気分安定薬と妊娠

暮らし

unsplash-logo Anna Pritchard

双極性障害の治療に使われる気分安定薬として有名な炭酸リチウムやバルプロ酸ナトリウムは妊娠に禁忌、または原則禁忌とされています。つまり、断薬できなければ妊娠できないということになりますが、双極性障害の患者が気分安定薬を断薬するのは再燃の問題から、現実的には難しいと思われます。何か打開策はないのでしょうか。

奇形の可能性

双極性障害の投薬治療で気分安定薬としてよく使われる炭酸リチウムとバルプロ酸ナトリウムには妊娠時、胎児の奇形率を高めるリスクがある(催奇性)とされており、妊婦、もしくは妊娠の可能性のある方に対しては使用の禁忌または原則禁忌とされています。奇形の具体例としては、炭酸リチウムは先天性心疾患が、バルプロ酸ナトリウムは神経管閉鎖障害、形態学的先天異常、認知機能障害や発達障害が胎児に発生する可能性があると今までの研究結果から明らかになっているそうです。奇形が起こる時期は妊娠初期、4週目から7週目までが特に重要な時期だと言われていますが、その時期に炭酸リチウムやバルプロ酸ナトリウムを断薬できていないといけないということは、妊娠前から計画的に断薬を進めていかなければならないということです。しかし、断薬となると収まっていた症状が再燃する危険性が高くなります。炭酸リチウムやバルプロ酸ナトリウムを服薬して症状が落ち着いている双極性障害の患者としては、できれば断薬は避けたいものです。薬によって症状を落ち着かせたまま妊娠を望むのは無理なのでしょうか。

ラモトリギンという選択肢

比較的新しい気分安定薬にラモトリギンという薬があります。胎児の奇形は、服薬していない健康な女性が出産した場合でも3~4%程度認められますが、ラモトリギンは1日300mg未満の服用であれば、奇形の発生率が2.0%といわれており、奇形リスクはかなり低い薬とされています。ですので、炭酸リチウムやバルプロ酸ナトリウムを服薬されている女性で、妊娠を望んではいるが気分安定薬を断薬はしたくない方はまず気分安定薬をラモトリギンに変えていくことが第一選択かと思います。ただ、ラモトリギンには皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)という重い副作用が出る場合がまれにあります。人によってはラモトリギンを諦めなければならないケースもあるでしょう。

ラモトリギンを服用しながら、妊娠出産に成功した具体的事例を調べました。以下にその概略を紹介します。

Aさんは、夫と2子との4人で生活をしています。当時の服薬状況は炭酸リチウム400mg、ラモトリギン75㎎、ベンラファキシン75mgでした。治療中主治医のB医師は炭酸リチウムの催奇性について話し、妊娠が明らかになったときは直ちに受診するように本人に説明していました。そして、C年2月に妊娠が明らかになりました。このため、B医師は上記の薬の胎児に対する影響を本人に説明して、直ちに炭酸リチウムを中止しました。また同時にラモトリギンを75mgから50mgに減量、その3週間後にラモトリギンを50mgから25mgに再び減量しました。状態は妊娠の維持や日常生活に大きな支障を来さないほどの軽度の抑うつ状態が断続的に出現していました。そして、C年9月に自然分娩にて出産しました。母子ともに健康で、出産前後を通して大きな精神症状に変化はなく、子供は順調に発育しています。妊娠3か月から出産までの処方はラモトリギン25mg、ベンラファキシン75mgでした。

私自身、双極性障害を患っており、炭酸リチウムとバルプロ酸ナトリウムを服薬して10年になります。炭酸リチウムとバルプロ酸ナトリウムの催奇性は婦人科の医師から聞かされていたので、断薬しなければ妊娠出産は無理なのだと諦めていました。しかし、気分安定薬をラモトリギン単剤に変えることができれば妊娠は可能と知り、双極性障害だから薬で子供を諦めなければならないことはないということを知りました。私と同じく双極性障害を患う女性にひとつの選択肢を示せたらと思い、この記事を書かせていただきました。

参考サイト

妊娠中の双極性障害への薬物療法のリスクベネフィットは?
http://pmhguideline.com

妊娠・出産を体験した双極性障害患者さんの事例紹介
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd

ラミクタールは妊娠・授乳中でも安全って本当?
https://cocoromi-cl.jp/

N.T

N.T

筋トレを趣味にして2年
健全な肉体には健全な精神が宿る...人には宿るのでしょうけど、私は違ったようです。
筋トレで精神は鍛えられませんでした。いやいや、もっと鍛えれば、と言われるかもしれませんが、ベンチプレス100kg上がって効果を感じれないので、そういう事だと判断しました。そんな何でもやってみる、抑うつ状態の者です。

その他の障害・病気

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください