気になって仕方がない~強迫性障害とはどのような病気か?①

強迫性障害

unsplash-logo Silas Köhler

私は、30歳を過ぎた頃に強迫性障害と診断されました。しかし、突如としてこの病気になったわけではなく、幼少期からずっと強迫性障害の症状に悩まされてきました。そこで、強迫性障害の概要や私自身の症状、病気との付き合い方について話したいと思います。今回は、強迫性障害の概要についてお話します。

強迫性障害とは?

強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder)とは、強迫観念と強迫行為という2つの症状からなる病気です。強迫観念とは、自己の意思に反してしつこく何度も繰り返して思い浮かぶ考え、イメージ、衝動であり、強迫行為とは、強迫観念から予想される恐ろしい出来事を防いだり、精神的な苦痛や不安を減らすために自分に強いる行為のことです。

主な症状にはどのようなものがあるか?

強迫性障害の症状は人それぞれでありますが、中でもよく見られる症状としては、「汚染が怖くて洗わずにはいられない」という不潔恐怖です。すなわち、ばい菌やウイルスなどに自分や周りのものが汚染されているように感じられ、そのような汚染を防ぐために、何度も手を洗ったり、汚れがついていると思うものに触れることを避けるなどの症状です。なお、単なる清潔好きやいわゆる潔癖症では、本人に精神的な苦痛や不快感が伴わないのが通常であり、その点で強迫性障害と区別されます。また、ドアの戸締りや電気の消灯を行ったという確信が持てず、それをもう一度確かめたくなり何度も繰り返してしまうという確認行為も強迫性障害の症状として多く見られるものです。

発症の原因は?

強迫性障害を発症する原因については、未だ解明されていない面が大きいですが、最近の研究によると、その原因は1つではなく、脳の働き、生育環境、ストレスなど様々な要因が重なり合って発症するそうです。

脳神経の働きとの関係
近年の脳の画像研究によると、強迫性障害の症状が出ているときに、前頭眼窩面、前部帯状回および尾状核などの部位が過剰に働きすぎていることが分かっています。そして、治療によって症状が改善されると、それらの部位の過活動も治まるため、強迫性障害は、関係する部位の神経回路になんらかの問題があるのが原因ではないかという説があります。

セロトニンの働きとの関係
強迫性障害では、神経伝達物質の1つであるセロトニンに作用する薬に効果がみられることから、脳内のセロトニンが十分に機能していないことが発病に関係しているという説があります。

ストレスとの関係
強迫性障害を発症する原因は、ストレスだけではないが、発症した人のそれまでの生活歴を調査すると、なんらかのストレスに長時間さらされたという人が多くいるとの報告があるそうです。また、火事や交通事故のような恐ろしい体験をした後に発症する人もいるそうです。

どのような治療法があるのか?

強迫性障害の標準的な治療は、精神療法と薬物療法です。

精神療法
精神療法とは、心理学に基づいた治療法であり、これには様々な治療法があります。強迫性障害では、認知行動療法または行動療法の改善効果が高いことが科学的に実証されています。強迫性障害は、強迫行為を続けている限りは改善しないので、強迫観念と強迫行為の悪循環を断つことが必要です。そのために行われるのが行動療法であり、強迫行為をせずに不安を減らすことができる方法を行動を通じて学んでいくことになります。そして、その中心となる技法が、暴露と反応妨害を用いる暴露反応妨害です。暴露(エクスポージャーともいいます)とは、強迫症状を引き起こすものに直面し、不安・苦痛はあっても想像していたような危機は実際には起こらず、やがて不安や苦痛も自然と減っていくことを学習するものです。また、反応妨害とは、強迫衝動が起こっても、強迫行為を行わない方法を訓練するものです。これらを組み合わせて、例えば、汚いと思っていた床に手で触れてみて、不安な感情と向き合い(暴露)、今まで行っていた手洗いをしないようにする(反応妨害)ということを行います。

薬物療法
薬物療法で主に使われるのは、うつ病などの治療にも使われる抗うつ薬です。その中でも、セロトニンという神経伝達物質に働きかけるSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害剤)が第一選択として使われます。これは、強迫性障害では、脳内の神経伝達物質であるセロトニンがうまく働いていないと考えられることに注目したものです。すなわち、セロトニンは一方の神経細胞から放出され、隣の神経細胞に取り込まれることで情報を伝え役割を終えるのですが、余ったセロトニンはもとの細胞がトランスポーターから取り込んで再利用します。SSRIは、その再取り込みを妨害して、神経伝達に使われるセロトニンが減らないようにするものです。

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参考文献
有園正俊 (著)、上島国利 (監修)(2010) 『よくわかる 強迫性障害―小さなことが気になって、やめられないあなたへ』 主婦の友社

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30代男性。大学卒業後、それまで勉強などしたことはなかったが、法律に出会い勉強を開始。しかし、30歳あたりで幼少期からの強迫性障害が急激に悪化し、人生が頓挫。リスタートしようと思い、現在は就労移行支援事業所にてPCスキルを学んだり、セルフマネジメントに取り組んでいます。

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