過食症とは?背景に潜むココロの葛藤
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一般には「過食症」と呼ばれていますが、正式な病名は「神経性大食症」で、「神経性過食症」とも呼ばれます。食べ物を一気に食べた後、食べたものを何らかの方法で排出しようとする特徴があります。最悪の場合、自己嫌悪から自殺を図る事もあり、その確率は拒食症よりも高いそうです。今回は、「過食症」の原因・症状・治療法について紹介します。
過食症の原因
過食症や拒食症は、基本的に同じ性質の病が異なる形で現れたものと考えられています。過食は基本的に拒食のリバウンドであり、過食症の人たちは「痩せたい、痩せていたい」と思っている人たちなのです。痩せたいのに過食してしまうのどうしてなのでしょう。過食症にいたる原因には、主に以下のような心の問題があるとされます。
・痩せていることを賞賛する社会的風潮に影響を受けている。日本の女子高校生を対象にした調査では、全体の約9割が今より痩せたいと答えたそうです。飽食の現代において痩せていることは、克己心、禁欲、美しさ、高い精神性の現れと見なされるきらいがあります。
・モデル、フィギュアスケート、ボクシング、騎手など、体重管理を伴うスポーツや職業に頻繁に見られる過食や嘔吐症も原因の一つとされます。
・思春期や反抗期などの自我の発達する時期に、友人以外の人から自分の悩みをしつこく聴かれるのが不快で、打ち明けたいという気持ちすら持てなくたったためという仮説もあります。
・脳の「セロトニン」と「ドーパミン」などに障害があるという研究もなされています。
過食症の症状
過食したことへの代償として以下のような行為につながります。
・激しく飲食した後に食べた物を吐いてしまう(過食嘔吐)
・下剤・利尿剤・薬物などを服用して食べた物を排出する
・過度の運動や絶食をする
代償行為を伴わない過食もあります。その場合は「むちゃ食い障害」と呼びます。
過食症の治療方法
過食は、拒食と同様に、周期的に繰り返される場合が多いので、心療内科や精神科医を受診したり、心理カウンセラーのカウンセリングを受けることが有効です。
また、体重が適性値に戻っても、その背景にある心の問題が解決されなければ再発することがあります。背景の問題解決には家族や周囲の協力が必要です。家族が対処方法を学ぶことが特に有効となります。
①薬物療法
過食症は心の問題を原因とする障害なので、メインの療法としてでなく、他の治療法を行いやすくしたり、その効果を高める補助的な手段として用いられます。
治療薬の「SSRI」は安全性が高く、過食症に伴って発症する抑うつ、強迫観念・不安感、衝動性などに有効とされます。SSRIはうつ病の治療にも用いられますが、過食症の治療ではそれよりも容量が多くなる場合があります。
吐き気によって治療薬を服用しづらい場合は、定期的に薬の血中濃度を測定することが有用とされています。
②薬物療法以外の治療法
薬物療法の他には、下記などがあります。
・規則正しい食事
・食べられる食物の種類を増やす
・慢性的な低栄養状態の改善
・適度な運動
***以下の5つ拒食症と同じ治療法です***
・行動療法
・認知療法
・対人関係療法
・家族療法
・栄養リハビリテーション
過食の発症の根本原因は背景にある心的葛藤です。拒食症同様、患者さんが一人で立ち向かうのが容易でない病気なので、家族や周りの協力が求められます。
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