オープンダイアローグ②~転換期を迎える精神医療

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◀前回の記事:オープンダイアローグ①~開かれた新しい治療法

オープンダイアローグに関するコラムの続きです。後半であるこのコラムでは、オープンダイアローグの簡単な説明と実際、日本に導入されるのかどうか私見を交えて書いていきたいと思います。

オープンダイアローグの概略について

具体的にオープンダイアローグを実際に行う場合は、必要な項目が12項目ありますが、そのうち幾つかをピックアップして書きだしてみます。

  • 1.ミーティングチームを組織する
  • オープンダイアローグは、電話など連絡を受けて、24時間以内に危機対応チームを編成します。決められた人数はありませんが、医療関係者と患者自身と重要な関係者全員(家族・親戚・友人なども含む)で構成されます。ミーティングでは、全員が1つの部屋で車座になり、自由に意見を交換します。
  • 2.何を決めるのか?
  • オープンダイアローグでは、患者がいないところで、結論を出さないことが重要になってきます。必ず全員がそろって意見を出し合い、何を決定するのか、何が決定していないかを確認することも過程として、重要な要素となってきます。治療上の薬物も用いますが、最小限に留められ、基本的には集団カウンセリングのような形になります。
  • 3.対話主義
  • 精神疾患の患者は言語に表せないような経験をしています。 たとえば統合失調症の患者は、最初から幻覚や妄想を経験しているわけではありません。発症したての初期において患者が直面するのは、むしろ世界観の根本的な変化とでも言うべきものなのです。このような体験をしている患者の話しを聞いて、否定せずにすべての言葉に応答することが、オープンダイアローグの重要な点です。

モノローグをダイアローグに開くために

治療においてモノローグ(独白)をダイアローグ(対話)に変えるためには、必ず本人抜きではいかなる決定もせしません。依頼があったら、24時間以内に本人・家族を交えて初回ミーティングを行います。治療対象は統合失調症を含むあらゆる精神障がいを持つ人が対象となります。危機が解消するまで毎日でも対話をします。 オープンダイアローグでは、スタッフ限定のミーティングを行わなず、対話のテーマを事前に準備しません。また、幻覚や妄想などについても突っ込んで話をすることも大事です。さらに治療チームは、患者の発言に全て応答することが前提となっております。このように、医者と患者との1対1で話をするよりも、複数の人達と話すことで、症状を軽減することができます。 患者の多くは対話のない状態で、堂々巡りの考えに陥ってしまいます。この状態がモノローグという状態です。これを放ってしまうと妄想的になりやすく、こじれやすいことになっていきます。それを防ぐためにダイアローグに開くことで、かなり症状は軽減できます。

導入の難しさ

現在、フィンランドのラップランドの一部だけで行われているオープンダイアローグですが、人口密度が小さいために成り立っているのが現状です。都市部だと導入されていないのです。フィンランドだけでなく、欧米や日本の一部でも実験的に導入している団体は存在しています。しかし、フィンランドでも最初は、精神科医の反対が多かったようです。自分たちの存在意義がなくなるということと、投薬をしないことで、症状が悪化するのではないかという懸念です。日本でも少しずつ取り上げられることが多くなった、この新しい治療法は、日本の精神医学会では否定的に捉えられているようです。 効果があると分かっていても、新しい治療法に対する抵抗感、体制作りの難しさなどが重なり、3分ぐらいの問診と診断で処方箋を出すだけの、精神科の看板を掲げている精神科医にとって、自分達の存在意義を失うことになるこのような治療法は、日本では積極的に取り入れることは難しいでしょう。 統合失調症に行われているオープンダイアローグですが、他の精神疾患にも効果はあると考えられています。精神疾患を患っていると、自分自身で孤立してしまうところがあると思います。病院と家の往復だけで、他人と関わる機会が少なくなりがちです。そういう意味では、オープンダイアローグまで行かなくても、対話できる環境が整えば、投薬と入院だけに頼らない、別の効果が期待できるのではないでしょうか?

参考文献


オープンダイアローグとは何か
斎藤環著+訳

NHKハートネット福祉情報総合サイト
https://www.nhk.or.jp/heart-net/

tkbn

tkbn

40代男性。30代半ばでうつ病を発症。40代になって発達障害の疑いありと診断される。就労支援機関で自分の特性について学び、最後の就活を終えコラムを書いています。趣味は鉱石収集。年2回大阪・京都で行わるミネラルショーや即売会に行って、気に入ったものをコレクションするのが楽しみですが、部屋で飾る場所が無くなっているのが最近の悩みです。

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