言葉を話せない人との意思疎通はどうしたらいい?~この子は何を考えているの?と悩んでいる話せない発達障害のある子の親へ

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unsplash-logo Emma Dau

発達障害の人は意思伝達が難しいと感じる人が多いといわれています。このために、誤解が生じたり、他者の言いなりになったりしてしまうことが往々にしてあります。円滑なコミュニケーションが取りづらいと悩み、精神疾患に発展するケースがあります。社会的強者からもっともらしいことを言われてしまうと、自分の意見よりも、相手の意見が全面的に正しいのではないか、と思いがちです。

これは、自分らしい生活をしていくにあたって支障が生じることです。

障害は様々ですが、言葉を発する事ができない方の親は、自分の子がいつもどのようなことを考えているのか、朝起きて今日1日をどう過ごしたいのか、今日は何が食べたくて…「子が何を思っているのか分からない!」と共通した思いがあるのではないでしょうか。意思を他者に伝達できない発達障害当事者のニーズについて、そして就職など人生においての大きな決断を下すにあたり、親は子のために何ができるでしょうか。自分で意思表示ができないことを理由に、親が代わりに将来の決定をすることは正しいでしょうか。わたしのこれまでの経験から、語っていきます。では、言葉を話すことができない方はどのように自分の思いを伝えることができるでしょうか。ともに考えていきましょう。

どう接して良いかわからない~思春期から葛藤が始まる

思春期を過ぎて、「自分の子が私(親)を避けるようになり、子が何を考えているか分からないため、心配」という親の思いは、思春期を過ぎた子を持つ親なら誰しもが抱く共通のものであると思います。

言葉を話せない子を持つ親も同じです。しかし、ちょっと事情は複雑。若者はもっと自分を分かって欲しいと思い、信頼のおける人に自分の思いを話します。友達や恋人、そして親はその代表格であります。

話ができない方は、心の内が見えません。「どうせ話せないのだから分かるわけない」と親の方が思ってしまうと、すぐに見抜かれてしまい、子の中にある信頼できる人リストから親が除かれてしまいます。逆に分かろうして焦ってしまって子に対して圧を掛け過ぎると、プレッシャーと感じられてしまいます。では、コミュニケーションを取るために、どのようなことができるでしょうか。

なあなあでは済まされない、言葉を話せない人の気持ちを汲み取ることが必要な理由

私自身発達障害のある当事者ですが、私の弟にも発達障害があります。弟は言葉を用いて話すことが出来ません。弟と接するとき、彼がどう思っているか、今何がしたいのか、もう30年近い付き合いなので大体分かります。しかし理解してはいないと思います。彼の考えや将来のビジョンを100%確信して把握していないからです。本当に弟がそう思っていることなのか、予想に過ぎません。今は弟は支えてくれる人に恵まれていますが、親や私がいなくなって以降、生きていく術を身につけていくにはどうすればよいのか。

特別支援学級に通う人やその親は、学校卒業後の進路について悩むと聞きます。情報が少ないからです。弟も情報の少なさについて振り回されました。在学中の方やその親である読者には、まだ卒業は先の話だから…と思っている方が多いと思います。しかし、将来のことを考えると、なあなあでは済まされない、問題を先送りにすべきでないと思います。

私の弟の場合は、高校時代の先生から卒業後の進路を考えるにあたり、「一般就職、就労継続支援事業などへの福祉就労、お仕事をしない共同生活援助事業、どれを考えていきましょうか」と福祉専門の相談を行う相談支援専門員が質問される場面がありました。質問を投げ掛けた相手は、私の親です。弟は話が出来ず、話し掛けても上の空の反応しか出来ないため、自分の思いをアウトプットできません。なので親に質問が発せられます。親は、我が子とはいえども、人生における非常に大きな選択を迫られることになります。この緊張感は計り知れないものです。

インターネットを主としたメディアが発達している世の中において、情報が洪水のように溢れています。福祉についてはまだまだ情報が限られている状況ではありますが、より多くの情報を貪欲に取りに行って、少しでも地域の情報をしっかりと掴み、わが子に対して最善の選択肢を選んで挙げられたと心底から言えるようにならねばならないと思います。もちろん一緒に考えてくれる相談支援専門員や精神保健福祉士のように、複雑な社会構造を理解していて、福祉を必要としている人の橋渡しをする人たちとのつながりを強くしていくことも大切です。

就労継続支援事業所での失敗体験から

弟は高校卒業後、就労継続支援事業所に通いました。家から徒歩約5分の場所に毎朝来る事業所送迎バスに乗って通勤していました。しかし、徐々に歯車が狂っていきました。起床時刻が遅くなり、ついには送迎バスに乗れなくなり、私が送迎する毎日となりました。あるとき、母が「お給料を減額させて欲しい」と事業所側からお願いされました。何故か気になり事業所の所長さんに伺うと、朝来所してからずっと決まった所から動かず作業をしようとしない、さすがに作業していない状況で工賃は支払えないとのことでした。

そのとき、初めて弟が作業所で辛い状況であることを知りました。就労継続支援事業所から何も連絡がないこともどうかと思いますが、自分の思いを伝えられないので、自分が耐えるしかないと考えるしかなかったことを思うと、私の感情に訴えるものがありました。

私の弟のように言葉を話すことが出来ないの場合、意思伝達以上に様々な問題を抱えてしまうことになってしまうことも認識しなければならないと気付きました。連絡をしてこない事業所なので、もしかしたら、いじめがあったかもしれません。素人では、やはり情報を得るのに限界があります。信頼できる専門家に協力を求めて、一緒に考えていくことが必要でしょう。

参考文献

特別支援級の子の将来はどうなるの?~人生を見通して子どもの支援を考える~
https://teachers-job.com/specialness/

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発達障害当事者。幼少から発達障害の傾向があり、相手の気持ちを読めないなどについて、「お前の性格が悪いから何事もうまくいかない」と周りの人に評価をされ続けてきた。2年前に診断。原因が分かり、自分が全面的に悪かったのではないことに気付き安堵し、気が楽に。「発達障害」の言葉は普及している昨今においても、地方育ちであるため、言葉だけが一人歩きをしている状態であり、差別的な考えを持つ人は多い。障害のために不便を感じることなくすべての人が劣等感を抱かず生活できるよう、誰かのメンターになれるため、そして社会を変えるべく行動している。

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