自己愛性パーソナリティー障害とは~レッテル貼りは危険
その他の障害・病気出典: Photo by Khamkeo Vilaysing on Unsplash
おたがいに相手の気持ちを理解し思いやることは、人間関係をうまくたもつための基本です。しかし、自己愛性パーソナリティー障害の人は相手の気持ちを考えることができません。当然、人間関係はうまくいかなくなります。しかもその結果、自分が苦しい立場に追い込まれても、なぜそうなるのか理解できません。
「自己愛性パーソナリティー障害」は人格障害のひとつで、自己愛(ナルシシズム、自己陶酔)がとても強く、肥大化したプライドに振り回されて対人関係でトラブルを起こしてしまいます。
自己愛性パーソナリティー障害の原因は?
自己愛性パーソナリティー障害の発症は、生まれつきの気質と環境の両方が原因である可能性が指摘されています。
ただし遺伝的要因といっても、遺伝するのは人格を構成する気質や性格の一部分であって、パーソナリティー障害そのものが遺伝するわけではありません。
環境要因としては幼少期に育った環境が挙げられます。例えば親が、子供に対して過度に批判的であったり、過度に甘やかしたりといったものです。
自己愛性パーソナリティー障害の特徴は?
自己愛性パーソナリティー障害の人は、非常に野心的で「自分は特別な人間だ」と強く思い込み、自分以外の人間を劣った存在として扱ってしまうという特徴があります。そのため、周囲の人々への共感性も非常に低くなりがちです。
周囲からの高い評価や承認欲求を強く求める傾向がありますが、その影には好評価や賞賛なしでは自分を愛せないということや、強い劣等感があります。またそのため挫折に非常に弱いといった特徴もあります。
また、特徴のひとつとして、感情を爆発させるかのような非常に激しい"怒り"を見せます。「この人を怒らせると危険だ」「あまり関わらない方が身の為だ……」と感じさせるような怒り方で、これは「自己愛憤怒」と呼ばれています。
また、自分の発言を180度ひっくり返す、いわゆる"手のひら返し"が多いのも特徴です。
自己愛の強い人は、自分をチヤホヤして満足させてくれることを目的とした人間関係、つまり取り巻きを従えることが目立ちます。これらはあくまで特徴の1つに過ぎないので、素人判断であの人は「自己愛性パーソナリティー障害」だとレッテル貼りをすることは避けたいことです。
例えばこんな人は特徴がある人はいませんか?
例えば「仕事の打合せ」の時間に過去の武勇伝を長々と話したり、自分が勝っていると見下し、負けていると見下されると感るなど……。こういった状態でもパーソナリティー障害のほとんどは当事者自身が気づいていないため、周りの人が指摘するのは、現実的に難しいかもしれません。
おわりに
自己愛性パーソナリティー障害は、人格障害の中でも見分けることが難しい症状です。だからこそ、特徴が当てはまるからと、素人判断で他人にレッテルを貼ってはいけません。
参考文献
【自己愛性パーソナリティー障害ガイド 自己愛性パーソナリティー障害とは、その特徴】
https://narcip.com
【MSD マニュアルプロフェッショナル版 自己愛性パーソナリティー障害(NPD)】
https://www.msdmanuals.com
パーソナリティー障害