特別支援学級とは?〜種類、授業内容、通常学級との違いとメリット

暮らし

unsplash-logo Ryan Jacobson

特別支援学級と通常学級、障害のある子どもをどちらへ通わせるか悩んでいませんか?特別支援教育とは障害のある子どもの学びをサポートする制度ですが、あまりイメージできない方もいるでしょう。では、特別支援学級の子どもはどんなサポートを受けながら学ぶのか、特別支援学級と通常学級での指導との違いについて解説します!

特別支援学級とは〜障害のある子どもの学びと生活をサポート〜

特別支援学級とは、小・中学校に在籍する障害のある子どもが特別支援学級に通学し、学びながら自立していけるための教育サポートです。特別支援教育全体においては、主に自立活動を中心とした勉強と訓練をします。特別支援学級の仕組みをもっとよく知るために、特別支援学級の背景、学校教員等の役割、対象となる児童生徒、授業内容について解説していきます。

特別支援教育が生まれた理由
昔、障害のある子どもの学校は、障害の種類ごとに分かれていました。しかし、2007年・学校教育法の改正によって、多様な障害のある子どもをまとめてサポートする特別支援教育が生まれました。理由は、複数の障害を持つ生徒、と通常学級に在籍する6.3%の発達障害の生徒への対応が課題となったからです。

特別支援教育は、障害があるかないかに関わらず、あらゆる子どもの教育を保障し、人々が互いを尊重しながら共に生きる共生社会を目指したインクルーシブ教育を進めます。

特別支援学級の教員
特別支援学級の担当教員は、個別のサポートプランにもとづいて、生徒の特性に合わせた勉強と生活をサポートします。障害をもつ生徒への教育サポート・指導において、困ったことや迷いが生じた際は、主に特別支援コーディネーターに相談します。

特別支援コーディネーターとは、担当教員を含む学校そのものが、子どもの学びや成長をサポートする体制を作っていく存在です。主に特別支援学級の担当教員と保護者、学校関係者の相談と繋ぎ役となります。具体的に何をサポートするのかといいますと:

・特別支援学級の生徒へのサポートと指導について、相談・助言・指導します。
・生徒本人から担当教員、保護者に必要な教育サポートがあれば、会議を開いて学校関係者へ働きかけます。
・必要であれば、より専門的なサポートを行う関係機関と相談し、協力し合います。

特別支援学級の対象となる生徒
①肢体不自由者:手足や体幹が上手く動けない等。
②弱視者:視力が極度に弱い、目が見えない等。
③難聴者:耳が聞こえづらい、もしくは聞こえない等。
④病弱者/身体虚弱者:体に負担がかかりやすい、もしくは医療ケアがいる等。
⑤知的障害者:精神年齢の発達がゆっくりで、学習や集団生活に難しさを持つ等。
⑥言語障害児:言葉を話す・聞いて理解するに難しさをもつ者。構音障害や吃音(きつおん)等。
⑦自閉症者および情緒障害者:コミュニケーションの不得手、気持ちの表現とコントロールに難しさをもつ者。高機能自閉症や※選択性場面かん黙症、不登校の生徒等が対象。
特別支援学校と比べると、障害は比較的軽めな児童生徒が多くなります。

※選択性場面かん黙症:言語能力と発達に問題がなく、親しい人達との会話や自宅等では普通に話せるにも関わらず、特定の場面では一切話せなくなる状態です。緊張や不安を感じやすい気質の子ども等に多いと言われます。

特別支援学級の授業

特別支援学級でも行う自立活動は、障害によって生じる学びや生活での課題を克服・改善することを目的とします。
自立活動では、主に①健康管理、②心の安定、③周囲の環境や状況の理解力、④運動・体の動かし方 ⑤人付き合い・コミュニケーションを伸ばす等、一人一人に合った活動によって自立を促していきます。

また、障害のある子どもが安心して学び、成長していける環境を保障するための合理的配慮も大切にします。障害のある子どもが他の生徒と等しく、安心して通学・学習できるように、学校は無理のない範囲でサポートをすべき、と定められています。具体的には、車椅子も通れるようにエレベーターやスロープを使う・段差をなくす、切り替えのできない自閉症児のために机についたてを付ける等、一人一人に応じた多様なサポートがあります。

特別支援学級に通う児童生徒への対応
・できないところばかりではなく、できるところを見つける、できるようになるための学びを考えます。
・生徒本人の発達や年齢、心理的・身体的負担を考えた勉強課題と授業の進め方を工夫します。
・学力や活動スキルの成長に留まらず、生徒本人の意欲と自己肯定感を保っていく工夫や声かけを意識がけます。

授業の内容
特別支援学級に通う生徒は、日常生活に何らかの支援が必要な障害を持つ者や、抽象的な理解が難しい発達障害児・者が多いです。そのため特別支援学級における学習・活動は、より具体的で日常生活で実践しやすい内容に工夫されています。

①生活単元学習
一言でいえば、日常生活のイベントに即した活動・作業を通じて、言葉や算数、運動、友達作り、コミュニケーション等の基礎的な知識と技能を学習していくことです。例えば、誕生日パーティーのイベント活動を特別支援学級で行うとします。

「誕生日パーティーをしよう!」
①誕生日カード作り←文章を書く、内容を話す・聞く=国語力
②飾り付けの紙の数、お菓子作りの数・分量を考える=算数力
③手作りプレゼント、飾り付けを作る、お絵かき、色塗り←図工、手先の訓練
④イス取りゲーム等、体を動かすゲームプログラム=体育、運動技能
⑤準備の共同作業・グループ遊び=コミュニケーション能力

このように、誕生日パーティーの準備とゲームプログラムという遊びや楽しみに、国語や算数、図工、体育、自立活動、友達作り、コミュニケーション等の学び要素を入れます。実際に手や体を動かし、話し、聞き、計算し、一緒に考える実践型の学びによって、より学びを楽しく身に付けていくのです。数式等をひたすら頭に詰め込んでいく座学型・抽象型よりも、実際にやってみることによって、学びが頭と体に入りやすいという考えがあると思います。

②日常生活の指導
児童生徒が活き活きと生活し、自立していくのに必要となる日常生活スキルと集団生活スキルを学び、練習します。

「基本的な生活スキル」
①洗い、歯磨き等の清潔保持、②服装や身だしなみ、③食事と好き嫌い、④トイレの仕方、⑤寝る前の準備等、⑥忘れ物や宿題等。
「集団生活スキル」
①あいさつ、②言葉づかい、③マナー、④時間やルールを守る、⑤係や遊びでの役割分担等。

③遊びの指導
遊びを交えた学びと指導によって、学習や集中力、意欲の面で課題を抱える児童生徒をサポートします。

④作業学習
作業学習は、中学校の主に知的障害者の特別支援学級等で行われます。生徒が卒業して就職する前の段階から、作業等を通じて就職と進路を考え、働く意欲を高めることを目指します。

このように、特別支援学級の生徒は、発達に合わせた座学に留まらず、自立のための生活訓練や遊び、他の子どもとのコミュニケーションも学習していきます。同じ特別支援学級の内、同じ障害や課題を持つ生徒を集めるグループ学習もあります。グループ学習のメリットは、分かち合いという安心感を得ると同時に、協力して共通の課題に取り組むコミュニケーション力の成長等です。特別支援学級の場合、通常学級の子どもとの交流と共同学習を、特別授業や体育、昼休みに行うところもあります。

学校や地域によっては、前述した取り組みやそれ以外の学びとサポートをしている所等、様々です。そのため、特別支援学級の利用体験や見学、話を聞いてみることをおすすめします。私の中学校では、特別支援学級に在籍する知的障害の生徒達が、通常学級の生徒と同じ教室でずっと過ごしていました。一日の授業の始まりから昼休み、終わりまでずっと一緒なので、実質的には同じクラスの仲間という認識が強かったです。彼らは、私と同じ教室で授業を受けますが、通常学級の生徒とはまた別の課題プリントに取り組んでいました。勉強中のサポートと答え合わせは、同席している特別支援学級の担当教員が行っていました。

通級学級との違い

通級による指導
通級による指導では、通常学級に在籍する障害のある生徒が、通級指導教室に通い、もしくは指導教室の担当教員が通級に来てサポートをします。学校に通級指導教室がない場合は、他校の教室に通うこともあります。
2018年の文部科学省は、高等学校にも通級による指導ができるように準備する事業を始めました。

対象者の違い
通級による指導の対象となる生徒は特別支援学級・学校よりも多いです。前述した弱視者、難聴者、肢体不自由者、病弱者、言語障害者、自閉症者、情緒障害者の他、学習障害者ADHD(注意欠陥多動性障害)者を含みます。

補足:
特別支援学校との違い
特別支援学校には幼稚園部・小学部・中学部・高等部があります。各部に準じた教育を行いつつも、生徒の特性に応じたサポートをします。対象となる児童生徒は、障害が比較的重く、常にサポートを必要とする者が多いです。そのため、特別支援教育の中ではより専門的な支援が強くなります。特別支援学校によっては、卒業後の就労支援に力を入れています。

特別支援学級に通うことで何が変わる?メリットとは

最後には、特別支援学級にまつわる話やエピソードを交えて、メリットとデメリットについて説明します。

特別支援学級のメリット
①障害特性に合わせた学びと支援を受けやすい
②その子に合った課題の設定→成功体験を増やす→自信とヤル気の回復
③通常学級の子どもとの日常的な交流や共同学習ができる。
障害の特性や環境が整っていないことによって、勉強についていけない、成功体験よりも失敗体験が多くなることで、自信とヤル気を失ってしまう子どもは多いです。

三重発達障害を持つ精神保健福祉士・笹森理絵さんの息子さんも、入学当初は通級で学んでいました。しかし、時間が経つにつれて勉強が段々とついていけなくなり、日常生活での困りごとが重なっていきました。そうなると、「どう頑張ってもみんなと同じようにできない」、と勉強も嫌になり、クラスメイトとも気が合わなくなってきました。笹森さんは、特別支援学級の教員との相談や、「息子は障害とかじゃない。やればできるんだ」と考える夫の説得、息子さん本人との話し合いを重ねた末に、息子さんを特別支援学級に移しました。

結果、息子さんは自分が努力すればできる課題をこなし、サポートを受けることによって、「できたよ!」「面白い!」、という成功体験も増やしていけました。特別支援学級への移動と担当教員の理解・サポートによって、息子さんは学ぶ楽しさと自信を取り戻し、クラスメイトとも楽しくやれていました。また、通常学級時代のクラスメイトや先生とも切れることはなく、時々交流・共同学習の時間で仲良く関わっていたようです。

特別支援学級のデメリットと課題
① 特別支援学級がない、充実したサポート体制・教師の人員がそろっていない等、学校・地域による格差がある
全ての学校に特別支援学級や通級指導教室があるわけではなく、特別支援学校も数が足りていません。さらに、障害のある児童生徒の教育支援に長ける教員や専門スタッフが足りていないのに反し、特別支援学校・学級に入る生徒の数は年々増えています。本来は、障害のある子ども一人一人に合った学びを提供する特別支援教育が、その役割を十分果たせていない場所もあるのです。

②知識・技能のレベルアップに結びつきにくいカリキュラムも
高機能自閉症等、知的障害を伴わない児童生徒の中には、特別支援学級での学びに安心する一方で、課題に物足りなさを感じる者もいます。
「足し算も引き算も、いつも同じことばかりで飽きた。もう目を閉じていても解ける」、「将来司書さんになりたいから、もっと(レベルの高い)知識も勉強してみたい」。
発達障害の場合、コミュニケーションやストレス対処等に課題はあるが、勉強はよくできる者は多いです。そうなると、児童生徒本人や保護者によっては「障害があると見なされているから、単純な課題しかさせてもらえない」、「可能性を閉ざしてしまったのでは」、と心配する方もいます。

③通常学級との交流がストレスやトラブルになる場合も
授業内容や教室、一緒に勉強するクラスメイト等が頻繁に変わることに苦痛を覚える生徒もいます。自閉スペクトラム症等は、授業の変更や臨機応変な行動が苦手な方が多いです。また、私の中学校では、必ずそうなるわけではありませんが、異なる学級のクラスメイトの間にトラブルもありました。特別支援学級在籍のクラスメイト達は、自分で抵抗したり、言い返したりすることが難しく、勉強内容も通級とは違っていました。それをいいことに、通級のクラスメイトの一部は、特別支援学級のクラスメイト達をからかうなどのいじめをしました。特別支援学級の担当教員は、休憩時間もずっと付きっきりでいるわけではありません。ただし私の場合、エスカレートしたからかいといじめを止め、担当教員に相談したクラスメイトがいたこともあり、後にいじめは収まりました。

特別支援教育における課題を解消するためには;
①学校関係者のみならず、医療・保健・福祉等の多様な分野もチームで支援していきます。
②同じ地域における住民やイベント、地域復興事業等に、特別支援教育の活動を取り入れていく等、地域全体で取り組んでいく必要があります。

まとめ

特別支援学級について、以下にまとめます。

・特別支援学級では、障害のある子どもや学習に配慮がいる子どもが安心して学び、豊かな学校生活を送るサポートをします。

・特別支援教育には、①特別支援学校、②特別支援学級、③通級による指導でまとめられ、障害のあるなしに関わらずに、みんなが互いを尊重して共に生きていく(共生社会)ためのインクルーシブ教育を目指します。

・特別支援学級の授業は、知識や技能訓練に留まらず、生徒の豊かな日常生活と自立をサポートするような実践・作業型の内容も充実しています。

・特別支援学級のメリットは、①障害のある子どもの特性に合わせた授業課題、本人のペースで学べる、②遊びや日常活動を交えた学びによって、学ぶ楽しさや達成感を得やすくなる③通常学級の子どもとも交流しやすい等です。

・特別支援学級等の課題は、学級と学校、地域もふまえた学校のサポート体制、担当教員や専門スタッフ人員等が、量・質ともいまだ不足し、地域・学校による差も大きい点です。学校関係者に留まらず、地域全体でサポートしていく仕組みを作っていく必要もあります。

最後までご拝読ありがとうございました。

参考文献

・小林倫代・他(2018年)『教員と教員になりたい人のための・特別支援教育のテキスト』学研

・笹森理絵(2013)『育つ力と育てる力 私と三人息子は発達障害です。何か?』廣済堂出版

・「特別支援教育について、自閉症・情緒障害教育」文部科学省
http://www.mext.go.jp

・「特別支援教育について、高等学校における特別支援教育推進のための拠点校整備事業」文部科学省
http://www.mext.go.jp

・「特別支援学級担任の手引き・特別支援学級とは/教育課程の編成について」県教育センター学びの丘・研究開発課
http://www.wakayama-edc.big-u.jp

・「『特別支援学級』で育った子の知られざる本音」東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net

・「障害児向け『エリート校』が生まれる根本理由」東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net

・「テーマ「子育て」障害のある子の子育て②〜教育」(2019年2月22日放送)NHK教育テレビバリバラ
https://www.nhk.or.jp

・「バリバード!灼熱教室」(2018年8月19日放送)
http://www6.nhk.or.jp

・「バリバラ進路相談室」(2018年10月28日放送)
http://www6.nhk.or.jp

*Misumi*

*Misumi*

自閉スペクトラム症のグレーゾーンにある、一見ごく普通のネコ好きです。10代の頃は海外と日本を行き来していました。それもあいまってか、自分ワールドにふけるのが、ライフワークの一つになっています。好きなものはネコ、マンガ、やわらかいもの、甘いもの、文章を書くこと。最近は精神保健福祉士を目指しながらコミュニケーションを学び、今後の自分について模索する心の旅人。

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP