厚生労働省が目指す地域共生社会とは?~改正案の概要とそのメリット、デメリット

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出典:Photo by Tingey Injury Law Firm on Unsplash

「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」令和3年4月1日から施行されます。今までの制度と比べてどう変わるのか、考えれるメリットとデメリットについて紹介します。

 

どう変わるのか?

今の福祉の仕組みは、高齢者は介護サービス、障害者は障害福祉サービス、子供は子育て支援といったように、対象者ごとに、相談窓口やサービスが分かれています。それらをひとつにまとめて「社会福祉連携推進法人」というものを設立して、まとめて相談支援を受けられるとされています。

地域共生社会とは?

制度や分野ごとの縦割りから「支え手」「受け手」の関係を超えて地域住民や相談機関が「我が事」として関わり、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会の実現を目指す。

と厚生労働省のホームページに書かれています。

つまり「地域の相談機関、地域住人が1つになってより住みやすい地域社会を目指す」というものです。

改正とそのメリット

では、実際にどのように変わっていくのか、またそれにより生まれる具体的なメリットについて「相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つからみていきましょう。

1.相談支援・・・単一分野に特化した相談支援から、属性や世代を問わない相談の受けとめ、他の機関の協力を間に入って調整する包括的な支援に変わります。

2.参加支援・・・社会への参加を助ける「参加支援」では、地域との連携を強化することで現在の取組では対応できていない「狭間のニーズ」にも対応できるようになります。例えば生活困窮者の就労体験に、経済的な困窮状態にないひきこもり状態の者を受け入れが可能になります。

3.地域づくりに向けた支援・・・世代や属性を超えて住民同士が交流できる場や居場所の確保、交流、参加、学びの機会を生み出すための調整をします。地域主体での交流により、これまで結びつきのなかった人と人がつながり、新たな参加の場が生まれ、地域の活動が高まります。

上記の3つによって地域共生の町づくりができ、継続的な支援を行うことができるようになります。また、これまでは、困りごとがあっても内容によって相談する公的機関がバラバラでした。しかし、今回の改正により役所の窓口でたらい回しされることがなくなるのです。

デメリット

第一に今回の新事業は市町村が主体となるとされていますが、具体的な指針が十分に示されていないという問題があります。

また、専門性のある職員が活躍できるだけの十分な雇用と保障がないと続きません。予算の確保が極めて重要だと思われます。

さらに「人材確保の業務の一環として、連携法人の社員(社会福祉事業を経営する者)が行う労働者の募集の委託について、一定の要件のもと、労働者の委託募集の特例を認める」という一文があり、場合によっては専門職でありながら非正規労働者を増やす結果になりえます。

おわりに

現段階で改正によって各市町村でどこまで対応できるかわかりません。指針を作ってあとは地域におまかせというのであれば、利用者の納得をえられるのか疑問点が残るところです。今後、どのような法案になるのか見守っていく必要があります。

参考文献

【厚生労働省 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について】
https://www.mhlw.go.jp/index.html

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

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