自己実現とファッションと常識~香りをまとう
暮らし出典:Photo by Chelsea shapouri on Unsplash
自分を表現する方法は多岐にわたります。
視覚的なものであれば、ファッション・メイク・ヘアスタイル、表情の作り方や立ち振る舞いなどのしぐさ。聴覚的なものであれば言葉遣いや滑舌、声の大きさ・トーン。また、感覚的なものであれば、性格や性質、話題の選択、趣味・嗜好品とするものなどがあげられます。
そして嗅覚的なもの。せっけん、洗剤、柔軟剤、体臭、フレグランス。
このコラムでは、ファッションを通し、自己実現の難しさにフォーカスしてみたいと思います。
自己実現とは
自己実現という言葉をご存知でしょうか。主に心理学で使われる用語です。人間には様々な欲求がありますが、大きく二つに分けることができます。
ひとつは生理的欲求。生命維持に関わる欲求です。生きるために必要なものを求めることです。先進国と呼ばれる国では、比較的満たされているケースが多いです。
もうひとつが社会的欲求。人から認められたい、愛されたい、誰かよりも優位に立ちたい、あれがほしい、こんな自分になりたい……この欲求は、生理的欲求が満たされている状態でないと発現されにくいとされています。
そして、手に入れることがとても難しい欲求であると私は考えます。人間は、社会的欲求、その中でも、自己実現……「理想の自分になりたい」に振り回され、悩み、楽しみ、生きて逝くのだと思います。
自己実現とファッション
自己実現の目標は人により違うでしょう。また、複数あったり、それらが絡み合っている場合もあると思います。私の目標は心身共に美しくあること・個性的であることです。そしてその自分を好きになり、認めて、評価したい。
加えて、心身共に美しく個性的な私を好きでいる私を、誰か……私にとって大切な人たちに、心底、愛してほしい。実に壮大で無謀な理想だとわかっています。
美と個性を表現するために私が選んだ媒体のひとつが「ファッション全般」でした。服、メイク、ヘアスタイル・カラー、身体改造(ピアスなど)……そしてフレグランス=「香り」です。
オフィスカジュアル
世の中には、マナー・常識的・普通・無難・TPO・その性別らしく・その年齢らしく・そこの所属らしく、といったことが求められる機会が多くあります。
反面、独自性・クリエイティビティ・個性・アグレッシブさも求められます。
既定の範囲内で創造は可能でしょうか。モチベーションは維持できるでしょうか。他の方のことは分かりませんが、私には不可能です。
社会的規範・法律が重視されるシーンがあることは理解できますし、納得がいけばそれに倣います。
しかし、ビジネスや学業上で、ファッションにおける社会規範は絶対的に必要なものでしょうか。好きな服を着て、好きなメイクで、好きな髪形で、毎日ハツラツと働き学ぶほうがよりよい結果を生むのではないでしょうか。
香りをまとう
とはいえ、現代日本は保守的で、なかなか自分のスタイルを貫くことは難しいです。学校では制服を身にまとい、メイクは禁止で、頭髪や装飾品、あげくは下着の色までチェック。
社会人になってからはマナーとしてのメイクが必要になり、私服可能でもオフィスカジュアル。
そこで私は考えました。小さな反抗です。目に見えなくとも美しいものを身にまとえばいいと。
においの効果
朝、コーヒーの匂いで目が覚めたり、ミントの香りで頭痛が緩和されたり、ラベンダーの香りでリラックスできたりといった経験はないでしょうか。
においには、鼻腔粘膜から脳に伝わり、自律神経を刺激する効果があります。快適な刺激であれば、それは香りとなり、不快な刺激であれば臭いとなるのです。
香りをうまく使えば、ファッション面でも、健康面でもいい効果をえられます。
オススメの香り紹介
・ムスク
様々な種類がありますが、私がオススメするのは重たく勇敢さを感じさせるアニマリックなものです。自信を持たせてくれる香りです。
・ベルガモット
ビターさのあるシトラス(柑橘)の香りです。リフレッシュしたいとき、気分転換に向いています。朝、目覚めと共に身にまとうと爽やかな気分になれます。
・オゾン
大気・水をイメージさせる香料です。マリンノートともいいます。こちらもリフレッシュ向きですが、はじけるような爽やかさというよりも、しみわたるような優しさのある香りです。
・ゼラニウム
バラのような甘い香りがしますが、青みも感じる清々しい香りです。包み込むやさしさとキリっとした強さを兼ね備えた香りです。
・ミュゲ
すずらんをイメージしてつくられた香りです。可憐で清楚さを感じさせながらも、芯の強さをみせてくれます。
「理想の自分」「なりたい自分」誰しもが持っているでしょう。
自分の実力、周りの目、理想……様々な感覚がゆらぐなか、自己を確立し、管理し、実現していく。
とても難しいことだと思います。私の場合はファッションへのこだわりが強く出ましたが、みなさんのなかにも周囲からの理解をえるのが難しい理想を持っている方もいらっしゃることでしょう。
そんなときには、「誰も傷つかない手段」で小さな反抗をしてみることも大切だと思います。フラストレーションを溜め続けていれば、いずれほころびが生じます。
そして、その誰も傷つけない小さな反抗が、共感をよんだり、改革へのきっかけになることもあると思うのです。
参考文献
【香料紹介・LIBERTA】
https://liberta-perfume.com/shop