「サヴァン症候群」とは?特定の分野で優れた能力を発揮
その他の障害・病気サヴァン症候群とは
サヴァン症候群は、知的障害や発達障害、精神障害などがある人の中で、特定の分野で優れた能力を発揮する症状のことです。一般的に男性が多く発症し、自閉症の人に多く見られます。発症率は自閉症の方の10%、自閉症以外の知的障害の方や脳の損傷者の0.1〜0.05%とされています。
似たようなものに、アスペルガー症候群があります。アスペルガー症候群も特定の分野で優れた能力を発揮することがあります。ふたつの違いは、アスペルガー症候群は知的障害をともなわず、サヴァン症候群は知的障害や発達障害をともないます。
サヴァン症候群の発見
1887年にイギリスのジョン・ランドン・ダウン博士が、たくさんの本を一回読んだだけですべて記憶して、それを逆から読み上げることができるという驚異的な記憶力を持っているが、学習能力は普通である男性を報告し、その男性を「idiot savant(イディオ・サヴァン)」と名づけました。イディオ・サヴァンとはフランス語で「賢い白痴」という意味で、「イディオ」には差別的な意味があることから、のちにサヴァン症候群と呼ばれるようになりました。
サヴァン症候群の能力
具体的な能力としては、次のようなものがあります。
・カレンダーを見ないで、特定の日の曜日が分かる。
・本を一度読んだだけですべて暗記することができる。
・写真や風景を、少し見ただけで細かいところまで覚えて描くことができる。
・一度聴いた音楽を、楽器で忠実に再現することができる。
・円周率や平方根などを膨大な数、暗記、暗唱したり、暗算したりすることができる。
サヴァン症候群の原因
サヴァン症候群の原因は、いくつか説があるものの特定はされていません。先天的な脳の障害だけではなく、事故などで脳に損傷を受けたときにも発症します。そのため現在では、脳の欠損や障害が原因になる可能性が高いと言われ、その中でも左脳の損傷によるものという説が有力視されています。損傷したり異常がある部分を補うために、脳の他の部分が発達して発症するのではないかといわれています。
サヴァン症候群の有名人
・山下清
山下清は「裸の大将」で有名な画家
です。驚異的な記憶力を持っており、旅先で記憶した風景を帰ってきてから描いていたため、サヴァン症候群だったのではないかと言われています。
・キム・ピーク
キム・ピークは、映画「レインマン」のモデルとなった人物です。彼は、9000冊以上の本を暗記して、日付を言えばそれが何曜日かすぐに答えることができました。
・スティーヴン・ウィルシャー
スティーブン・ウィルシャーはイギリスの建築画家です。2005年には、東京を上空から見た記憶をもとに、10m大の細かいところまで再現した絵を描きました。
サヴァン症候群は「天才」と表現されることがあります。優れた才能を持っていることには違いありませんが、同時に困難も抱えています。才能だけに目を向けるのではなく、困難にも目を向けて、正しく理解し支えていくことが大切です。
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