うつ病とHSS型HSP~苦しんだ時間は無駄じゃない

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出典:Photo by Susan Q Yin on Unsplash

最近「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」という言葉がメディアでも取り上げられて認知が広がっていますが、皆さんは「HSS型HSP」という分類はご存知でしょうか。「HSP」とは対照的とされる「HSS(ハイリー・センセーション・シンキング)」。その相反する2つの特性が共存しているのが「HSS型HSP」で、最近では「HSE」とも呼ばれます。

「刺激を求めるが繊細」という矛盾をはらんでいるので、当事者ですら扱いづらいと感じるほどのくせ者です。私はうつ病患者として自己分析を進めるなかで、「HSS型HSP」である自分に出会いました。

うつ病と診断されたけれど

私がうつ病と診断されたのは、入社して3年目の会社で繁忙期を迎えようとしていた時期でした。日々の通常業務、繁忙期の準備、まもなく退職する先輩社員の引き継ぎ、上司からの無茶ぶり、同僚たちのいがみ合いなど、会社に行きたくない理由を挙げればキリがありません。「この繁忙期と引き継ぎを終えたら辞めよう」という考えと「必ずやりとげてみせる」という意地だけが仕事に向かう動力でした。

その一方で、帰宅後の動かない体と心を奮い立たせるために、それほど好きではないお酒をガソリン代わりに飲み込むことが日課となっていました。そんなある日、想定外のことが起きました。いつものように晩酌をしていたら、急に涙がこみ上げて止まらなくなったのです。自分ではどうしようもできず、家族に助けを求めることしかできませんでした。異常を察して駆けつけた家族のおかげで、その後すぐに病院でうつ病の診断を受けて休職が決まりました。

しかし「会社を休める」と安心したのは束の間でした。服薬と自宅療養を始めても良くなるどころか悪くなる一方だったのです。

自分についてとことん研究する

休職して半年後、ひとり暮らしができるほどに体調は安定しても、抑うつ気分は増すばかりでした。散歩、筋トレ、生活リズムの改善、趣味の映画鑑賞など何をしても気分は晴れず、途方に暮れました。

実はというと、社会人になってから他人と同じようにできない自分に悩むことが多く、常に暗い気持ちを抱えていました。そのため、心理学の本や精神障害のことを調べるうちに「HSP」という言葉を知りました。ところが、繊細で内向的な「HSP」とは異なる一面も自覚していたので、すべてを納得できません。そのことを思い出してから、うつ病から回復していくには生きづらさを感じる自分についてとことん研究してみるしかないと思い、勇気を出して行動に移しました。

まず最初にカウンセリングでは、生きづらさを感じるポイントを探っていきました。カウンセリング以外でも自問自答を繰り返して、自分の本音に初めて気づくこともありました。モヤモヤとした雑念がクリアになっていき、ピントが合っていく感覚です。さらに、就労移行支援事業所にも通い始め、さまざまなプログラムを通してセルフモニタリングについて学び、通う体力と気力がないときは心理学関連の書籍や記事を読み漁りました。

そんな地道な取り組みの大きな収穫が「HSS型HSP」気質を持つ自己との出会いでした。

HSS型HSPの私

「HSS型HSP」は、ベースとして典型的な「HSP」特性があります。ここで、私自身が感じた主な「HSP」の特徴は次の通りです。

  • ・同じ作業量なのに同僚より疲労がたまりやすい
  • ・他人のなにげない言葉に傷ついてくよくよする
  • ・同じ空間にいる人の体調や気分に影響されやすい
  • ・常に他人の気配を察知して意識している
  • ・音や匂いに敏感

そして、自分が「HSS型HSP」だと感じた特徴が次の通りです。

  • ・好奇心旺盛なのにすぐに飽きる
  • ・現状を改良したがる
  • ・単純作業が嫌い
  • ・友人と会って話したり、外出したりしないと活力がなくなる
  • ・楽しみにしていた予定が急に嫌になる

繊細さ、傷つきやすさを持ちながらも好奇心旺盛で社交的という矛盾。つまり、私が「HSP」だと確信できなかったのは「HSS型HSP」だったからなのです。長年の生きづらさも抑うつ気分の悪化も「HSS型HSP」気質によるものだと思うと合点がいきました。

最後に

現在では、就職活動に踏み出すまでに回復し、うつ病の症状も落ち着いています。一方で「HSS型HSP」は病気ではなく、特性です。私の場合、自分の特性を認めることで、他人に流されて無茶することが少なくなり、結果としてうつ病の治療にもつながりました。こうした経験を「怪我の功名」と今では心から思えています。

うつ病を患うことは苦しい体験ですが、ネガティブなことばかりではなく、自分を見つめ直す貴重な機会でもありました。これを読む当事者の方々も「苦しんだことは無駄ではなかった」と思える時間を過ごしてほしいと願っています。

参考文献

『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』P.100~P.124 時田ひさ子著 フォレスト出版 初版 2020年

きゃべつ花子

きゃべつ花子

雑種犬を狂おしいほど愛するうつ病患者。就労移行支援事業所に通いながらセミオープン就労を目指す日々を送っています。

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