こんなに怖い!脳外傷の恐ろしさ
その他の障害・病気以前、ウェルニッケ失語症とブローク失語症について書きましたが、その際に「脳外傷ってこんなに恐ろしいんだ!」と感じたので、お話したいと思います。
脳外傷の概要、原因
脳は生命維持や知覚、運動、学習思考など、人間の様々な生活をつかさどり、頭蓋骨に頑丈に守られています。しかし、頭部に激しい衝撃を受けると、脳組織に損傷がおよぶ時があります。
脳組織の損傷状況から、脳挫傷、頭蓋内出血などと診断されます。原因ですが、主に交通事故によるものが多く、患者も若い男性が多いようです。
脳外傷に伴う後遺症
後遺症で高次脳機能障害となりますと、運動麻痺、失語症、意欲障害、性格変化、情緒障害などをひき起こしますが、損傷箇所によって出る症状は異なります。
例えば、事故によって、頭部を道路などに強い衝撃でぶつけて、脳が頭蓋骨の内面の凹凸によって傷ついてしまったとします。その時にダメージを受けてしまう所の多くは、前頭葉と側頭葉です。
前頭葉の背外側部というワーキングメモリーの役割をしているところを損傷すると、計算や学習能力が低下し、状況に合わないパターン化された行動を行い、問題解決能力が低下が起きやすくなります。基底部という睡眠・覚醒を行う所だと、抑制が効かなくなり、怪我以前よりも性格が変わったと言われたり、内側部だと意欲の低下が起き、言われないと行動しないことが起きます。
記憶中枢のある側頭葉だと記憶障害が起き、怪我以前のことは思い出せるのに、以後のことを覚えるのは難しくなります。メモやカレンダーを使って記憶の補填を行えればいいですが、前頭葉の損傷によって起きた意欲障害や注意障害が重なると、メモやカレンダーでの記憶の補填が難しくなります。
脳外傷患者の福祉サービス
脳外傷により高次脳機能障害などの後遺症が起きた場合は、家庭や社会へ復帰するために障害福祉サービスを利用することができます。高次脳機能障害の原因となった疾患や年齢に応じて使える制度やサービスがありますので、まずはお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみましょう。
福祉サービスで支援を受けることで、社会復帰にうまくつながる場合もありますが、当事者の方の中には、事故以前の仕事が出来ると思い込んでいる方もおり、障害の自覚があまりなく、社会参加が難しい状態の方も少なくありません。根気強い支援が必要になる場合もありますが、周りの方が障害について正しく理解して、本人の段階に合わせて無理のない支援を継続していくことが大切です。
参考文献
障害保健福祉研究情報システム_脳外傷と高次脳機能障害
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n216/n216_11.html
障害保健福祉研究情報システム_高次脳機能障害者が地域で生活をするうえで必要なサービス
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n259/n259_04.html
NPO法人脳外傷友の会_脳外傷とは
http://www17.plala.or.jp/nana516/nougaisho.html
認知障害とは(2) 前頭葉機能障害と認知障害
http://www.geocities.jp/s206z/cognitive02.htm
前脳基底部 – 脳科学辞典
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8
その他の障害・病気