EMDRとは?眼球の動きでトラウマ克服

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出典:https://www.photo-ac.com


トラウマ(心的外傷とも言う)とは、肉体的・精神的に衝撃な経験を受けたことで、長期に渡ってそれにとらわれてしまう状態を指します。トラウマを起こした出来事の記憶が突然よみがえったり(フラッシュバック)、精神的不安や不眠などの過覚醒症状が起こったり、トラウマの原因になったものごとを避けたり(回避)するようになります。以上の症状が1カ月以上続く場合、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)と診断されます。このトラウマの治療には、薬物療法と心理療法があります。ここでは、トラウマ治療に効果があるとされ、比較的新しい認知行動療法の一つである、EMDRについてご紹介します。

EMDRとはなにか



EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、1989年にアメリカでFrancine Shapiroという臨床心理学者が発表したPTSDの治療法です。眼球を動かしていたら嫌な記憶を忘れられた、という偶然により発見されました。しかし、効果の高さは研究でも明らかになっていて、PTSD治療のガイドラインでも推奨されています。

眼球の左右運動や他の左右交互の刺激(タッピングなど)によって脳を直接的に刺激し、脳の情報処理のプロセスを活性化する効果があります。脳の本来の力を利用するため、マインドコントロールのように治療者に洗脳されたりする心配もありません。日本でも1500名以上の専門家がトレーニングを終えています(2012年5月時点)。

30分~90分の面接を5~15回、専門的な指導を受けた医師やセラピストのもとで行います(関連機関は、日本EMDR学会のサイトより調べることができます)。DVなどの問題が現時点である場合や、希死念慮がある場合は注意が必要なので、しっかりと相談をしてから治療を行いましょう。


EMDRのプロセス



①成育歴の聴取
過去のトラウマ体験などについて、じっくりと話を聞いてもらいます。

②評価
トラウマを客観的に評価していきます。認知(否定的・肯定的どちらも)や感情、不快な身体感覚などについてです。

③脱感作
トラウマ体験や、否定的な認知などを頭に思い浮かべながら、セラピストの指の動きに合わせて眼球を左右に動かします。

④認知の植えつけ
セッションごとに気持ちの変化を確認し、新たな肯定的認知(「私は強い」など)を強化し、定着させていきます。

⑤ボディスキャン
不快な身体感覚を意識しながら眼球運動を行い、不快感を取り除いていきます。



PTSDの治療以外にも、現在では恐怖症や社会不安障害の治療にも使われています。ご興味を持たれた方は、一度「日本EMDR学会」のウェブサイトをご覧になってみて下さい。最後に注意点として、一見単純な治療法に見えますが、自己流で行うと症状の悪化に繋がる恐れがあります。絶対に指導を受けた医師やセラピストのもとで治療を行いましょう。


参考文献

日本EMDR学会
https://www.emdr.jp

wikipedia 心的外傷
https://ja.wikipedia.org

wikipedia 心的外傷後ストレス障害
https://ja.wikipedia.org

福井至、貝谷久宜著『図解やさしくわかる認知行動療法』ナツメ社/2012年

過集中系女子☆彡

過集中系女子☆彡

関西出身。色々なことがあり、精神の病を発症しました。現在は体調安定を目標に、就労移行支援施設に通っています。趣味は散歩と音楽鑑賞です。微力ですが、当事者の方やご家族のお力になれればとても嬉しいです。

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