5月19日は「IBDを理解する日」・「世界IBDデー」 「すぐお腹痛くなるんだから!」 それ実は“見えない難病”かも
その他の障害・病気5月19日は「IBDを理解する日」・「世界IBDデー」です。発症する多くが働き盛りの若年層、指定難病の中で患者数が最も多い、炎症性腸疾患(IBD)を知っていますか?
IBDとは
炎症性腸疾患(IBD)とは、大腸や小腸など消化管に炎症が起こり、腫瘍ができる病気で、主に潰瘍性大腸炎とクローン病があります。
潰瘍性大腸炎は、難病指定されている病気の中で一番患者数が多い疾患で、2016年度の全国疫学調査によると、国内の患者数は推計22万人。同じ炎症性腸疾患(IBD)のひとつであるクローン病を合わせると、患者数は約29万人に上ると考えられています。その数は年々増加の一途をたどり、炎症性腸疾患の患者数は、ここ30~40年で300倍になったともいわれています。
腸内細菌のバランスが崩れることによって起きる疾患のひとつとも呼ばれていますが、根本的な原因は不明で、根治させる方法がいまだに見つかっていない、難病指定されている病気です。症状が“腹痛”という身近な症状から、周りに気づかれにくく、「見えない難病」ともいわれています。
おもな症状
発症してから、症状が出る活動期と症状が出ない寛解期を繰り返します。
潰瘍性大腸炎・・・排便の異常(下痢、下血、血便、粘液便、痙攣性の腹痛)、貧血、貧血、腸内の炎症が続くと腸管が狭くなる、吐き気、嘔吐、脈が速くなる(頻脈)、体重減少など。
また、精神的なストレスが積み重なると、症状が悪化することもあります。
クローン病・・・下痢、腹痛、体重減少、発熱、肛門の異常など。
症状がひどい人は、病気の不安定さに加え、排便障害のために自宅に引きこもったり、うつ病を発症してしまう方も少なくありません。
発症年齢
初発時の年齢は、15歳から35歳までが多く、発病率に男女差はありません。発症年齢は、男女とも26~30歳に多く、20歳代を中心とした若年者に好発します。
当事者の声
山田 貴代加 ( NPO法人 IBDネットワーク)さんが当事者の声を語ってくれました。
──学生時代に困難だったエピソードはありますか?
治療の関係で栄養剤を飲むことしかできない状況で学校に通っていましたが、お弁当の時間にクラスメイトが美味しそうに食べている姿を見ると辛い気持ちになることもありました。また、友人たちも「なんで食べられんと?」と聞いてくるので、見た目にはわからないという点から説明に困った記憶もあります。
──薬を服用することで、痛みはコントロールできるのでしょうか?
実際のところは、常に痛いというところが正直なところです。今は手術もしているのでだいぶ楽になりましたが、薬を飲むことによって「動けない痛み」から「動ける痛み」になるというイメージですし、時期や症状によっては実際に痛みが抑えられないこともあるかと思います。患者会の中でも話に上がることが多いですが、「いつも痛いよね」という話には、みんなが「うん、うん」と頷く状況です。
──より良い生活を送るためには周囲との関係も重要だと感じますが、いかがでしょうか?
私の一つの転機は、患者会との出会いです。娘の出産を機に患者会に参加したのですが、そこで先輩のママさんから「大丈夫だよ!」と背中をたたかれたり、トイレが心配という話をすれば「その子と一緒にオムツ穿いておけばいいじゃん!」と、あっけらかんと症状を話す姿に救われました。また、主治医との出会いも大きかったですね。やはり、この病気では制限されることも多いのですが、主治医は常に「あなたは何がやりたいの?」と尊重してくれる先生だったので、そうした言葉にも希望を見出すことができました。
──患者さんが過ごしやすい社会の実現に向けて、何が必要だと考えますか?
多くの患者さんは、特別扱いされるのではなく、一般の方と同じように接してもらいたいと思っているのではないかと思います。ただ、やはり生活をする中で制限されることもあるので、体調や状況を根気強く聞いてもらえると非常に嬉しいです。特に、若い人も多い病気ということで、何度でも人生を再出発していくことができるような社会になってほしいと思いますし、まだまだIBDということを隠して過ごしている患者さんも多いので、より認知されることで、当事者からも発信できる社会になることを願っています。
その他の障害・病気