国際障害者デーに際し「iStock」の運営元が、凝り固まった障害者観に一言申し上げます

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Photo by Josh Appel on Unsplash

毎年12月3日は国際障害者デーとなっており、今年も様々な企画や提言が行われました。世界人口のおよそ15%が何らかの障害を経験し、成人の25%が障害者として生活しているデータから、障害者コミュニティは世界で最も大きなグループの一つと言えます。厚生労働省によれば、日本国内の障害者数は936万人で、日本人の7.4%が何らかの障害を持っていることになります。また、知的障害者の人口は身体障害者の約2倍という報告もあります。

障害者にとって大きな意味を持つこの日に、世界最大級のストックフォトサイト「iStock」の運営元にして親会社であるゲッティイメージズが声明を出しました。曰く、「iStockからダウンロードされたビジュアルのうち、障害者を含むものが少なすぎる。それもステレオタイプに沿ったものばかりで、目に見えない障害や活き活きした日常を描いたビジュアルはほんの僅かだった」とのことです。

VisualGPSの調査によると、日本ユーザーの88%が「障害者にも平等な機会が与えられるべき」と考えていながらビジュアルのダウンロードには反映されておらず、ビジュアル表現と消費者意識の大きな乖離が浮き彫りとなっています。簡単に言えば言行不一致ですね。

iStockおよびゲッティイメージズについて

iStockは豊富な経験と専門知識を持つゲッティイメージズが運営するストックフォトサービスで、世界最大級のデジタルコンテンツカンパニーとして、消費者の心に響くビジュアルコンテンツを1億6400万点以上提案し、時代に合ったコミュニケーションをサポートします。

新たに作成したガイドライン「VisualGPS」に裏付けされた市場のニーズやトレンドを、世界中の36万9000人以上にのぼるコントリビューターと呼ばれる契約フォトグラファーやビジュアルクリエイターに対し撮影指導することで、時代に合わせた写真や映像やイラストを収集し、iStockでしか入手できない厳選プレミアム素材をも数多く収録しています。

特に、インクルージョンを反映した写真と映像素材は継続的に注力しており、日本においてもローカル性の高い画像や動画やイラストまで、顧客のニーズに合わせた多様なコンテンツをタイムリーに提案することで、日本の個人事業主や中小企業の顧客エンゲージメント工場をサポートしています。

運営元のゲッティイメージズは、世界有数のビジュアルコンテンツクリエイター及びマーケットプレイスとして、世界中のあらゆるニーズに応じた幅広いコンテンツソリューションを提供しています。「Getty images」「iStock」「Unsplash」のブランドやウェブサイトやAPIは、世界最高のフォトグラファーとビデオグラファーによる力強いビジュアルコンテンツを検索、購入、共有するための第一拠点として、世界各国のお客様に利用されています。

50万7000人以上のコントリビューターや300以上のコンテンツパートナーと共に、パワフルで包括的なコンテンツを配信しており、毎年16万件以上のニュースやスポーツやエンターテイメントイベントをカバーして他に類を見ないほどの豊富な報道を提供しています。また、ゲッティイメージズは世界最大かつ最高レベルの民間所有アーカイブ写真を保持しており、写真創世記にさかのぼる画像の数は数百万枚にわたります。

ステラ・ヤング、覚えていますか

iStockからダウンロードされた人気ビジュアルのうち、障害者を含むものは僅か1%未満に過ぎません。その上、内容も障害者のステレオタイプに限定されたものばかりで、具体的には車椅子ユーザーや義肢などの補装具や高齢者介護ばかりに焦点が当てられています。

こうした取り上げ方はメディアやマーケティングの分野でもまかり通っており、当事者の共感を得られるようなコンテンツになっておりません。かつて「感動ポルノ」を提唱したステラ・ヤングさんは、障害者が克服すべきは自分の障害ではなく、こうしたモノ扱いする社会のほうだと指摘しました。

これを受けたEテレの「バリバラ」では障害者を題材とする番組への意識調査を実施し、障害者の90%が「(取り上げ方に)違和感がある」と答えたのに対し、健常者は45%が「感動した」と回答した結果を放送しました。この結果から、障害者の人々は特別な存在などではなく、日常的にどこにでもいる存在として描写されることを望んでいることが分かります。

ステラ・ヤングさんの提言や「障害の社会モデル」が示すように、変わらねばならないのは障害者を取り巻く社会の方であり、我々一人ひとりが異なる背景や経験を理解し、無意識にステレオタイプな表現を選んでいないか自問自答することが重要です。障害者の日常やあるがままの魅力をビジュアルで目にすることにより、より多くの人々の凝り固まった障害者観を変え、理解を促すことが出来る筈です。

Disability Collection、始めました

ステレオタイプで凝り固まった障害者観の打破に向け、iStockならびにゲッティイメージズ自身はどのような活動をしているでしょうか。ゲッティイメージズでは15の障害者慈善団体とパートナーシップを結び、物事をうわべだけで片付けようとするトークニズムからの脱却と、障害者が共感できるビジュアルを製作し提供することを目的とした「Disability Collection」を既に展開しています。

彼ら/彼女らは、障害者をビジュアルとして描く際のチェックポイントを幾つか定めました。
・障害を「克服する」必要があるものではなく、その人のアイデンティティの一部として描いていますか?
・障害を持つ人の日常や人間関係を見せていますか?
・認知障害など見えない障害を持つ人たちを取り上げていますか?
・義肢や車椅子などの器具や補装具、その人の障害のみにフォーカスせずに、その人のさまざまな活動が描かれていますか?
・障害を持つ人々がスポーツに取り組む姿や、準備運動、チームメイトとの会話など、さまざまな瞬間に着目していますか?
・アシスティブテクノロジー(テクノロジーによる支援)等を活用するユーザーや開発の現場を取り上げていますか?

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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