自己愛性パーソナリティ障害の特徴・克服方法・付き合い方について
その他の障害・病気自己愛性パーソナリティ障害って?
精神医療について詳しい人であればご存知でしょう、人格障害のひとつ「自己愛性パーソナリティ障害」というもの。
この障害は自己愛性、とあるように自分を過信し、他者を軽視するような考えを持っているのが特徴で、基本的に自己中心的な言動・振る舞いをします。
その他の特徴として、損得・利害関係に神経質で、周りからの評価に強く固執します。その一方で傷つきやすく、臆病ともいえます。自己愛性パーソナリティ障害者の特徴は概ねこのような感じです。
しかし、なぜこのような思考回路ができてしまうのか。
一般的な理由として、「悲劇的・過酷な幼少期を過ごしたから」、「親や周りからの愛情不足」などが挙げられます。
人は、幼少期のうちに将来の人格の基盤をつくっていきます。褒められ、認められ、喜ばれ…こういった経験で、子どもたちは「アイデンティティ」を確立していくのです。しかし、これがうまくいかないと、人は自分を認められなくなります。つまり自信喪失です。そして、その自信の無さを埋めるように、必要以上に他者と比較して自惚れていくのです。
そうなのです。自分が好きだから自己愛なのではなく、自分が認められないからなのです。アイデンティティが曖昧な彼らは、周りに様々なものを求めます。お金、評価、注目…。
そして、自己愛性パーソナリティ障害者は目に見える明確な数値で人よりも優れていると思い込みます。よくあるのが、「善悪・敵か味方か」の二分化思考ですね。別に障害者に限らずこのような考え方をする人はいるんですが、自己愛性パーソナリティ障害者の場合はとくに顕著。「自分にとって愉快か不愉快か」で、善悪をばっさり決めてしまうので、差別主義者にもなりかねません。
自己愛性パーソナリティ障害の克服・治療の為に
では、この人格障害は克服できないのか?…と言われると少々難しいかもしれません。なぜなら、自己愛性パーソナリティ障害者はなかなか自分を障害者だと認めませんから。さらに、そもそもこの障害は突然なるものではなく、慢性化しているものですから、ガラりと考え方を変えることは困難ですね。
それでも大事なのは、「自覚すること」と「他者と比較することなくありのままの自分を受け入れること」です。
自分の偏った性格を自覚し、良いカウンセラーと出会い、弱さを認める事が出来るようになること。この方法が最も効果的だとされています。
何から始めたら良いかわからない時は、とにかく感情にとらわれず、自分の思考を客観視して、意識的に「あ、いま自分こんな考え方しているな」という感じに理解してください。
最初は自分の思考を追うだけでいいんです。こういうのをメタ認知っていうんですが、考え方を変える上で有効な手段になります。慣れてきたら、意識的に考え方を修正していきます。
修正とは何かというと、例えばあなたを悪く評価している人がいて、当然その人に対して攻撃的・批判的な感情をもちますよね。こういうときに、別の視点をもって、「あの人は私を何もわかっていない!」ではなく、
「本当に私が悪いかもしれない」
「あの人にとって私とは価値観が合わないかもしれない」
「たまたまイライラしていただけかもしれない」
…という具合で、冷静になる事が大事。
「あの人は敵だ・味方だ」ではなく、「あの人とは合う・合わない」という思考回路ももちましょう。
また、日記を書くのも良いですね。できるだけ妄想・願望ではなく、ありのままの事実を書いていけば自分が何者で何をしている人なのかを客観視できます。
最優先すべきことはアイデンティティの確立です。
自己愛性パーソナリティ障害の人との接し方
自己愛性パーソナリティ障害がある人と関わる人にとって知っておきたいのが「付き合い方」です。
まずは、相手のプライドを傷つけないほうがいいです。これはある意味、防御策です。彼らに一度嫌われると、陰湿ないじめやパワハラ・モラハラにつながる事も有ります。そして、聞き上手に徹して、なるべく刺激的な事は言わないこと。
自己愛性パーソナリティ障害者に対して腹が立つこともあるかもしれませんが、人付き合いの一環として穏便に済ます方が利口です。
もし、相手があまりに問題児であれば周りの人に相談し、できたら遠ざける、あるいは逃げることも賢明な選択です。
感情的になったら負け、と思って落ち着いて判断してください。
まとめ
ここまで自己愛性パーソナリティ障害についてまとめましたが、多くの人が「なんて救いのない人だ!」と呆れ・憤怒しているでしょう。
しかし、自己愛性パーソナリティ障害になる背景には様々な悲劇が隠れている事も無視できません。彼らは一見、たくましそうですが、とても脆い存在なのです。
もちろん周りの人は無理に同情してあげなさい、とはいいませんが、人格障害者に対して感情的になってしまうのは避けたいところ。
人付き合いってそういうもんだな、ということで認識して頂ければと思います。
さて、この記事を読んで「自分は自己愛性パーソナリティ障害かも…」と不安に思う方もいるかもしれません。
その場合はあまり自分を卑下せず、ありのまま(事実)の自分をみつけることを優先してください。自惚れでなく、他者と比較せず真の自信を手に入れれたら、きっと楽に生きる事が出来るでしょう。
自己愛性パーソナリティ障害者にとっても、その周りの人にとっても、自分らしく生きていける事を願います。
参考文献
自己愛性人格障害の治療法
https://www.kokoro-ashiya.com
自己愛性人格障害の末路
https://www.kokoro-ashiya.com
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パーソナリティー障害