カサンドラ症候群からの脱出法~我が家の場合

暮らし 発達障害

出典:Photo by Anda Deea on Unsplash

妻が長年苦しんできたカサンドラ症候群。それが、この1年ほどでかなり改善してきました。あくまで「私たち夫婦の場合」にはなりますが、我が家のカサンドラ症候群について、その原因や対処法をお話しできたらと思います。

カサンドラ症候群は、主に自閉スペクトラム症(ASD)の夫の特性のひとつである「コミュニケーションの障害」により、妻が抑うつ症状など心身に不調を生じる状態のことをいいます。

今ではウェブサイトやブログ、SNSなどで語られることが増えてきたため、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

本コラムが、かつての私たちのように苦しんでいる方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

私たち夫婦について

はじめに、私たち夫婦について紹介させてください。夫である私も妻も現在、40代半ば。妻の方がひとつ年上の夫婦です。子どもは小学生の女の子がひとり。

交際期間は8年間、そのうち4年間同棲したのち結婚しました。籍を入れて今年で14年になるため、合わせて20年以上一緒にいることになります。

妻にカサンドラ症候群の症状が見られるようになったのは、同棲を始めて少し経ったころから。そのため、妻は短く見積もっても10年以上苦しんできたことになります。

一番酷かったときは、私に握りしめた包丁の先を向けたこともある(!)妻ですが、この1年ほどで症状が劇的に改善してきました。

今回、本コラムを書くにあたって「何がつらかったのか(原因)」と「なぜ改善してきたのか(対処法)」を妻にヒアリングしてみました。

我が家の場合 その1 カサンドラ症候群の原因

カサンドラ症候群は、自閉スペクトラム症(ASD)であるパートナー(我が家の場合、夫=私)の障害特性によって引き起こされます。原因となる私の特性は、具体的には次のようなものです。(妻が回答してくれた順に記載しています)

・「いきなり怒り出す。何が地雷か分からない」(筆者補足:私には独特のこだわりがいくつかあり、それらを妨げられるとパニックになります。それが怒り出したように見えたのです)

・「急な予定変更ができない」

・「相談したいときに話を聞いてくれない」(タイミングを細かく見定める必要がある)

・「何か伝えたいときは、口頭ではなくメールやLINE、メモを手渡すことが必須」

・「朝、出勤前と夜、帰宅後の異様な緊張感の高さ」(筆者補足:私には出勤前と帰宅後に「儀式」ともいえる独特の厳密なルーティンがあり、それを邪魔されるとこれもまたパニックになります)

・「単に話を聞いてほしいだけなのに、5W1Hをこと細かく確認してくる」

・「いったことを憶えていてくれない。すぐ忘れる」(筆者補足:私の「ワーキングメモリが低い」という脳の特性に由来しています)

・「強迫神経症的な側面がある」(外出時、玄関ドアの施錠を壊れるほどに何度も確認するなど)

我が家の場合 その2 カサンドラ症候群への対処法

先程の「原因」で書いた私の言動に対して、妻が「カサンドラ症候群改善に役立った」と答えてくれたことが次になります。(妻が回答してくれた順に記載しています)

・「おたがい感謝の気持ちを伝え合う。共通の友人に対しておたがい『相手に感謝している』という話をしたことが、それぞれ別々に本人たちの耳に入ったことがあった。それまで普段、夫に一生懸命尽くしていることは届いていないと思っていたので、とても嬉しかった」

・「夫のトリセツに慣れた」(「○○なときには××なことをしてはいけない」など)

・「自分(妻)にやりたいこと(チャイルドコーチングアドバイザーの資格を活かした仕事)ができて、興味関心が分散した」

・「夫の特性が出たときに、そのことを表すハンドサイン(側頭部を指先でつつく)を夫が用いるよう決めたことで、それを見ると『この人は障害者なんだ』と我に返り冷静になれるようになった」

・「スキンシップを増やした」(筆者補足:妻のマッサージをよくするようになりました)

おわりに

妻を苦しめてきた私も、かつてと比べて変わった(変えた)点がいくつかあります。ひとことでいうと「学習した」といえるかと思います。

「ありがとう」と「ごめんね」をよくいうようになりました。

細かなことが気になってもグッと我慢して、ただ「話を聴く」ということができるようになりました。

多少、自分のこだわりから外れることがあっても気にしない「心の余裕」をもつよう心掛けるようになりました。

何より、妻を苦しめてきてしまったことに対して「申し訳なかった」という気持ちが芽生えるようになりました。

繰り返しになりますが、これらはあくまで「我が家の場合」に過ぎません。また、妻のカサンドラ症候群も治ったわけではなく、がん、うつ病のように「今は落ち着いている」「いつ再発するか分からない」という「寛解」の状態です。

実際、今でも口論やケンカはよくします。ただ、その頻度が減ったこと、そして、ケンカからの「仲直り」が早くなったのもまた事実だと思います。

これからも私たち夫婦はカサンドラ症候群への対処法を、トライ&エラーを繰り返しながら探し続けていきます。

参考文献

【カサンドラ症候群】
https://osakamental.com


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映画と沖縄とバスケをこよなく愛する自閉スペクトラム症当事者。現在、就労移行支援事業所に通所しています。小学生女子のパパ。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

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