アフターコロナでもテレワーク継続が望まれる理由~引きこもり気質は自粛ムードに救われていた
暮らし5月25日に緊急事態宣言の解除が全国で為され、アフターコロナ時代が到来しました。とはいえ、COVID-19の収束自体が為された訳ではなく、感染対策として出来ることを継続して第二波に備えなくてはいけません。
宣言解除を機にテレワークをやめ通常通りの出勤に戻す企業は出るでしょう。しかし、待っていたかのようにテレワークをやめる姿勢を「働き方改革から逆行して元の木阿弥」「収束して何をしてもいいと勘違いしている」と批判する声は少なくありません。
実際、民間が行った調査によればテレワーク継続を望む意見が回答者の62%を占めていたデータがあります。この調査には効率や満足感の項目もあり、結果からは「効率の低下(66%)は認めざるを得ないとしながらも、テレワーク自体に満足感(57%)はある」という声が示唆されています。
人と会わないから救われる
最大1ヶ月半続いた緊急事態宣言の間は、罰則や強制力こそ無いものの在宅を是とする風潮が醸成されていました。イラついて「自粛疲れ」を起こしたり家庭内の問題が顕在化したり問題もあったようですが、反対に「stay home」の広まりで救われた人もまた多くいます。それは人と会うことに苦痛を感じる「引きこもり体質」の人です。
「引きこもり体質」とは、実際には引きこもっていなくても「外で他人と話すのは億劫だ」「1人で部屋にいる時の方が幸せだ」という考えや信念を持っていることです。ASD持ちに多いのではないでしょうか。こうした人間は「自粛疲れ」など起こしようがなく、寧ろ悠々自適のインドア生活を謳歌しています。(自分がそうです)
実際の引きこもりも含め引きこもり体質にとって救いとなったのは、「外出自粛」の要請が「引きこもっていいよ」というメッセージとして受け取られたことです。感染拡大防止という大義名分のもと、家から一歩も外に出ないのが許されたのです。これが実際の引きこもりや求職者に対し、焦りからの解放や自己肯定感の向上といったプラスの作用をもたらしました。真偽は不明ですが、不登校児が自粛期間の中で元気になったという情報もTwitterで上がっています。
今年4月の自殺者数が例年より減少したと報じられたことからも、外での人間関係から解放された恩恵が窺えます。しかし、経済の停滞による「コロナ不況」の影響が既に出始めており、後で自殺者数が増加する懸念は拭いきれません。
アウトドア至上主義に一石を投じた
内向的でインドア趣味の人間は、昔から外向的なアウトドア趣味の人間に合わせ、忖度し、時に振り回されてきました。中には嘲笑や侮蔑を受けて苦い思いをした人も居ることでしょう。なんにせよ、外向的な人間が優位であり中心であり権力でした。
ところが、全国的な外出自粛によってアウトドア趣味に異変が生じます。外で友達同士が群れてこそ成り立つ趣味は軒並み禁忌とされ、対して中で一人でも出来る趣味はこれまで通り出来る状況となりました。
他人との関わりで元気になる社交派は、外へも行けず友達とも対面で遊べないせいで「自粛疲れ」を起こしました。一方、内向派は他人との関わりで消耗することなく、悠々と自宅で趣味を楽しみ「自粛疲れ」とは無縁の生活を送っています。この逆転現象は、「多様な価値観」の大切さを示唆しているように思えてなりません。
テレワークが推進された状況も、内向派にとって追い風となりました。公私ともに人と会わず済む(+通勤時間ゼロ)ことで、余分なストレスもなく精神的な安定が見込めることでしょう。その実効性が喧伝される前に「宣言解除されたからテレワークを辞めて元通り!」とする企業が多かったのは残念ですが。(コロナに尻を叩かれて嫌々導入したというのが見え見えですね)
電車のクラスター化防止で通勤者も救う
さて、テレワークのしようがない業種や職種にとっては絵空事のようですが、テレワーク出来るところは続けていくことで非テレワーク職を支援することが出来るのです。具体的には、通勤電車を空けられます。
感染リスクの高い場所として多くの人間が密集する場所が挙げられますが、その筆頭となるのはラッシュアワーの通勤電車ではないでしょうか。新型コロナ問題で言えば、乗車率を無駄に上げているのはテレワークが出来るのにやらない社会人です。彼らがテレワークで在宅していればその分電車は空くでしょう。
宣言解除後もなお出来る範囲での自粛を続けることで、インフラや物流や医療など顔を出さねばならない社会人の感染リスクを下げることが出来ます。自分の周り以外にも視野を広げてアフターコロナに臨んでもらいたいところですね。
テレワークは扱う者次第
ところが、テレワークは全ての企業や人間が上手く扱えるわけではありません。特に「サボってるんじゃないか?サボってるんだろう!」と疑ってかかるタイプの人間はテレワークのスタイルと致命的に合いません。Web会議中に「服ダサいね」「子どもを黙らせろ」と言われるなど、ハラスメント報告もあります。
どうにもテレワークには「新型コロナに尻を蹴られて嫌々始めたから本当はよく分からない」というイメージがついているようで、継続に乗り気でない企業が多いのもこの辺りに理由がありそうです。
Web会議にはバーチャル背景を用いるなど自衛策は無きにしも非ずですが、監視用のソフトやシステムに飛びつくような疑り深い人が上司の場合はどうしようもないので、ああいう手合いはテレワークの対象から外した方がいいでしょう。
参考サイト
6割は「アフターコロナ」もテレワークしたい」通勤ラッシュからの解放や感染リスク低下が要因か
https://www.itmedia.co.jp
自粛生活に「幸福を感じた人」が口々に語る理由|コロナショックの大波紋|東洋経済オンライン|経済ニュースの新基準
https://toyokeizai.net
実は外出自粛がうれしい私たち。世界の内向派の声を集めてみたよ|イエモネ
https://iemone.jp
テレワークの相談100倍に 勤務の監視、プライベートを探る”テレハラ”も
https://www.itmedia.co.jp
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