丸山穂高議員の適応障害診断から考える精神疾患表明の是非
ニュース その他の障害・病気北方領土に関する失言で維新から除名処分を受けた丸山穂高議員。その直後、訪問していた国後島での大暴れぶりまで報道され、日本中にその醜態が知れ渡りました。
理事会での事情聴取に対しても「適応障害」の診断書を出して2か月の休養を申し出、巷からはSNSなどを通じ怒りの声が噴出しました。
問題を起こした政治家などの権力者が入院するのはよくある流れで、「本当に病気なのか?」と疑われるのも珍しくないです。ただ今回は、具体的に「適応障害」を掲げたことで少し拗(こじ)れているのかなという印象です。
そもそも適応障害とは
適応障害というのは、簡単に言えば「強烈なストレスによって社会生活が一時不能になる状態」です。もっと簡潔に言えば「ストレスの一気飲み」です。障害とありますが、適切な治療があれば十分改善できます。ただし、放置しているとうつ病などの形で重篤化します。
要するに丸山議員は、問題を起こすよりも前から障害で悩んでいた可能性が低いのです。時系列的には、失言による除名処分やバッシングが強烈なストレスとなり、適応障害を起こして診断を受けたと考えるのが最も自然ではないでしょうか。失言から診断まであまりに早すぎることに関しての説明にはなりませんが。(精神疾患の診断には予約が要ります。1,2週間ですぐ受診できるものでもない筈ですが。)
2ヶ月の休養で収まるのか
WHOの診断ガイドラインであるICD-10によれば、「発症は強烈なストレスを受けてから1か月以内」「ストレッサーの解決から半年以上は症状が続かない」という特徴もあります。丸山議員の場合、ストレッサーは除名処分やバッシングとなるので、環境を変えるよりも薬物療法や認知行動療法が中心となるでしょう。政治の表舞台から離れて安静にする線も考えられますが。
休養は2ヶ月とのことですが、果たしてその期間で収まるものでしょうか。実際の適応障害に対する治療では、3ヶ月以内に回復するケースがほとんどなので、十分にあり得る期間だと思います。しかし、酒癖の悪さまで視野を広げると2ヶ月では足りなくなるかもしれません。
アルコール依存症が絡んでいる場合は一生涯の断酒が前提となってきます。断酒を始めてから2ヶ月で公の前に姿を出せる状態になるかは未知数なので、議員生命を延ばせるかどうかは絶望的になってくるでしょう。
野々村竜太郎元県議も障害説が出ていた
5年前に「号泣県議」として話題になった野々村竜太郎元県議にも精神障害者説が巻き起こっていました。裁判で記憶障害だと供述したり耳を突き出したりしたのを、発達障害の当事者が「自分もよくある。記憶が抜けたり集中しないと聞こえなかったりする。」と言ったことで湧いたのです。
これは発達障害の当事者たちを焦らせました。当時は号泣県議と発達障害を紐づけされてはたまらないという意志が強く働いていたように思います。発達障害説の対抗馬となったのが演技性人格障害説です。野々村元県議に対して訊かれた精神科医のうち、町沢静夫氏と片田珠美氏が演技性人格障害を挙げていました。しかし、精神科医とはいえ実際に会って診たわけではないので、これも予想の域を出ません。
実際に野々村元県議が何を抱えているのかは、正式に診断されるまで分からないでしょう。ただ本人達に診てもらおうとする意志がなければ、真相は永遠に闇の中となります。
まとめ
適応障害の診断を受け2か月の休養に入った丸山穂高議員ですが、時系列的には失言(と酒乱)に対するバッシングや除名処分が強烈なストレッサーとなって適応障害になった可能性が大です。逆に言えば、失言に対して障害を理由にしている訳ではないのでしょう。
発達障害や精神疾患のカミングアウトには適切な頃合いとそうでない頃合いがあるものだとつくづく感じられます。それは本人の浅慮が生むのか、あるいは市井(しせい)の無知や無責任が過熱させていくのか、障害に関するニュースからは目が離せなくなりそうです。
参考文献
野々村県議「自殺に追い込まれる」と取材牽制 「なに被害者ぶってるの」と非難続々:J-CASTニュース
https://www.j-cast.com
【厚生労働省 適応障害】
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html
適応障害 その他の障害・病気