三大欲求それぞれに依存症はあるのか

その他の障害・病気 依存症
unsplash-logo Christiana Rivers

世の中には様々な「依存症」があります。つい最近では「ゲーム依存症」がWHOで精神疾患として定義されましたね。社会保険料の負担が大きくなると分かったうえで日本も乗っかっていくのか興味深い所ではあります。

今回の話は「依存症」についてなのですが、テーマは少し違います。「三大欲求それぞれに依存症があるのか」というのが主題です。人の三大欲求とは「食欲」「睡眠欲」「性欲」を指し、凡人が安易に逆らおうとすればたちまち生命の危機に陥るほど大事な欲求です。寿限無にも「食う寝る処住む処」とあるように、食欲と睡眠欲が満たせる生活基盤が無ければ人は生きていけません。

話は若干逸れましたが、三大欲求は生命維持に直結する重要な欲求です。とはいえ、これが過剰になると所謂「依存症」と呼ばれる状態になってしまうのではないでしょうか。気になりませんか。

性嗜好障害

まず性欲ですが、こちらは明らかに「性依存症」というものがあります。実は性依存症とは正式な専門用語でなく、ICD-10による正式な診断名は「性嗜好障害」となっています。したがって、性嗜好障害と呼ばせて頂きます。

性嗜好障害は性行為への依存に限らず、性的なコンテンツの蒐集や猥褻なイタ電・チャットなども含みます。それでも性行為絡みのトラブルが頻発し、時には犯罪に走るケースもあります。何股もかけたり性病に罹ったり警察に逮捕されたりぼったくりに遭ったりと想定されるリスクはどれも甚大なのですが、本人の意志だけではどうにもならないのです。(だから依存症と言われるわけですが)

性嗜好障害は他人へ危害を加えるリスクが殊更高く、被害者の心身にも深刻なダメージをもたらします。その為か理解も進みにくく、支援体制も整っていないのが現状です。世界的にも性嗜好障害の存在が囁かれ出したのは、20年前におけるビル・クリントン元大統領の不倫がきっかけのようですし。

神経性過食症、それから食物依存症

食欲に関してですが、食事の快感に対する依存症はありません。ただ、食欲のコントロールが利かない心身症として「神経性過食症」が挙げられます。

神経性過食症は摂食障害の一種で、食欲のコントロールが利かずに大量の食物を一気に詰め込むような食べ方をするのが特徴です。そうした過食を週1回以上の頻度で行うようであれば要治療とされています。また、暴食による体重の増加も恐れており、嘔吐したり下剤を用いたりして無理矢理体外に排出する動きもあります。体重を殊更に意識するのは拒食症にもみられ、0.1kg増えただけで大きな罪悪感を背負い込みます。

ちなみに、過食症の原因は様々で、過食症に至る心的リスクにまでアプローチしないと根本的な解決にならないケースも多いです。

もう一つ、食欲に関する依存症として「食物依存症」が挙げられます。偏食という次元ではなく、特定の食物に対して異様に執着するのが食物依存症です。その執着具合は、「満腹になっても食べたい」「家になければすぐ買いに行く」「思い立ったら食べている」「それを食べるのが趣味」などが挙げられます。

主に高脂肪・高カロリーで砂糖の多い加工食品(いわゆるジャンクフード)が食物依存症を引き起こしやすいです。依存リスクのある食品は、ピザやポップコーンなどなんとなく中毒性のありそうな食物ばかりです。食欲への依存というより食物への依存なので、若干趣は違うのですが。

依存ではないが、ナルコレプシーはどうか

睡眠に対する依存症や中毒とは違いますが、近しいものとしては「ナルコレプシー」が連想されるでしょう。しかしナルコレプシーは睡眠依存症ではありません。ただ、傍から「睡眠ジャンキー」と捉えられるかもしれません。患者は欧米だけで2000人に1人の割合だそうです。

ナルコレプシーの主な症状として、「コントロール不能の眠気」が挙げられます。前触れもなく強烈な眠気を感じ、すぐ眠りに落ちてしまう睡眠発作があるのです。この他にも、突発的な筋力低下・金縛り・幻覚といったレム睡眠中の状態が覚醒中でも起こってしまう患者もいます。

原因不明の難病なので根本的な治療法はありませんが、症状を抑えるための薬物療法と行動療法(夜間は十分に寝て昼過ぎも30分以内の仮眠をとる)は存在します。

まとめ

三大欲求に関連した、依存症に近い症状を解説していきました。性嗜好障害・神経性過食症・食物依存症・ナルコレプシー、これらに共通して言えるのは、当人の心構えや気合だけでは改善されないということです。だからこそ疾患として医師が治療にあたるわけです。精神論で追い詰めるだけならば無知蒙昧な素人にさえ出来ますが、症状を改善するための働きかけは専門性の高い有識者でないと行えません。

しかし、これらは社会生活を送るうえで大きな支障となります。人間社会で生活する以上、不貞や居眠りといった行動をとれば厳しい目線が向くものです。関係ないですが、クレプトマニア(病的窃盗)ほどにもなれば社会生活が極めて困難なので精神障害福祉手帳1級の対象にはなると思いませんか。

参考文献

性嗜好障害|性嗜好障害治療の専門病院 大石クリニック
http://www.ohishi-clinic.or.jp

摂食障害について|摂食障害情報ポータルサイト(一般の方)
http://www.edportal.jp

麻薬より危険「食べるのをやめられなくなる食品」リスト|Forbes JAPAN(フォーブスジャパン)
https://forbesjapan.com

ナルコレプシー ? MSDマニュアル 家庭版
https://www.msdmanuals.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

その他の障害・病気

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください