
これまでひきこもりは若年層の問題として考えられてきました。しかし最近は中高年層にまでひきこもりの深刻な実態が浮き彫りになってきました。親の高齢化、さらには深刻な経済的に困窮な家庭が増えていることが社会では懸念されています。今回は中高年のひきこもりについて考えてみたいと思います。
これまでのひきこもりに関する話
まず最初に取り上げるのは若年層に限ったひきこもりの実態です。これまで政府がひきこもりの実態調査を行った対象年齢は15歳から39歳まででした。実態調査では学校や仕事に行かない状態が長期間つづいているいわゆるニートが増えているいうことです。ひきこもりの定義は、半年以上にわたって趣味の用事の時や近所のコンビニに行く時だけ外出したり、自室からは出るが、家からは出ない、さらには自室からはほとんど出ないなど社会との接触を断ち自宅にこもって生活している状態を指します。
ひきこもりで多いのが学校の不登校がきっかけで始まり、学齢期を過ぎても改善されないことです。ひきこもりはどんどん長期化するほど何らかの障害や病気などの問題を抱えこむことが多いのが事実です。バブル崩壊後の1993年以降は「就職氷河期」と呼ばれる時代が到来し、新卒の学生が希望する会社や待遇のよい仕事に就けず非正規雇用の仕事に就いたりする一方、どこにも属さないニートになってしまう人達がいました。そんな中、近年はひきこもりの層が40歳以上の中高年にまで広がっている事が注目され始めてきたのです。
中高年のひきこもりに焦点が当てられてきた
仕事や学校に行かず、家族以外とほとんど交流しないひきこもりの人のうち40歳以上でその期間が10年以上にわたる人たちの実態調査が始まりました。ひきこもりに至った経緯を分析してみると安定した仕事に就けず、自立につなげられないことがあげられます。ただ若年層と中高年のひきこもりは状況が違うようです。中高年の場合、ひきこもりの長期化や高年齢化が進むと、なかなか抜け出しにくくなり、その人の親の年齢も70代から80代で高齢化しているので、例えば親が亡くなった後に経済的に困窮したりする恐れがあります。高齢の親が40代から50代の子の面倒を見る、また障害や病気を抱えた子の将来を悲観して痛ましい事件が起こったりするケースもあります。中高年のひきこもりという現状を踏まえたうえで、何かしらの公的な支援がない中で追い詰められる家族が実に多いのです。そこで政府の実態調査では中高年のひきこもりの人数だけでなく、その家族を含めた生活実態調査や健康状態の把握にも努めるべきだと指摘され始めました。
早急な対策を講じなければならない問題
この深刻なひきこもりという状況から、どうやって救出できるのでしょうか?社会とつながりたくてもつながれない人たち、働かなくてはいけないけれども働けない、そう感じている人も多いはずです。こういった中高年の引きこもりに対して問題点も浮き彫りになってきました。中には高額の料金を取ってひきこもりの人を支援するビジネスが増えてきているのです。社会的に孤立していることが一番の問題であり、社会との関わりを持たない人たちに対する支援機関を増やしたり、中高年層のひきこもりの問題をもっと世間に認知させるべきだと思います。そうしないと今後も中高年のひきこもりが増えていく可能性があるからです。
中高年のひきこもりは、社会とのつながりが薄く孤立してしまうのが現状です。とりわけ見逃せないのは支える側となってきた親の高齢化です。中高年世代は親の病気や介護、経済的な問題といったさまざまな問題が自分自身のこと以外にもある為、そう簡単に解決ができないのが実情です。
参考文献
内閣府「ひきこもり実態調査」
http://diamond.jp
長期引きこもり、初の実態調査開始 40歳・10年以上
https://www.nikkei.com

ブノアド
ブノアド
数年前に就活中、何十社も不採用になりそれが元で精神的に支障をきたし、重度のうつ病にかかりました。その頃から引きこもりになり、病院の主治医から就労移行支援所の存在を知り、通所することになりました。内から外へ、そして社会復帰の為に日々前進すべく活動する機会が持てました。目標は就労して世の為、人の為に役立つことです。
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