ハンチントン病とは?その症状・原因と治療法
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「ハンチントン病」は、1872年に米国の神経科医 G・S・ハンチントンにより報告された病気で、30〜40代で発症することが多い遺伝性の神経疾患です。
体を捻るような不随意運動が特徴で、この運動が踊っているように見えることから「舞踏病」とも呼ばれます。この不随運動以外にも、知的機能の低下や、性格の変化などがあり、それらの症状がゆっくりと進行していきます。
日本では、人口10万人あたり0.7人の患者が報告されています。この数は欧米の10分の1であり、人種によって発症頻度がやや異なる傾向があるようです。発症時期は小児期から老齢まで様々ですが、30歳くらいで発病する患者が多いそうです。男女差はほとんどないそうです。優性遺伝の病気であるため、両親のどちらかが同じ病気である場合がほとんどで、普段の食べ物や生活様式との関連はないそうです。
ハンチントン病の症状
ハンチントン病の症状とその経過は患者ごとに様々です。一般的に社会生活を独力で送ることができなくなるまで症状が進行するのには、発病から10年以上かかるそうです。
ハンチントン病の主な症状には以下があります。
①初発症状
発症初期には、以下のような運動・精神症状や行動異常が見られます。
・細かい動作ができ難くなる
・顔をしかめる
・手先が勝手に動いてしまう
・落ち着かなくなる
・うつ状態になる
②運動症状
以下のような細かい動作や、同じ動作を続けることが出来なくなります。
・箸がうまく使えなくなる
・字をうまく書けなくなる
・物を落としやすくなる
・転びやすくなる
症状が進行すると、あらゆる動作がし難しくなり、介添えも必要になってきます。
・歩行が不安定になる
・つまずきやすくなる
・食事中にむせやすくなる
・話がしづらくなる
③不随意運動を伴う症状
自分の意志とは無関係に以下のような動きが見られるようになります
・顔や手足が素早く動いてしまう
・手先が不規則に、勝手に動いてしまう
・首が動いてしまう
・顔をしかめてしまう
・舌打ちをしてしまう
・この他にも患者によって様々な舞踏運動が見られる
④精神症状
普通の認知症に見られる物忘れや、記憶障害は目立ちませんが、物事を計画して実行する能力や、全体を把握する能力などに障害が見られます。また、怒りっぽくなる性格変化や、同じことを執拗に繰り返す行動変化が見られます。この他にもうつ症状が見られることもあります。
ハンチントン病の原因
ハンチントン病の症状が生じるのは、脳の大脳基底核や大脳皮質が萎縮してしまうためだそうです。CTやMRI等の画像検査をすることで、その変化を視ることができます。
ハンチントン病は、常染色体優性遺伝の病気です。具体的には、第4染色体に局在してい「IT15遺伝子」(ハンチンチンとも呼ばれる)に、正常時では見られない変化が生じて発症することが最近明らかになりました。
遺伝子には4種類の核酸が存在し、正常なIT15遺伝子の一部には核酸3個(シトシン/アデニン/グアニン)の繰り返し配列があります。この繰り返し配列がハンチントン病の患者では異常に伸びており、これが原因で病気が発症することが明らかになったのです。原因となる長い繰り返し配列が生じる理由については、まだ解明されていません。
ハンチントン病の治療法
残念ながら、現在のところ根本的な治療法はまだないそうです。 ハンチントン病の症状のうち、不随意運動を伴う症状と精神症状には、それを緩和する薬があります。平成13年に症状の一つである舞踏運動に効果のある薬が日本でも使用を認可されました。しかし副作用があるため、主治医とよく相談し、指示を守って服用する必要があるようです。薬の持続時間も比較的短かく、1日3回服用することになるそうです。
難病の一つであるハンチントン病の原因ができるだけ早く究明され、画期的な治療薬が開発されることを願うばかりです。
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