向精神薬とは?心療内科・精神科で処方される薬の種類
その他の障害・病気「向精神薬」とは、「人の精神に作用する薬」の総称です。精神とは何でしょうか? 何となく「気分」や「感情」をイメージしやすいですが、実際に薬が作用するのは「脳」です。「脳の中枢神経に作用することで精神に影響を与える薬」の総称が「向精神薬」なのです。具体的には、精神科で処方される薬や、嗜好品であるタバコやアルコール、麻薬や覚せい剤などもすべて向精神薬に含まれます。
今回はその中でも、精神疾患の治療に使われる向精神薬とその種類を紹介します。
①抗うつ薬
抗うつ薬は、主にうつ病の治療薬として処方され、不安障害の治療薬としても用いられており、以下の神経伝達物質に作用します。
- ・セロトニン(落ち込みや不安に影響)
- ・ノルアドレナリン(意欲や気力に影響)
- ・ドーパミン(楽しみや快楽に影響)
主な抗うつ薬には以下の2種があり、比較的副作用が少ないとされています。
- ・SSRI
- ・SNRI
②抗不安薬
抗不安薬には、不安や緊張を軽減する作用があります。また以下の作用もあるため、不安障害以外で用いられることもあります。
- ・筋肉の緊張を和らげる
- ・眠たくさせる
- ・けいれんを抑える
抗不安薬は、主に「ベンゾジアゼピン系」の薬が用いられます。
③睡眠薬
睡眠薬は、主に睡眠をうながす治療薬として用いられます。主に以下のような種類があります。
- ・メラトニン受容体作動薬(安全で効果は弱め、自然な眠りを促す)
- ・オレキシン受容体拮抗薬(睡眠を促すのでなく覚醒状態を抑制して眠りやすくする)
- ・抗ヒスタミン薬(薬局で購入できる一般用医薬品)
④抗精神病薬
抗精神病薬は、主に統合失調症の対処療法で用いられる治療薬です。抗精神病薬は、「精神病に対抗する薬」という意味でこの名称になっています。「精神病」という名称が患者への偏見、誤解につながるという理由から「統合失調症」になりました。したがって「抗精神病薬」は時代遅れの名称といえるでしょう。
⑤気分安定薬
気分安定薬は、「精神科の薬」の1つです。気分の波を取る作用のある薬で、主に双極性障害(躁うつ病)に用いられます。
精神疾患の治療以外で使われる薬としては、紹介した以外にも抗認知症薬、抗パーキンソン病薬、抗てんかん薬などがあります。今回紹介したすべての薬が精神に作用する薬であり、これらを総称して「向精神薬」と呼びます。
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