パラリンピック・馬術競技編~パラ馬術のルールは?
その他の障害・病気 身体障害日本ではあまり馴染みの無い競技かも知れませんが、「馬術競技」は第2回パリオリンピックから続いている伝統ある競技です。クリント・イーストウッドが監督した映画「硫黄島からの手紙」にも出てくるバロン西は、日本で唯一の馬術競技オリンピック金メダル保持者です。
また、パラリンピックにおいて馬術競技は唯一の採点競技です。前回のリオパラリンピック馬術競技での金メダルの点数は、100点満点中、約77点でした。
馬術競技とは?
オリンピックの馬術では、障害物を飛び越える障害馬術や、馬場馬術など複数の種目が行われますが、パラリンピック馬術では、馬と一緒に演技を行い、その美しさや正確さを競う「馬場馬術競技(ドレッサージュ)」のみ行われます。フィギュアスケートの乗馬版と言えば、イメージが湧きやすいのではないでしょうか? 選手の障害に応じたそれぞれのスタイルで、人馬一体となった演技で順位を競います。
馬場馬術競技の概要
「馬場馬術競技(ドレッサージュ)」とは、馬と一緒に演技を行い、その美しさや正確さを競う競技です。競技者の技術だけでなく、馬の動きの美しさも審査対象になります。各項目は10点満点で採点され、演技終了後に、競技全体を通しての印象を総合観察点として加算して合計点を算出します。順位は、計5名いる各審判が各運動科目を10点満点で評価し、その合計を得点率で算出します。そして各審判の得点率の合計を審判の人数で割った、得点率がその演技の得点となります。歩き方の正確性、動きの美しさなどを競います。さらに自由演技科目には、芸術点(音楽の選曲や、人と馬の動作の調和など)が加わります。
種目は決められた動きを行う個人種目と、選手3人のチームで演技を行う団体種目、音楽に合わせて、フィギュアスケートのように自由に動く個人フリースタイルの3種類があります。
選手は障害の種類や程度に応じて5つのグレードに分かれています。
通常、馬術は足で馬に指示を出しますが、下半身まひの選手はムチの使用が認められています。また、手に障害のある場合などは手綱を片手で固定したり、手を使用せずに口でくわえたり、足の指で握ったりする選手もいます。選手の障害によってさまざまな工夫をこらして、馬に選手が意志を伝えます。
選手は各自の障害を補う、特殊馬具の使用や、馬具の改造が認められています。周囲のサポートなどで、さまざまな工夫を重ねて演技を披露します。
競技をサポートするコーラーやコマンダー
視覚障害のある選手は、比較的障害が軽いグレード4、5に区分けされ、「コーラー」が現在位置を声で知らせます。また、記憶障害がある選手には、「コマンダー」が馬場外から次のコースを伝えます。
馬術競技の服装と馬装
馬術は、他のパラスポーツよりも服装が細かく決められています。今回はそのうちのいくつかを紹介します。
選手は、黒もしくは暗色のヘルメット、ジャケット、ブーツを着用しなければいけません。乗馬ズボン、手袋、ネクタイは、白またはオフホワイトと決められています。華美な飾りなどは許可されていません。
馬装に関しても細かく決められており、馬のたてがみは三つ編みやお団子などにして、きれいに編み込むのが正装とされています。
おわりに
パラリンピック馬術は、歴史的に馬術の人気が高いヨーロッパ諸国が上位を占めています。特にイギリスは馬術大国として知られ、多数のメダリストを輩出しています。東京パラリンピックにおいて日本はホスト国として、4つの出場枠を得ています。
オリンピック、パラリンピック馬術競技の開催地は、東京駅から電車で1時間ほどの世田谷区にある馬事公苑で行われます。
この機会に馬術競技を沢山の人に知ってもらえたら幸いです。
【パラサボWEB】
https://www.parasapo.tokyo/
【ウィキペディア パラ馬術競技】
https://ja.wikipedia.org/wiki/
【TOKYO2020 馬術】
https://tokyo2020.org/jp/
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