平均体型は恥なのか~摂食障害と神経性過食症

その他の障害・病気

出典:Photo by Siora Photography on Unsplash

近年、SNSが普及したことで、誰もが情報を発信できるようになりました。特に数を増やしているのが「ダイエットアカウント」です。その中のある投稿が気になりました。それは「平均体型は恥」という投稿です。はたして細い体形が正解なのでしょうか。

ダイエットが当たり前になっている裏で「摂食障害」に苦しんでいる人もいます。私も過去に「神経性過食症」で苦しんでいました。

摂食障害の種類と症状

摂食障害は主に2種類あげられます。

まず1つは神経性無食欲症、一般的には拒食症といわれています。名前のとおり食べることを拒否する病気です。

体重の増加や体型の変化に、強い恐怖感や不安感を抱いてしまい、体が食べ物を受け付けなくなってしまうのです。

周りからは痩せていると見られていても、体型の認識のゆがみによって、本人は痩せていないと思い込んでおり、体重を落とすことが当たり前となっています。また本人は病気と気付いていないケースがほとんどです。

そして、もう1つが神経性過食症です。こちらは「むちゃ食い」といわれる過食が特徴です。

自分では食欲のコントロールが効かなくなり、短時間で大量の食べ物を過食し、その後肥満への恐怖から、嘔吐、下剤の乱用などをして排出し、なかったことにするのがこの病気の症状です。

過食中には他のことは一切考えられず、食べることのみに集中していまいます。過食後は強い罪悪感や自己嫌悪に陥りますが、再発することが多いです。

「拒食症」から「過食症」に移行してしまうケースが多いといわれています。

どちらも体型の変化で自己評価を左右する人に多いといわれ、患者のほとんどは女性が占めています。

16Kg痩せたら死にたくなった

私はもともと、食べることが好きで、家族もよく食べる家で育ちました。

ご飯おかわりは当たり前、お菓子はなにか1つは置いてあり、常に何かを食べている状態です。その時の具体的な食生活は割愛しますが、野菜は食べず、ご飯の前後にお菓子を食べていた私は順調に太っていきました。

大学3回生のころには70Kgになってしまったのです。

3回生の秋に就活を意識した私は「この体型でスーツは格好悪いよな」と思い、ダイエットをすることを決意しました。

なにをしたらいいか分からなかったので、とりあえず毎晩、一時間ウォーキング。当時は糖質制限が主流だったので、白飯などの炭水化物やお菓子は禁止、食事管理アプリや筋トレも追加して続けた結果、10カ月ほどで16Kgの減量に成功しました。

喜ばしいことですが、特別細いとはならず、平均体型でした。ここからがとても辛かったのを覚えています。

過食症発症

減量に成功し、家族や知人から褒められたり、驚かれたりしました。

しかし、周りを見渡すと、自分よりも細い子はたくさんいました。このとき私は「まだまだ太っているんじゃないか」と思ったのです。それと同時に、今まで食事を減らしてきた分、もっと食べたいと思うようになりました。

このころから、付き合い始めた彼氏もダイエットに成功した経験があり、彼も太ることへの恐怖がありました。一緒に筋トレやランニングをして、毎朝体重を送りあっていたのですが、それがとてもプレッシャーとなり、さらに就活のストレスで追い詰められてしまいました。

平均体型から減量するのは、以前より大変でした。早く痩せたい気持ちで焦ると同時に「食べたい」という衝動に駆られた私は、お菓子やアイスを買い込み、それらを短時間で詰め込んでしまったのです。

食べてる間は、嫌なことをすべて忘れることができましたが、食べ終わった後に、強い罪悪感と嫌悪感で涙が出ました。

太ることが怖かったので、全部吐き出そうとしますが、なかなかうまく吐き出せません。そこで近所の薬局で、浣腸と下剤を購入し、食べたものをすべて排出しました。

この過食を経験して「二度としたくない」と思ったのですが、就活のストレスから、だんだん過食はエスカレートしていき、コーンフレークを1袋すべて食べたこともあります。面接後には甘納豆1袋とようかんを3本むちゃ食いし、酷い時は「食べたい気持ち」と「食べたくない気持ち」で、食べ物を噛んで吐き出す行為を繰り返していました。

ある日、過食している最中に「このままでは一生治らないのでは」と思い、心療内科を調べ受診をすることにしました。

過食症の克服へ

過食症を治療することを決意した私は、心療内科へ向かいました。

受診前に、相談員の方に過去の話や過食症になった経緯を話すのですが、過去のことを掘り下げて話すのは、少しつらいこともありました。

その後、診察室に呼ばれどんな先生か緊張しましたが、優しい女性の先生で、とても安心感のある方でした。

相談員の方の資料をもとに、話をすすめていき、私も「就活のストレス」「ダイエットでの焦り」について話しました。話を聞いた先生に「以前よりも自信をなくして、自分を責めているのが多くなってませんか?」といわれました。

そして、提案してくれたのが、紙に「食事」や「その日したこと」そして「できたこと」を1週間記録する方法でした。もちろん過食についての欄もあり、原因を考え、どれぐらいの時間過食したかを書く欄もありました。

1週間、先生にいわれたとおりに記録を続け、再び病院に向かいました。記録した紙を見せると「この日は40分過食したけど、次の日は半分におさえられましたね」「この日は、過食をせずに過ごせてすごいですよ!」と、私はいいことだと思っていないことも、「いいことだ」と褒めてもらい、できたことに目を向けられるようになったのです。続けていくうちに自然と過食の回数も減っていきました。

その後、就職が決まり紹介状を書いてもらい病院を変えるとこになってしまいます。

現在は、ご飯などの主食を増やし、一汁三菜で3食しっかり食べることを意識しています。あえて3食しっかり食べることで、甘いものを食べたいと思うことも少なくなり、精神的にも安定しています。

次に、集中できる趣味を見つけることです。これは私の経験ですが、1人で暇な時に間食をして、過食に流れてしまうことが多い傾向がありました。私の趣味は、イラストと筋トレとゲームです。趣味に集中することで、食べ物のことを考えず、楽しく時間を過ごせてとても有効でした。

そして、体重を毎日測らず、食事記録のアプリを使わないことにしたのです。体重の変化や摂取カロリーが見えることは、ダイエットのモチベーションになりますが、私にはプレッシャーになり、過食につながっていました。食事は日記にのみ記録し、その日できたことを書き出すことにしています。

まだ、完全に克服はできていませんが、順調に症状も回復しています。それと同時に、体重の数字に対するこだわりがなくなっていきました。

なぜ平均体型は恥というのか

最初の話に戻りますが、そもそもなぜ、平均体型は恥というのでしょうか。

私が思うに原因は、不安を煽らせるSNSのダイエットアカウントが、多いのではないかと思います。よく目につくのは「○○を知らないと、一生平均体型です」「この食べ物を食べると一生痩せれません」

平均体型でもいいじゃないですか。はちゃめちゃに太っていたり、病的な痩せ方をするより、断然マシです。

もう1つ思うことは「勝手に食べるものを制限するなよ」です。ジャンキーなものや、お菓子を毎日食べたら太るのは当たり前ですが、たまに食べる分には、まったく悪いことではないです。

不安を煽るようなアカウントの他にも、K-POPのアイドルの極端なダイエット法を紹介したり、間違った知識を投稿するアカウントも多く見られます。

これらのアカウントに多いのは、長々と本文に入らず、大した情報もなく、謎のテキストを配布することです。「配布しないで、ここで紹介してよ」とツッコみたくなりますよね。

※優良なダイエットアカウントも、もちろんありますよ。

そして女優やモデル、アイドルに憧れ、目標のハードルを上げすぎて、感覚が狂ってしまうことも原因です。私が完全に、このタイプでした。先にいっておきますが、彼女たちはテレビでみる3倍は細いです。目標にするのはいいことですが、同じ体型になりたいと思うと、もちろん病みます。実際に病みました。

特にK-POPのアイドルのダイエットは、リスクが高いものも多く、本人もあまり推奨していないことが多いです。真似したら摂食障害になりかねないです。

情報のをよく見極めて、真似できそうなものを参考にすることをおすすめします。

過去の経験も、本人の体型に関する価値観に大きく関わると思います。

私自身も経験したのですが、小学生や中学生のときに太っていると、もれなくいじめられました。といっても「遺伝で太りやすいんですけど」と思って、私はたいして、気にしてませんでしたね。

高校生になると、体型によるいじめは少なくなります。しかし、細くて可愛い子と、太っている子に対する異性の接し方が、あきらかに違ってきます。そのころも、実はあまり気にしてませんでした。

しかし「デブ」の一言で、深く傷つき、体型への認識が狂う人もいるのは事実です。

私が知っている子では、小学生で他の子より、発育がいい子がいたのですが、体型のことを酷く言われ、拒食症になり命の危機にまで追い詰められたのです。

過去の経験が、体型への認識にゆがみを起こしたり、心に深い傷を負うことで摂食障害につながってしまうこともあります。

最後に

ダイエットをしても、なお体型に悩み、過食症を経験した私からいわせてください。平均体型を恥だなんて思わないでほしいです。

たしかに、ダイエットをして自分に自信がついたのも事実です。ですが、体型以外にも、特技や性格、あなたの魅力は必ずあるはずです。

世間の価値観に振り回されず、今のあなたの価値観を信じて、自分を愛してあげてください。

参考文献

【日比谷有楽町の心療内科 精神科 パークサイド日比谷クリニック 摂食障害について】
https://www.parkside-hibiya.com

【一般社団法人日本女性心身医学会 一般のみなさまへ】
https://www.jspog.com/index.html

【一般社団法人日本内分泌学会 神経性過食症 】
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=1

【摂食障害について|医療法人 北仁会いしばし病院 】
 

ひとまる

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焼き芋とシロクマとアイスが好きなドルオタ
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最近やっとチャンビンとハンの
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