芸能人の「贖罪介護」が賛否両論
その他の障害・病気「贖罪(しょくざい)」とは、善行などで罪を償うことを指します。すなわち、「贖罪介護」とは介護という善行でもって自分が過去に犯した罪を清算しようとする意味を持ちます。
スキャンダルを起こして干された芸能人が、復帰の前段階として介護を体験するニュースを聞いたことはあると思います。以前からあったこの動きに、最近は疑念や異議が上がっているとのことですが、どうした事情でしょう。
贖罪介護の歴史
「贖罪介護」の先駆け的存在となったのは酒井法子さんと言われています。薬物問題で捕まった後、公判で「将来は介護を勉強したい」と供述し、実際に介護の大学へ通い始めていました。途中で廃校となったため有耶無耶となりましたが。
贖罪のために介護ボランティアをする動きが活発化したのは、吉本興業の闇営業問題がきっかけです。これにより謹慎処分を受けていた芸人の一部が、後に介護ボランティアへ参加していたことが次々と報道されていきました。
一口に介護のボランティアと言っても、実際に施設の手伝いをするばかりではなく、施設で啓蒙活動やトークをして回るケースもあるようです。何であれ、不祥事を起こした芸能人が復帰の足掛かりとして介護を選ぶことは「ままあること」となっています。
最近ですとアンジャッシュの渡部建さんが介護士資格の取得を目指していると週刊誌に取り上げられています。こうした「贖罪介護」の活発化とともに「介護を舐めている」と苦々しく思う声も増えてきました。
「介護を禊の道具にするな!」
不祥事を起こした芸能人が介護ボランティアへ従事することに対し「介護を禊(みそぎ)の道具にするな!」「福祉で懺悔する風潮はいかがなものか」「介護を馬鹿にしている」などと不快感を露にするコメントがネット上では散見されます。
特に介護業界で働く人にとっては、「自分たちの仕事をイメージ回復という軽い目的で刑務所や罰ゲームのように扱うのが許せない」と怒り心頭になるのも無理からぬことでしょう。「介護を償いの道具にされると、元々良くないイメージが更に悪化する」と心配する声や、「どうせすぐ辞めるし後に続かないだろう」と軽んじる声もあります。
確かに芸能活動の再開を視野に入れる以上介護一本で暮らしていくことは無さそうですが、だからといって「介護の道に入るなら介護だけやれ!それ以外の生き方は認めん!」と言い放つのはいかがなものでしょう。
「きっかけになればいい」という肯定的な声も
贖罪介護について否定的な意見ばかりではありません。きっかけが何であれ「介護の仕事へ実際に触れる」という点を歓迎する肯定的な意見もまた上がっています。なり手不足もあってか「介護に興味を持ってもらえるだけでも有難い」という切実な声です。
実際に不祥事のない芸能人が介護資格を持っているケースもあります。「きっかけが何でも、介護現場のことや楽しさ・やりがいを知ってもらえれば嬉しいし、もっと興味を持ってもらいたい」とツイートしたお笑いコンビ・メイプル超合金の安藤なつさんも介護系で25年の職歴を持っています。
人手不足に喘ぐ介護業界にとって、仕事に触れるきっかけを問う余裕は無いかもしれません。実際に介護へ就かなくても、例えば介護の情報や現状をYouTubeで発信するなど体験を活かした周知活動に励んでもらえれば御の字といえるでしょう。寧ろ芸能人の発信力で介護業界のリアルを伝えることが待遇改善への原動力として期待できます。
最後に医療・介護ライターの横井かずえさんがNEWSポストセブンの取材へ述べた回答を載せます。
「(贖罪介護について)個人的に違和感はありません。介護と関わりのある芸能人は意外と多いですから。課題の多い介護業界にとって、知ってもらう事は救いへの第一歩です。芸能人の活動によって世間の関心が高まっていくならば、これはメリットと呼んでいいでしょう」
参考サイト
アンジャ渡部建「介護の資格を勉強中」問われる本気度|zakzak:夕刊フジ公式サイト
https://www.zakzak.co.jp
渡部建ら不祥事芸能人、“介護福祉”でイメージ回復に現場職員「ナメてますね」
https://www.msn.com
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