ではありません。就活そのものを成功に導くのは自分自身となり、受け身の姿勢で居られる時間はほぼ一瞬です。そこまでして一般就労に拘る理由を問われれば、やはり「企業に雇用されずに生きるのが難しいから」と答えることになるのでしょうか。確定申告を自分で行うだけでも格段に生きづらさが増します。
参考サイト
就労移行支援サービスの利用対象者と期間・料金・必要な手続きとは?|就労移行支援事業所チャレンジド・アソウ
https://challenged.ahc-net.co.jp
就労移行支援事業を使えるのは一生に二年間だけ - 湾鉄調査部
http://wantetsu.blog61.fc2.com
大人の発達障害者が就労移行支援事業所に通ってわかったメリットとデメリットなど|戦国らいふ
https://sengokulife.com
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