「イジり」と「料理」は似ている~神経質な私の視点から見た「イジり」
その他の障害・病気出典:Photo by Brooke Cagle on Unsplash
あなたは、他人を「イジり」、もしくは「イジられた」ことはありますか?学校、職場、メディア等、様々な場において「イジり」というコミュニケーションは頻繁に使用されています。
しかし、あなたが用いている「イジり」は本当に「イジり」として成立しているでしょうか?今回は、私の主観になりますが「イジり」についての意見を述べたいと思います。
私にとって「イジり」とは
私は日常のコミュニケーションにおいて「イジり」という手法を使うことはほとんどありません。理由はシンプルに「難易度の高い行為」と認識しているからです。「イジり」は、些細な行き違いで「イジメ」になりえる、ので「意図せず加害者になってしまう上級者向けの手法」だからです。ですが、適切な「イジり」が成立するという関係性は、「自分にも相手にとっても最上級のプレゼントになりえる」とも思っています。
イジりと料理の共通点
タイトルにある通り私は「イジり」と「料理」は似ていると思います。
例えば、コミュニケーション手段として使用される大きな手法は3つあります。
・「発言」
・「話を聞く」
・「質問」
また、その先にある上級者向けの手法が「イジり」です。
次に、料理の場合は
・「焼く」
・「煮る」
・「和える」
の3つです。それらを組み合わせて調理すると、相手の好みやアレルギーを考慮した、真心のこもった手料理になります。
ふたつとも、相手(素材)にあった対応や反応(調理法)により、関係を構築していく(料理する)という点でとても似ていますよね。
イジりとイジメの境目は……
まず本題の前に「料理」の話をします。
美味しい料理を作るために必要なことは何でしょうか?高価で新鮮な食材や最先端の調理器具を使用することでしょうか?それも素敵だと思いますが、私は「下処理」が重要だと思います。
例えば、タケノコを調理する際、えぐみを取るためにあく抜きをします。それには、「米ぬかで茹でる」という方法があります。また、硬いお肉を柔らかい高級感のある美味しいお肉に仕上げるために、玉ねぎのみじん切りで肉を覆ってからしばらく置いておく方法「シャリアピンステーキ」といったものがあります。
話を「イジり」の話に戻します。「イジり」の成立において料理の「下処理」に該当するもの、それは 「情報収集」です。充分な「情報収集」がイジりを成立させるために必要で、それを怠ってしまうと、相手のデリケートな事情やコンプレックスに乱暴に介入した「イジメ」へと変わってしまいます。
「言葉」は「受け手側」が「どう受け取ったか」で意味が決まるものなのではないでしょうか。
発信しているのに「もったいない!」
内気で内向的な性格である私にとって、言葉を「発信」しようと行動する姿勢は、輝いていてとても尊いものだと感じます。発信するからには、「相手と仲良くなりたい」「笑いを取りたい」「自分の魅力をアピールしたい」など、話し手にも様々な目的があるはずです。しかし、目的と言動が噛み合わなければ誤解を生み、信頼を損なってしまいます。それは、非常に「もったいない」ことだと思います。受け手は勿論ですが、何より「発信」した自分が損をしてしまっては元も子もないです。
リスペクトある「イジり」を!
自分も受け手も幸せになれる「イジり」のために考えられること、それは「主観性」と「客観性」のバランスを意識することだと思います。人は無意識に、自分の感覚を重視しがちです。「ちょっとからかっただけなのに」と発した言葉が、相手にとって「とてもショックだ、辛い」と感じしまうこともあります。
また、「乱暴」な表現は雰囲気によっては、盛り上がるかもしれません。しかし、「乱暴」な表現を受けた相手は不快に感じてしまう人もいます。その乱暴な表現をやめて、自分なりにアレンジした言葉で伝えてみるまでしょう。
例えば、最近私の身の回りで起きた出来事ですが、「あなたはスーツの上からでもわかるほど、体がごついですね。暴力的な感じで、なんだか怖いですね (笑)」という発言がありました。
私はこれを聞いて、「もし、自分のコンプレックスを面白半分に指摘されたら、傷つくなあ」と感じました。そして「このアグレッシブな表現を自分なりに言いかえるなら、どうするだろう?」と考えました。
私なら、こう伝えたいと思います。「あなたは、服の上からでもわかる程とても美しい筋肉をしていますね。そのスーツもあなたの体格に映えてとても上品で、まるでスーツが喜んでいるように見えます。機会があれば、あなたをモデルにデッサンしたいです」と。
私は、絵を描くことが好きなので、自分の趣味や趣向を交えて表現してみました。見方を変えれば、セクハラになるかもしれないし、そもそも「これは『イジり』に当てはまらない」という見解もあると思うので正解ではないかもしれません。
日頃から相手の感じ方や趣向、コンプレックスに思っていることなど情報を収集し、そこに発信者の「リスペクト」というスパイスを加えることが特上の「イジり」に繋がるのではないでしょうか。
おわりに
相手を「イジりたい」という気持ちは、きっと「『もっと仲良くなりたい』という想いをプレゼントしたい」という純粋な気持ちからくるものだと思います。そんなプレゼントを誤解のないように届けるためには「情報収集」が不可欠です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献
『食戟のソーマ 2巻』128ページ 原作 附田祐斗 作画 佐伯倰 協力 森崎友紀 (集英社 2013年)
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